亀田の柿の種の黄金バランスが変わる本当の理由とは? | 札幌のオーダー家具・オーダーキッチンなら家具工房【旅する木】

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亀田の柿の種の黄金バランスが変わる本当の理由とは?

 

ステイホームの週末は、工房で1人、ソファに横になって、のんびりAmazonプライムで映画を見ながら過ごすのが、なんとも心地良い。そんな時のお供は、決まって亀田の柿の種。
ついウトウトして、映画見てるんだか、寝てるんだか曖昧なその時が至福の時。ポカポカ陽気の先週の日曜日も、そんなふうにウトウトしていると…

突然、工房に1人の男性が入ってきました。
顔が長細くて、ツルンとしたキレイな肌が印象的な美男子なのですが、顔の中心に額から顎にかけて、筋があって、ちょっと人間離れした雰囲気の男性。

男性 「すみません。旅する木の須田さんですか?」
僕  「はい。」
男性 「私、亀田製菓の社員で。」
僕  「亀田製菓!僕、亀田製菓ファンなんです。柿の種や、ソフトサラダ大好きなんです!」
男性 「知ってます。だから来たんです。」
僕  「??? はぁ。」
男性 「須田さんが、亀田製菓の社外監査役だということを知って来ました。」
僕  「…」
男性 「柿の種のピーナッツとの比率が変わることはご存知ですよね。」
僕  「それはすでに大々的にお店で売ってる柿の種に書いてありますよね。」
男性 「そのことについてなのですが、そこに不正がありまして。」
僕  「…」
男性 「須田さんは気がついているはずです。」
僕  「あなたは…」
男性 「亀田製菓の社員です。今回の比率変更は、表向きは国民投票の結果ということになっていますが、実は社内の派閥争いによるもので、我々は派閥争いに破れました。我々の主張は、現状の6:4、もしくは、5:5を主張しておりまして。」
僕  「僕も6:4のままが良かったんですけどね。」
男性 「派閥争いに敗れた我々は、リストラ対象になっておりまして。6月に比率が7:3になったら、我々は追放されるのです。」
僕  「そんなことになってるんですか?」
男性 「ですので、なんとしても阻止したいんです。そこで、亀田の不正を暴かなければならないのです!なので、須田さんの知っていることを教えてください。」
僕  「…そうですか。そういうことでしたら…」
男性 「お願いします!」
僕  「極秘ということで。」
男性 「わかっています。」
僕  「今、柿の種のピーナッツとの比率が6:4となってます。それを社外監査役として、本当にその比率になっているか、調べました。」
男性 「はい。」
僕  「個数で調べたところ、6袋の平均で、1袋につき、柿の種74個に対し、ピーナッツ12.5個。比率にすると、なんと、6:1だったんです。」

男性 「6:1!それはひどい!」

僕  「亀田製菓の対外的に言っている比率は、個数ではないのかも知れない。と思いまして、次に重さを調べてみました。すると、平均で、一袋の柿の種の重さは22gなのに対して、ピーナッツは12g。比率にすると22:12=11:6。わかりやすく柿の種の方を6にすると、6:3.27だったんです。

ということは、6:4と言っているのですが、実際には6:3.27で、これはすでに今のままで、7:3の方が近いということになります。」
男性 「な、なんと!それが事実なら、6:4と言っている今でさえ、実際には7:3の方に近いのに、7:3ということになったら、実際には8:2に近いことになりかねないということではないですか!」
僕  「いや、それは僕にはわかりません。ただ現状はこうだということしか。」
男性 「須田さん!これをどうか世間に公表してください。僕らを助けてください。お願いします!」
僕  「…すみません。それは勘弁してください。こんなことを世間に公表したら、それこそ…。」
男性 「須田さん、お願いします」
僕  「僕にも家族がいるものですから。…すみません。」

その男性は、うつむきながら、帰って行きました。
その背中を見ながら、思いました。彼にも家族がいるんだろうな。

その後、僕は家具を作りながらも、その男性の顔や帰って行く時の後ろ姿が忘れられず、気がつくと、新潟行きの飛行機に乗っていました。

[新潟 亀田製菓本社]

社長 「須田くん、ようこそ。しばらくだね。元気だったかい?」
僕  「ええ、元気でやってます。社長もお元気そうで。」
社長 「ああ、ありがとう。ところで突然、なんの用なんだ?」
僕  「実は先日、亀田製菓の社員だというある男性がわざわざ北海道の工房まで来まして、今回の柿の種とピーナッツとの比率変更の派閥争いに敗れて、リストラになるとかで。」
一瞬社長の眉間にクッと力が入る。
社長 「ほう、そんな男が。」
僕  「社内のそのようなことは、私が関与するところではないので口を出すつもりはないのですが、柿の種のピーナッツとの比率につきまして気になることがございまして。」
社長 「なにかね?」
僕  「実は今6:4とされている比率を調べてみたのですが、6:4にはなっておらず、どちらかというとすでに、7:3に近い数値になっておりまして…。そのことを社長はご存知なのかどうか?」
しばらくの沈黙の後。
社長 「須田くん、君は何歳になった?」
僕  「50になりました。」
社長 「君と出会ったのは君が新潟大学の学生の頃だったね。この工場を建てている時、君はアルバイトで、石膏ボードを運んでいた。一生懸命働いている姿を見て、私は声をかけた。亀田で働く気はないか?っと。」
僕  「はい。その頃は社長はまだ工場を統括する部長でした。」
社長 「んん。その時私は君に言った。私はいずれ必ず社長になる。だから、私について来ないか?っと。」
社長 「君はやりたいことがあるからと、断ったね。」
僕  「すみません。」
社長 「それで君に、社外から亀田を見てもらうことにした。」
僕  「はい。光栄です。」
社長 「私の目に狂いはなかったようだ。」
僕  「いえ…。」
社長 「さすが私が見込んだ男だ。そのことに気付くとは。」
僕  「… では、社長はご存知で。」
社長 「須田くん、どうやら君は知ってはならないことを知ってしまったようだね。」
僕  「…なぜ?」
社長 「なぜかって?会社を守るためだよ。」
デスクの引き出しからピストルを取り出して、銃口を僕に向ける社長。
僕  「しゃ、社長、僕はこのことを別に誰に言うつもりはありません。ただ、社長がご存知かを…」
社長 「君が私の立場だったら、同じことをしていたよ。世の中、きれい事だけでは生きていけないんだよ!」
パン!パン!
乾いた銃音が響く。
弓形をした茶褐色の玉が飛んでくる。
僕  「こ、これは!」
玉は弓形に曲がっているので、真っ直ぐに飛ばず、かろうじて当たらない。
追い詰められ、座り込んでいる僕。
床に散らばる茶褐色の玉。
僕  「柿の種!」
社長 「須田くん、君が私の右腕になってくれていたら。残念だよ。」

拳銃を握る社長の右手の人差し指に、力が入る次の瞬間、バッとドアが開き、転がり込む男性。
転がりながら、吹き矢のようなものを放つ!
僕の頭上を通り越し、社長の胸に突き刺さる。

社長 「うっ!」
男性 「大丈夫ですか!須田さん!」
僕  「あなたは、あの時の!」

胸を押さえながら倒れ込む社長。
僕  「社長!」
男性 「…社長」
社長、苦しそうに
社長 「君だったのか。」
男性 「社長、すみません!」
社長 「何故だ。」
男性 「私は亀田のために、全てを捧げてやって来ました。これからもそのつもりでした。それなのに、あなたは私を裏切って、切り捨てようとした。」
社長 「それは、…まあ、…そう思われても仕方がない、かもな。」
苦しそうな社長。
僕  「社長、喋らない方がいい。」
胸に突き刺さっている吹き矢の玉。
僕  「え?これは…」男性を見る。
男性 「そう思われても仕方がないとは?」
社長、苦しさをこらえながら。
社長 「実は、北海道限定で、アンケートを取ったところ、なんと、柿の種とピーナッツの比率の1番人気は、3:7という結果が出た。柿の種が3でピーナッツが7という、我々にとっては受け入れがたい結果を突きつけられたのだ。…私は迷った。亀田の製品の中で唯一、”亀田”という看板を背負った商品である『亀田の柿の種』なのに、柿の種よりもピーナッツの方が多い商品を販売してよいものか。それは亀田を否定することにならないか。」

乱れている呼吸を整えながら深く息を吸ってまた話し始める。

社長 「それで、超極秘のプロジェクトをスタートした。これは社内でも極秘に進められた。地下室の生産ラインで、柿の種とピーナッツの比率3:7のものを作って、地域限定、期間限定で発売した。

すると、これがとんでもなく売れた。売れれば売れるほど、私は追い詰められた。…そしてもう一つ、問題が浮上した。このまま売れ続けたら、ピーナッツが足りなくなるのだ。そこで、私は現状の6:4の比率のピーナッツを、少し減らすように指示をした。そして、あるアイデアを思いついた。国民投票の結果ということにして、今の6:4の比率を7:3にした商品を大々的に発表し、ピーナッツを確保し、その後に、パロディー商品として、3:7バージョンを発表しよう、っと。」

深く深呼吸をして。
社長 「世間はどう思うかわからないが、私は柿の種もピーナッツも、亀田を支える大切な仲間だと思っている。これが、ことの真相なのだ。」
男性 「そ、それでは、私どもがリストラになるというのは?」
社長 「そんなわけはない。今までも、これからも亀田を背負うのは、君たちなのだから。」
僕  「君たち?」
男性 「そ、そうだったんですか!わ、私は、そんなことと知らずに、取り返しのつかないことをしてしまった。」
社長 「いや、いいんだ、これで。会社のためとはいえ、私は…。」
僕  「社長!」
男性 「しゃ、社長〜!」
僕  「救急車を!」
救急車で運ばれて行く社長。

[新潟空港 出発ロビー]

椅子に座っている僕と男性。
男性 「…」
僕  「大丈夫ですよ。あなたが撃ったのは、ピーナッツだ。吹き矢のピーナッツで人は死にはしない。すぐに回復しますよ。」
男性 「社長がこんなにもピーナッツのことを思ってくれていたなんて。それなのに。」
僕  「昔から、そういう人でした。」
男性 「私はこれからも一生、人生をかけて亀田のために尽くします。」

飛行機の搭乗手続きを促すアナウンスが流れる。
立ち上がる2人。
出発ゲートに歩き出す僕。
ふと振り返って、

僕  「あの〜、あなたは…?」

なにかが吹っ切れたような屈託のない笑顔で、
男性 「私は、ピーナッツです。」
ニコっと笑いながら
僕  「やっぱり。」

振り返ってエスカレーターで搭乗口に下って行く僕。
振り向かずに手だけ挙げて、お別れの挨拶。
下っていくエスカレーター。
足から見えなくなっていく。
体、肩、頭、そして振っていた手もやがて下に消えていく。

 

あ〜、日曜日の昼間、ソファで昼寝って、なんでこんなに気持ちがいいんでしょうね〜。
一瞬だけ、寝たような感じなのに、見ていた映画は意外と先に進んでいる。

ん〜、なにかの夢を見たような気がするんだけど、覚えていない。
心地よさの余韻だけが残ってる。
夢ってなんですぐに忘れてしまうんだろう。

く〜っと手を上げて伸びをして、立ち上がろうとすると、
コロン、コロン〜、と何かが床に落ちた。
なんだろう?と覗き込んでみると、
ピーナッツが一つ、ソファの下に転がっていた。

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