『家具工房旅する木』は豊かな「暮らし」、「心」、「時間」をご提案、ご提供します。


つむじ風通信

実は、学生の頃シナリオライターになりたくて、新聞社のコンペに出展していました。
箸にも棒にも引っかかりませんでしたが‥
文章を書くのは好きなので、妻のそよかぜ通信とともに、日常でのちょっとした出来事を
載せていこうと思います。なんちゃってシナリオライターにお付き合い下さい。

7/31 ”立場逆転?”

  

本州は猛暑&ゲリラ豪雨、北海道も、北海道らしからぬムシムシ、ジメジメの日が
続いています。地球がおかしくなっていますね。
地球の長〜い歴史を一年のカレンダーにしたお話を、以前、つむ通で書きました。
ご覧になって下さい。人間の罪深さが解りますよ。

今日は土曜日、カフェのオープン日でした。
カフェをオープンして3ヶ月が経ちましたね。身内を褒めるのもなんですが、
妻の作るケーキは進化しています。
オープン前にメニューを作ったのですが、今となっては、メニューに載っている
ケーキより、今までにお出ししたメニューに載っていないケーキの方が圧倒的に
多いんです。
大抵僕がトレーに”本日のケーキ(3〜5種類)”を乗せて、お見せするのですが、
「美味しそ〜!」と叫ぶお客様もいます。
そして、そのケーキが、卵、乳製品、白砂糖を使っていないことを説明すると、
皆さん「へ〜?」とちょっと疑問符?
一口食べて、その優しい味に驚いています。

ありがたい事に、この3ヶ月の間に、テレビ、雑誌の取材をたくさん受けました。
もともとカフェは、”僕が作る家具に触れて、ゆっくり、のんびりしてもらいたい。”という
ことで始めたのす。
オープンしてすぐの頃は、「すっと前からHPを見ていました。カフェをオープンして、
来やすくなったので来ました!」というお客様が多かったのですが、最近、
ちょっと様子に変化が…。。

若〜い女性のお客様、カップルなど、旅する木だけの頃には来なかった客層の方が
たくさん来てくれるんです。
そして、喜んでお茶をした後のお会計の時、「家具のギャラリーもございますので、
ご覧になって下さい。」と声をかけると、
「??…ギャラリー?、家具?」
「え〜!?家具屋さんだったの?」
って。。

僕にとっては、新しい客層に『旅する木』を知ってもらえるので、良いと言えば良いのですが、
ちょっと複雑な気分?
『旅する木』のカフェ、『そよ風とつむじ風』の、枕詞(『旅する木』)の部分が、早3ヶ月で
取れかかって来ているんです。
たくさんの方がブログでもご紹介してくれていて。
こうなってくると、妻との力関係にも影響が…(笑)

でも…
お客さん 「じゃあ、ここの椅子とか、テーブルは全部作ったんですか?」
僕    「そうですよ。全部僕が作りました。キッチンも。」
お客さん 「すご〜い!すごく座り心地、良かったですぅ〜。」
僕     照れながら優越感に浸る。

ってな感じで、若い娘に褒められちゃうと、すっかり気分を良くして工房や、ギャラリーを
案内しちゃってます。

完全に立場逆転の日は、もうすぐですね〜。

   

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7/22 ”世に生を得るは事を成すにあり”

”世に生を得るは事を成すにあり”

言わずと知れた、司馬遼太郎の『龍馬が行く』に登場する龍馬語録ですね。
僕は司馬遼太郎の『龍馬が行く』に登場する坂本龍馬が好きで、
学生時代から、色んな決断の節目には、押し入れの奥から引っ張り出して来ては
読んだり、その時々で、良い言葉だな。と思う言葉を手帳に書いたりしていましたね。

あっという間に7月も後半に突入ですね。
旅もっくんで触れているように、この一ヶ月程、パテェシエのお店、Bon vivant
の家具や建具、ショーケースなどの製作をするため、毎日早朝5時くらいに出勤、
仕事を進めていました。
昨日、大部分のものを取り付けし、やっと一段落したところです。

そして毎日が、自分の弱さを痛感する日々です。
休日なしで、早朝から作業をしているということで、夜はもう眠くて眠くて。。
ありがたい事に、たくさん抱えているデザインを起こす作業、ブログの更新、
お待ち頂いている他の家具の製作などなど、夜にやらなきゃ、って思いながら
結局「明日やろう。」と、”最も意思の弱い言い訳”に毎日負けてしまいます。

この Bon vivant のゴロなどをデザインしたグラフィックデザイナーの
真野君(Das Family co.)は、ちゃんと毎日ブログを更新しているし、
いつもとってもお世話になっていて、何かと気にかけてくれて色んな情報を持って来て下さる
エリアサービスの社長さんから頂くメールは、いつも深夜2時とか3時。
聞くと、朝はちゃんと出勤しているそうです。
その他にも、毎日欠かさずジョギングをしている友達など。

第一線で勝負している人はやはり、自分に負けない強い意志を持って、決めた事を
貫いているんですよね。当たり前の事を、当たり前にやり続けている人を僕は
年齢とか関係なく、「すごいなぁ。」と思い、尊敬します。

Bon vivant の久保さんも、待ちに待った機器類が揃い、僕が取り付けの作業をしている
横の部屋で、ケーキの試作を淡々と、揚々としています。
僕の工房でお手伝いをしてもらっていた時のぎこちなさはなく、まさに”水を得た魚”の
様ですね。
もちろん不安なことの方が多いのではないかと思いますが、それを感じさせないというか、
良い意味で「やるしかない!」という逆切れに近い(笑)吹っ切れた気持ちで
深夜まで試作作りに没頭しているようです。

”世に生を得るは事を成すにあり”

これから事を成そうとしている人のお店作りを、普段、意志の弱い僕ですが、
事、家具作りに関しては、最高のものを作る!という強い意志を持って臨んで製作しています。

作業中に頂いた試作のケーキ、溜まっている疲れを吹っ飛ばすような、びっくりする
美味しさでした。

7月24日(土)、もうすぐオープンです。是非お立ち寄り下さい。

こちら

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7/1 ”Bon vivant!(人生を楽しもう!)”

今日から7月ですね。一年の半分が過ぎてしまいました。
この前お正月だったのに…。

それにしても、北海道は異常な暑さ&蒸し暑さです。
30度を超える日が何日も続いていて、毎日汗だくになりながら仕事しています。

今、7月24日にオープンするパティシェのお店の家具、建具、ショーケースなどのを
必死に製作しています。

実は機器類搬入や、内装工事が終わらないと、いろんな準備が出来ないパティシェの久保さんに、
製作のお手伝いをしてもらっています。
製作が、オープンまでにギリギリ間に合うかどうかって感じなので、手伝ってもらって
いる事を棚に上げて、「自分のお店の家具を、自分で作るなんて、愛着が沸いていいよね。」
なんて虫の良いことを言っています。。

一年ほど前に、友達にプレゼントする乳歯入れを見に、工房に来てくれたのが出会いです。
いつもの様に、「どうぞ、ご自由にご覧になって下さい。」と言って、仕事をしていました。
結構な時間が過ぎても帰る気配がないので、ショールームに戻ると、
「今、お菓子作りの仕事をしていて、来年、独立を考えているんです。」とのこと。
そして、「旅する木さんのことはHPで見ていて、一度来てみたかったんです。
この家具を見ていたら、お店のイメージが沸いてきました。」とおっしゃってくれました。

参考になるかどうか解らないけれど、僕の独立すると時の話しなんかをし、「お店つくりは、
僕が信頼している建築家が何人がいるので、紹介しますよ。」と言って別れました。

それから半年が過ぎたころ、いよいよ本格的に動き始めるということでお電話を頂き、
建築家の本間氏(ホンマデザインコンサルタント)と、DMなど製作するグラフィックデザイナーの
真野君(Das Family co.)に声をかけ、『チーム旅する木ーBon vivant プロジェクト』
(勝手に命名?)
がスタートしました。
ちなみに、Bon vivant(ボン・ビバン)というのは、オープンするお店の名前で、
「人生を楽しもう!」という意味なんです。

独立し、自分のお店を持つという事は、人生をかけた大ばくち、いや、大勝負です。
その一端を、信頼し、任されるということは、とても嬉しいことです。

独立しようとしている久保さん含め、遥か遠くに希望を抱き、今をもがいているものたちが集まって、自分たちのそれぞれの能力をフルに活かそうと仕事をしていることが、とても楽しく、いろんな
不安な事も多いけれど、それを上回る幸せを感じながら日々を過ごしています。

楽しい事よりもずっと、大変な事、不安な事の方が多いけれど、そんな事も全部ひっくるめて、

Bon vivant!(人生を楽しもう!)

  

オープンが近くなったら、お店の場所など詳しくお知らせします。
是非、お立ち寄りくださいね。

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6/21 ”昔と今といつか”

先日、函館のお客さんの所へ、家具の納品に行ってきました。
ちょうど、高校の友達が急に遊びに来ることになったので、
「函館へ旅行に行こう!」と言葉巧み(?)に納品を手伝ってもらいました。

函館のお客様は、ちょうど一年前にダイニングテーブルと椅子のセットを
製作させて頂いたご家族で、納品時、大事に使ってもらっている家具に
再会する事が出来ました。

今回納品した家具もとても喜んで下さったのですが、なにより一年間使った
ダイニングセットを、
「このテーブルと椅子が来てから、食後、すぐにソファに横になっていた夫が、
椅子からなかなか離れない。」とか、「家族みんな、本当に愛おしく思っているんですよ。」
と、喜んでくれていました。

先日、家具を発送した東京のお客様から、
===================================
須田さんに初めてご連絡させていただいたのが
昨年の10月。以来、
わくわくしながら形を考え、
わくわくしながらデザイン画を待ち、
わくわくしながらどの案にしようかと迷い、
わくわくしながら契約し、
わくわくしながら到着を待ちノ。
この8ヶ月間、本当に良い時間をいただけたことに感謝しています。
====================================
という内容のメールを頂きました。

豊かな暮らし、豊かな心、豊かな時間をご提供したい。その一端を担いたい。
という思いで一か八か独立を決心し、家族や、業者さん、そして何より
お客様に助けてもらいながら、経営のこと、経済の事、商売のいろは…など、
まったく解らずに、ただ無我夢中にやっている途中ですが、
そんな暗中模索の中、この様な嬉しいお客様の声が、僕の進むべき方向を明るく
指し示してくれています。

お客様と別れた後、友達が、
「あのお客さんは、本心で褒めてるのか?」
「何か裏があるんじゃないの?」っと。

「おいおい、お前、東京暮らしですっかり心が荒んでるなぁ。そんな訳ないって。
素直に喜んでくれていているんだよ。」と僕。

宿泊するホテルにチェックインするにはまだ時間があったので、函館の元町周辺を
散歩しました。歴史を感じる町並みは、やっぱり良いですね。
八幡坂から函館の港を見下ろしながら、友達がポツリ。

「お前、良い仕事してるなぁ。」

夕暮れに揺らぐ函館ドック、港に帰って来る船を眺めながら、
6月にしては暑すぎた日中に比べ、夕方になって心地良い風に吹かれながら、
せっかくの函館での夕食、どんな美味しい物を食べようか、と考えながら、
高校時代、仲間と高ボッチ山に自転車で登り、同じように夕暮れに揺れる諏訪湖を
黙っていつまでも眺めていたのを思い出しました。

もう20年以上も昔の出来事なんですね。そしてこれから同じくらいの時間の中で、
どれくらいの人に喜んでもらえる家具を作る事ができるのだろうか?
その頃、どこの丘の上から何を眺めるんだろう?

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6/4 ”感動を創るもの”

「感動を創るものは走らなければならず、感動を得るだけなら座しても可能だ。
走るか、座るか覚悟を決めなさい」    倉本聰

ご覧になった方も多いのではないでしょうか?
先程NHKでやっていました、『倉本聰・富良野塾の26年』
富良野塾閉塾のドキュメントです。

実は…、という程もったいつける訳ではなく、いろんな人に話しているのですが、
僕は『北の国から』が大好きで、高校時代、『'87初恋』の”れいちゃん”に
一目憧れし、大学生になってから、ろくに学校へ行かず、アルバイトしてお金を
貯めては、北海道に、れいちゃんを探しに来ていました。
おっとっと、これはまずい…。硬派は僕は、あくまで人生経験を積みに北海道への
一人旅を繰り返していたわけでございます。。

倉本聰は、間接的ではありますが、僕の人生に大きな影響を与えてくれた人で
大学時代の僕の枕元には、倉本聰脚本の本が山積みされていました。

『北の国から』以上に好きだったドラマが『ライスカレー』。
高校球児だった若者(時任三郎、陣内孝則)が、卒業後、追いかける夢がなくなって
ぶらぶらしている時、あるきっかけで、カナダに行くことになったのですが、
バンクーバーの空港に、迎えに来るはずの北島三郎が来なくて…。
ここからドラマが始まり、自分の本意ではないけれど、ログハウス作りをすることになり、
その中で大切なものを見つけ、そして無くし、様々な青春ドラマが展開されていく。
というもの。

同じように、大学時代、心底夢中になれるものが見つけられずに悶々とする中、この、
『ライスカレー』を何度も見て、
「よし、カナダへログハウスを建てに行こう!」とすぐに大学に休学届けを出し、
単身、カナダへ行くことに。単純バカですよね〜。

そして、就職活動中、真剣に富良野塾を考えたんですね。
結局富良野塾へ入る決心は付かなかったのですが、その後、就職してからも富良野塾の
演劇は何度も何度も見に行きました。

学生時代からず〜っと続いていた”心底夢中になれるもの”探しは、就職してからも続き、
もちろん、仕事は一生懸命やっていたのですが、いつも心に満たされない隙間を感じていました。

倉本聰の演劇は、いつもその隙間をこじ開けよう、こじ開けようとするテーマ、内容のもの
ばかりで、見る度に感動し、腹が立ったものでした。

なので、家具の道へ進む決心をした時、とても格好良い言い方をすると、
「やっと心の隙間を埋めるパーツが見つかった」という気持ちと、「やっと走ることが出来る」
という思いだったのを思い出します。

そんな思いがあったので、富良野塾閉塾というニュースは、ちょっと寂しいものを感じていた
んですね。今日のドキュメントの最後に

「感動を創るものは走らなければならず、感動を得るだけなら座しても可能だ。
走るか、座るか覚悟を決めなさい」

という言葉とともに、倉本聰自身もまだまだ走り続ける宣言をしていました。

走って、走って、へとへとになった先に、人の心を動かすことが出来るのものがあるのだとすれば、
僕はまだまだ自分に甘く、その領域へは行っていないなぁ。

学生時代サッカー部でした。学校へは行っていませんでしたが、毎日のサッカーの練習はしっかり
やってました。僕が1年の時、可愛がってくれた4年生のキャプテンが、よく言ってました。
「限界を超えなくちゃ体力はつかないんだ。」って。

同じことなんでしょうね。
自分に厳しく、人に優しく。そんな人になりたいんです。僕は…

変な終わり方になってしまいました。もうすぐ深夜2時。
寝てしまいたい!でも、もっと格好良い文章で終わりたい…
負けるのか?お前は、負けるのか?睡魔に負けるのか?

…ぐ〜…ぐ〜・・・。
明日、良い文章考える…

それがだめなんだって、限界を超えてみろ!

おっ!目が覚めて来た!よ〜し格好良い文章考えるぞ〜!

ん〜、ん〜、ん〜…

文才の限界だった…。。

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5/27 ”タイミングの不思議”

旅する木のカフェ、『cafe工房そよ風とつむじ風』がオープンして、一ヶ月が
経過しました。
妻は毎日、新しいケーキを試作するため、早朝、夜分にカフェに行ったりしています。

このカフェは、5年前、僕が旅する木を立ち上げる際、事業計画書に盛り込んだ
項目の一つだったんです。だから、旅する木にとっては欠かせない計画で、これらを
実現するために、廃校を探していて、この愛すべき東裏小学校に出会ったんですね。

本当は昨年の夏のオープンを目指していたのですが、仕事を優先していて、なかなか
準備(製作)が出来ないでいました。
それでもお客様の作品と平行して、少しずつカフェ用の家具を進めていて、やっと
GW前にオープンすることが出来ました。

この、cafeオープンのタイミングで、いろんな幸運な出来事がやってきました。
本当に不思議なことばかり。

一つ目は、カフェの窓側のカウンター。
僕が東裏小学校にやって来て間もなく、切り倒す事になった学校の記念樹のハルニレ
業者が処分しようとしていたのを寸での所で残してもらって、一か八か製材、乾燥
してもらったんです。
そのハルニレが、ちょうどカフェオープン直前、最後の追い込み製作をしていて、
窓際のカウンターの材料をどうしようか?と思っていた時に、乾燥から上がって来たんです。
これはもう、「カウンターは僕を使ってくれ〜。この学校の記念樹だったんだよ〜」って
言ってるとしか思えないタイミングでした。

二つ目は、カフェの横の『木育の部屋』
この『木育の部屋』も、事業計画書に盛り込んだ内容だったんですね。
とりあえずカフェを優先!と思っていたのですが、カフェオープン後まもなく、
近くのお寺の改修工事が始まり、地元の方から電話が…
「お寺の畳を明日処分するから、使うなら持ってっていいよ。何百枚とあるから。」

この電話をしながら、『木育の部屋』がパッと頭に浮かび、すぐに取りに行きました。
そして、カフェの横の元校長室に畳を敷き詰めて、昨年霧多布に行った時にたまたま
出会った、可愛い木のおもちゃを作っている漁師さん(変な紹介ですね〜。でも本当なんです)
から買った、木のおもちゃを並べたんです。

そしたら

その次の日、その漁師さんから半年振りに電話が…
「明日そっちに行こうと思ってる。頼まれていたおもちゃ、全部持ってくから。」って。
びっくりしました。

三つ目は、5/19のつむ通で書いた、絵本作家さんの、ひだのかな代原画展。

そして四つ目は。
雑誌、新聞等の取材関係です。
25日発売された雑誌、『HO』や、日刊現代、7月発売の『スロウ』が取材をしてくれました。
これも、たまたま記者の方や、編集部の方からお電話頂き、
「そういえば以前、カフェをオープンしたい。とおっしゃってましたが、その後どうですか?」って。
え!?来週オープンなんですけど…!!!
てな感じで取材して頂けることになったんです。

小さいことを含めると、まだまだあるんです。

『旅する木』を立ち上げる時、金融機関からお金を借りるために、一生懸命考えて考えて、
練りに練った事業計画書。その一つひとつを実現すべくやって来て、5年かかって、ようやく
実現しようという時、このタイミングでいろんな素晴らしい偶然がやって来てくれることに、
つくづく妻と「不思議で、ありがたいねぇ。」と毎日のように話しをしています。

今、東裏小学校の広〜い校庭には、タンポポとデイジーの花が咲き、お花のじゅうたんです。
お一人でハルニレのカウンターに座って眺めるのも良し、友達、ご家族で、お〜きいビーンズ
テーブルに座って談笑するも良し、今週末は天気が良い様です。是非、遊びに来て下さい。

週末、僕は家具職人ではなく、マスターをしてますから…。
といっても、今日も電話で、「もしもし、カフェ工房そよ風とつむじ風です。」というのが
どうもぎこちなくて…

  

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5/19  ”人生=出会い”

ここのところ、北海道は20度を超える、暖かく気持ちのよい日が続いています。
毎朝ノンノ(北海道犬)と散歩しながらお参りする、東裏神社の桜も満開で、
今朝は桜吹雪の中の、風情のあるお参りで、ノンノもいつになくはしゃいでいました。

そして東裏小学校の校庭も、タンポポが一気に咲き始め、一足先に咲いていたデイジーの
白とピンクに、黄色が加わって、色とりどりのお花畑になりつつあります。
昨年、初めてこのお花畑を体験し、妻と、「きっと天国って、こんな所なんだろうなぁ。」
なんて会話をしたのを思い出します。
今週末も天気が良い様なので、是非旅する木のカフェ『そよ風とつむじ風』に遊びに
来て下さいね。

そうそう、トップページのイベントのところにリンクしたのですが、
長〜い東裏小学校の廊下、100mはあると思います。計ってみようと思いつつ、
まだ計っていませ〜ん。
この廊下に、『にこにこ、ぎゅっ』の著者、ラジオでも活躍中の絵本作家、ひだのかな代さんの
絵本、『ごろりごろりんごりんご』の原画を展示しました。

ひだのさんとは、『にこにこ、ぎゅっ』の原画展の際、額を製作させて頂いたのがご縁で、
『ごろりごろりんごりんご』と、『ねこがさかなをすきになったわけ』の原画を預かる事になり、
常設の展示をさせてもらえることになりました。

工房へ来たお客様のお子さんはもちろんの事、大人の方も、「この絵、すごくいいね〜。」
と一つひとつ、ゆっくりご覧になっています。

東裏小学校は、なんかだ懐かしくて、とっても気持ちの良いところなんです。
よくお客さんに、「夜の学校とか、恐くないんですか?」なんて聞かれます。

実は僕は、お化けと高い所に、めっぽう弱いんです。
高い所はちょっとしたトラウマがございまして…、ハイ。。
小学校の修学旅行で、東京タワーに行った時、途中まで外階段で登れるんですよね。
友達とふざけてて、落ちそうになったんです。それ以来…。。

お化けに関しては、特にトラウマもなく、見た事もないのですが、
やっぱり恐いですよね〜。ホラー映画とかは絶対見ないですもん。『世にも奇妙な物語り』レベルで、
ぎりぎりアウト!「アウトかい!」ってツッコミが来そうですが。

おっと、話しが反れちゃいました。
そんな僕でも、東裏小学校は夜、一人でも全然平気なんです。むしろ気持ちが安らぐ、って感じ。
そんな東裏小学校の廊下に、ひだのさんの、と〜っても愛のある、しかも原画が飾られて、
もう最高のイヤシロチ(癒しの地)になったんです。

毎日ひだのさんの原画を見ながら、「縁って面白いなぁ。」とつくづく感じています。
だって、以前のつむ通で書いたのですが、ひだのさんの知り合いから額を頼まれた時、断ろうと
思っていて、ひだのさんも僕に断ろうと思って電話をくれたのが出会いだったんですね。
そんな切れるはずの縁が、なぜかつながって、カフェのオープンを記念するかの様な
タイミングで常設の原画展をすることになったんですもん。

「人生とはなんと不思議で面白い出会いに彩られていることか」(星野道夫)

その言葉そのものです。

そして、このタイミングでの素晴らしい出来事がもう一つ…。
『旅する木』の夢の一つ、そして『cafe工房そよ風とつむじ風』のオープンに彩りを添える
出来事があるんです。

長くなってしまったので、その事は次のつむ通で。。
え!もったいつけるな!って?
そういう方は是非今週、カフェに遊びに来て下さ〜い。
特にお子様のいらっしゃるご家族は…(ヒント)

  

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5/15  ”受け継がれる道しるべ”

5月半ばですが、北海道は暖かくなったり、寒くなったりを繰り返しています。
5月の前半は雨が続いたため、農家さんは今、遅くまで作業に追われている様です。
工房の東裏小学校の回りの田んぼには、水がはられ始めました。

朝、ノンノの散歩をしている時はまだ一部分しか水が溜まっていなかった田んぼにも、
夕方散歩する時には結構全体に広がっているんですよ。
それでも水がたっぷりと入って、土が見えなくなるような、一般的な光景の田んぼ
になるには、数日かかるんですね。
こんなに時間がかかるなんて、知らなかったですね〜。

そして、遥か向こうから真っ平らに見えていた田んぼは、実は遠くの方から
一つひとつ田んぼ毎に低くなっていたんですね〜。
だから、遠くの田んぼから水が張っていくんです。
向こうの田んぼが水でいっぱいになると、あぜ道に穴が空いていて、
その穴から水が漏れて、その下の田んぼに水が溜まっていく…という感じなんです。
ずっと、一面平らだと思っていました。
でも考えてみたら、そりゃぁ、そうですよね〜。
水をはらなきゃいけないんだから、一面真っ平らだったら、溜まりませんよね。。

春になって融雪剤を撒いて、やっと雪が溶けた畑に、あっという間に青々とした
草が生えていて、「草が生えるのって早いなぁ?」なんてトボケた事を思っていたら、
実は”秋撒き小麦”で、冬、雪が積もる前に、すでに芽が出ていて、その上に
雪が積もって、成長が止まっていただけだったんですって。
知らなかったですね〜。

きっと農家さんにとっては、当たり前の事なんだろうけど、僕にとっては、
知らない事だらけで、季節ごと、新鮮なことばかりで、楽しんでいます。
お米ができていく過程を毎日見る事ができて、その見ていたお米を食べる事が
できるんだから(学校の目の前の農家さんからお米を買っているのです。)
贅沢ですよね〜。日々の田んぼの変化、稲の生長が楽しみなんです。

うちの前の庭を、農家さんがトラクターで起こしてくれて、そこにこの前、
ジャガ芋を植えました。
今年もとうきび、にんじん、トマト、キャベツ…など、作ろうと思っています。

父も畑をやっていて、子供の頃、早朝や、週末に手伝わされました。
面倒くさいなぁ。なんて思いながら手伝っていましたが、今になって、その楽しさ、
豊かさが解ってきました。

そういえば、あの頃の父と同じくらいの歳になったんだなぁ。それなりの歳を
重ねないと、親の事って理解出来ないこともあるんだな〜。と、
近頃親離れし始めた娘と、当時の自分を重ね合わせたりしてみました。

父の歩んだ道を、何となく嫌で避けてきたつもりだったのですが、結局、
同じ様な道を歩みつつある僕の道を、やがて子供達が道しるべにする事があるのだとしたら、
アスファルトの道路を車でビューン、ではなく、土の道に一歩一歩足跡を残す様な
そんな生き方をしたいなぁ。
などと、土をいじっていると、のんびりとした気持ちになるんですね。

  

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5/2 ”ぎこちないウェイター”

今日は久しぶりに良い天気で、カフェの窓から見る校庭も、青々として
「綺麗だな〜」と思いました。
ノンノと散歩していると、昨日まで気が付かなかったのですが、
白とピンクのデイジーの花が咲き始めていました。
もうすぐ、この東裏小学校の校庭は、タンポポの黄色、デイジーの白とピンクの
花で一面埋め尽くされ、天国になります。

cafeを始めてからというもの、妻は息子を寝かしてから起きて来て、
毎晩遅くまでケーキ作りをしています。
ありがたい事にとても好評で、来てくれたお客様皆さん、喜んでくれています。

というわけで、そよ風通信はなかなか更新できそうにないので、
すっかり主役の座を奪われた僕が、つむ通で頑張ります!

いやいや、僕だってこのGW中は、家具職人ではなく、cafeのマスター(?)として活躍
してるんですよ。ウェイターなんて、バイトでもやった事ないので、知り合いが来ると、
ちょっと恥ずかしいんですが、ぎこちなくやってますので、多めに見て下さい…。。

cafeに来てくれるお客様の多くが、家具や、木のキッチンに感動してくれて、
本当に嬉しくなります。
妻も、大袈裟や、売り込みとかでなく、本心で「このキッチンで作業していると、
全然疲れなくて、逆にすごく癒される。」と驚いています。
実はキッチンを製作させて頂いたお客様からは、そのような声を聞かせてもらっているのですが、
実際に僕が作ったキッチンを、自分たちで使った事はなかったので、今、実際に
それを体験し、驚いています。

そして、妻と「本当に嬉しいねぇ。」と話していることは、何人かのお客様が、
「懐かしい学校で、素晴らしい家具を見せて頂いて、美味しいお菓子をご馳走になって、
本当に素敵な時間を過ごさせてもらった!」と帰りがけに声をかけて下さることです。

もともと妻と二人で、どういうcafeにしようか?と話し合った時、
「こんな所まで来てくれるお客様に、今の自分達が出来る精一杯の”おもてなし”をしよう。」
と決め、僕は、お金は一切関係なく、内装を含めた家具、キッチンを、最高級のものを作り、
妻は、自分の体調の変化や、子育てでの経験から、本当に身体に優しくて、良いもの、そして
美味しいものを提供する。ことにしたので、その事が伝わってくれると、本当に嬉しくなり、
「嬉しいね〜。やって良かったねぇ」と二人で話しています。

GWは3日、4日、5日と北海道は天気も良さそうなので、是非、気持ちのよい東裏小学校へ、
『旅する木』へ、『cafe工房そよ風とつむじ風』へ遊びに来て下さい。
ぎこちない僕のウェイター振りを、見に来て下さい(笑)。お待ちしております。

 

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4/28 ”いよいよcafeオープン”

いよいよ明日に迫った、cafeオープンに向けて、僕も妻も、ラストスパートです。
本当は一週間前には全て終わっていて、週末に知り合いを呼んで練習がてら
プレオープンする予定だったのですが、そこは僕…。
結局ギリギリになってしまい、GWぶつけ本番のオープンになってしまいました。

妻曰く、「やっぱりね〜。初めからそうなるだろうな。って思ってた」
さすが伊達に十何年も夫婦をやっていませんね。

妻は朝からお菓子作りに奮闘しています。
僕は小物もだいたい完成し、お掃除。

仕事の合間に製作してきた、お客さんスペースの家具もばっちり入って、
自分で言うのもなんですが、すごく気持ちのよい、心の底から癒される
空間になっていますよ。

妻の作っているお菓子をちょこっとパクリ!
これもまた、美味しい〜!感激。

お楽しみに〜!!


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4/23 ”新しい命を再び”

内地(本州)は、なんだか寒い日が続いている様ですね。
北海道は、比較的安定して春らしい気候です。

回りの農家さん達は、忙しそうに重機を動かしています。
小鳥達も工房の体育館の回りを忙しなく飛び回っています。
昨年の秋に撒いた小麦が、いつの間にか青々と畑を覆い尽くしています。

この時期、北海道は、冬眠から覚めたように動物(人間)も植物も一斉に
活動を始めるんですね。
かく言う僕も、間近に迫ったcafeのオープンに間に合わせる様、
リフォーム、家具、小物の製作に追われ、せっかくの小春日和を堪能できないでいます。

ちょうど、一年くらい前ですね。東裏小学校の記念樹のニレの木が、
倒れそうになって危険な状態だったので、業者の方に切り倒してもらいました。
家具の材料として使えるかどうか解らなかったのですが、それでも
100年以上学校を見守っていた記念樹を、そのまま産廃にしてしまうことは
出来ず、製材、人工乾燥してもらいました。

その板がちょうどこのタイミングで乾燥から上がって来たので、
カフェのカウンターに使おうと加工を進めていました。

製材、乾燥には、かなりのお金がかかるので、一か八かだったのですが、
上がって来た材料は、とっても味わいがあり、加工の仕方によっては、
素晴らしい天板になるような材料で、嬉しくなりました。

加工している時、小さな穴が空いていました。
一枚板の天板を仕上げる時、指が入りそうな穴や割れは全て、痛くないように
面を取ります。
この小さな穴ももちろん面を取ろうと、ほじくっていると、何と、中から
真っ黒焦げになった虫が…。

この穴を住処にしていたんですね〜。きっと乾燥の際、黒こげにされちゃったん
だろうなぁ。申し訳ない事を…

虫の命と引き換え(?)に、学校のカフェのカウンターとして、再び新しい命を
吹き込みました。
とても味わいのある、素晴らしい天板に仕上がりました。

ずっと学校を見守って来たニレの木が、今度はカフェのカウンターとして、これからの
学校を見守ってくれるなんて、素敵な物語りですね。

みなさんも是非、この物語りを持ったカウンターで、のんびりとお茶をお楽しみ下さい。
卒業生じゃなくても、撫でて、触ってみると、なんだかその物語りが伝わってくる
様な気がします。


ニレの木が切られる時のつむ通

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4/14 ”悩むねぇ〜”

北海道もようやく長い冬が終わり、春風が吹いてきました。
薪ストーブからなかなか離れられなかった僕も、やっと解放され、仕事の
効率もグーンとUPしてきましたよ〜。

と言いたいところですが…

上の写真、機械を前にして、スイッチを入れたものの、実は悩んでいるんです。
僕の仕事風景の中で、良くある風景なんです。

旅する木は完全100パーセント、フルオーダーで家具を製作しているので、
材料は製作図面から読み取り、その都度、材料屋さんに頼んでいます。
材料屋さんも、ありがたい事に、僕には特別良い材料を選んで送ってくれるのです。
ところが、この”素晴らしい材料”がくせ者で…

”木取り”という作業の時。
先ず、”木取り”の説明をしないといけませんね。
材料屋さんから届く木は、丸太を木目に沿って水平にカットされた状態で届きます。
このカットはで〜っかい帯ノコという機械でバスバス割いて、その後、乾燥機
(で〜かいオーブンですね。)で数ヶ月乾燥させます。
なので、表面、側面はガサガサ、おまけに反ったり、端の方は割れているんですね。
幅は15センチ〜30センチくらいで、長さは2m〜4mくらいなんです。
この木を、図面を見て必要なパーツの長さや幅に、プラスαして大まかにカット
する作業を”木取り”って言うんです。

この時点で、木目、色合い、反り具合、家具のどこの部分に使うか、そのパーツと
接続、隣接するパーツはどれか、などなど、いろんな条件を考慮して、作業を
行います。

パーツによっては、ほとんど見えなくなる場所だったりするものもあるのです。
材料屋さんからは、素晴らしい材料が届くんですね。
そうすると、木取りの際、機械の前に立って、
「う〜ん、もったいないなぁ。天板に取っておこう。」
といって、材料置き場へ戻り、材料をひっくり返して適した材料を探し出します。
探したって無いのは解ってるんです。だって、いつも必要な枚数しか頼まないんですから。
それでも、「もしかしたらあるかも。」「あの時カットした残りの材料があったはず。」
と思って探します。

やっぱり無くて、結局機械の前に戻って、さっきの材料をカットしようとします。
でも素晴らい材料を前にすると、やっぱりカット出来ないんです。
この木がここまで立派に育った過程、大木の姿、倒される時の気持ち、などが
伝わって来る気がするんですね。
目一杯活かした使い方をしてあげたい!
結局、材料屋さんに電話して、2等材を頼み直したりして…。。

効率も悪いし、材料費も重なってしまいます。オーダーですから、残した材料を使う、
テーブルの注文が、そんなに都合良く入るとは限らない訳ですから。
それでも、利益や、効率といった自分の都合ではなく、木の言い分の方を優先した
家具作りをしていきたいなぁ。
そして、それを理解して下さるお客様に、精一杯木を活かした家具を、精一杯の技術と
心を込めて、作っていきたいなぁ…

と現在、数ヶ月も待って頂いているお客様に、申し訳ないという気持ちと共に、
自分の中で言い訳している次第でございます…。

今年も、出会っている人を大切に、これから出会う人を楽しみに、丁寧に心を込めて
家具作りをしていこうと思っております。
どうぞ、よろしくお願い致します。
そして、皆様にとって、素晴らしい一年であるように、祈っております。

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