『家具工房旅する木』は豊かな「暮らし」、「心」、「時間」をご提案、ご提供します。


つむじ風通信

実は、学生の頃シナリオライターになりたくて、新聞社のコンペに出展していました。
箸にも棒にも引っかかりませんでしたが‥
文章を書くのは好きなので、妻のそよかぜ通信とともに、日常でのちょっとした出来事を
載せていこうと思います。なんちゃってシナリオライターにお付き合い下さい。


3/24 ”丘の上の桜の木に”

 

 

「脚本家になりたい。」
「自分が描いた脚本を作品にしたい。」

28年前の夢が、叶いました。娘、集まってくれた中高校生たち、妻、支えてくれた
スタッフたちが、僕の夢を叶えてくれました。

2年前の娘の誕生日に、僕が娘にプレゼントした演劇の脚本、『丘の上の桜の木に』
の初公演を無事に終えました。
見に来て下さった200名近いお客様のほとんどの方が目を赤くして、
「感動した!」
「絶対またやって!」
「2作目も楽しみにしてる!」
という言葉をかけてくれました。

今のこの気持ちをどう言葉にすればよいのか。
僕にはそれを表現する言葉が見つかりません。

実は僕は今まで、嬉し泣きってしたことなかったんです。
3回目の公演を終えた時、胸がいっぱいになって、張り裂けそうでしたね。
いろんな思いが込み上げてきて。

その気持ちをどうつむ通に書こうか?
そんなことを考えていたら、見に来て下さった方が、全てを言葉にした感想を
メールしてくれたので、それをそのまま載せようと思います。

++++++++++ お客様のメール ++++++++++++++

あまりのすばらしさに、うまく文章に表現できるか心配です。

とにかく感動しましたし、レベルの高さに驚くばかり。
期待はしていましたが、私の想像をはるかにこえる内容であり、演技でありました。
めったに涙が出るようなことは無いのですが、さすがに涙をこらえるのかたいへんでした・・・


★脚本について

すばらしいお話でした
前半はどんな展開になるのか想像できませんでしたが、途中からわかってきました
その深い意味を感じたとき、震えを感じるくらいの思いがしましたし、展開が読めても
その場面での感動はものすごいものがありました。

どうしてもお母さんに見せたかった桜
どうしてもお母さんと見たかった桜
それを、それにふさわしい魂の持ち主である「はるか」の目を通して見ることができた颯太

すべてのことは繋がっている、ということなど、この作品のテーマの表現方法として、
これ以上のものがあるのだろうかと思いました。

須田さん、天才です!!

★演技について

そよりが最初にケータイ電話の注意を何度もしていました
その中で、「大事な台詞があるので聞こえなかったらたいへん」というようなことを言っていました。
その言葉がすごく心に残りましたし、一つ一つの言葉をしっかり聞き取ろうという気持ちになりまた。
そして、この作品をすごく大切に演じようとしていることが見る前から伝わってきました。

高校生たちのセリフはセリフに聞こえませんでした。
それぞれの子たちが自分のことばで話しているように聞こえました。

演技はかなり上手だったですが、演技がうまいとかそういうレベルではなく、
なんか、人間がそのまま表現されていたような感覚でした。
1人1人がとても素晴らしい人間性をもった子たちであり、それを引き出す脚本であり、
演出であり、演技であったと思います。

★内容について

見えることで見えなくなるもの、見えないことで見えるようになるもの

私も霊感とかそういうのは皆無ですが、見えないものの存在は確かにあると思うというか、
無いはずはないと思っている人間です。
そういうものの存在が人の心を豊かにしていくと思うし。

すべてのことは繋がっている
すべてのことは必然といいますが、まったくその通りと思っています
意味のない出来事は決して起こらない。
どんないいことも悪いことも、必ず意味がある。
その意味を考えて次につなげることができるかどうか。
それが現世での私たちの中にある魂の課題

わかっているけれどなかなかできないことがたくさんあり、反省しながら見ていました

みんなすごかったですが、改めてそよりのすごさを感じました。
霊性の高さ、徳の深さや大きさ・・人間レベルの高さに改めて驚きました。

そして、こういう子に育っていく環境(お父さん、お母さん)のすばらしさ。

誕生日に自分の書いた脚本をプレゼントするなんていう、こんなオシャレなことをする
お父さんが他にいるでしょうか?

そしてそれを発表しようと行動する娘
それを全力サポートするご両親、周りの人、友だち

須田さんご夫妻の出会いや結びつきの必然性はもちろんのことですが、
そよりの魂は、このお父さんとお母さんを選んで生まれてきたんだなと
改めて強く感じました。
将来が楽しみでしかたありません

そして、その魂に惹かれて集まってきた子たちもまた素晴らしい子たちだと思います。
みんなの将来もとても楽しみです

そんなことを思いながら、自分はなんてちっぽけな人間なんだろうという思いがわいてきました
ずっと前にそよりから監督話をいただきましたが、監督なんてやっぱり絶対むりだった〜
と思いました…笑
でも、ちょっとでも気にかけて声をかけてくれたこと、今でも感謝しています。

この舞台は、これで終わりなのでしょうか?
いろんな流れがあって、このときを迎えて、そしてあの舞台がつくられる
そう考えると、次にやったときにはどんな感じになるかわかりませんよね
でもそれが演劇の魅力なのかもしれませんが

それでも、身近な人たちにもぜひ見せたい、もっと多くの方に見てほしい
だからできたらまたやってほしい

そう心から思ったひとときでした

本当にありがとうございました。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++

その他にもたくさんのご覧になった方からの感想メールを頂いております。
皆さん、本当に喜んで下さって、そのメールを読むだけで、いまだに目頭が熱くなります。

僕は霊能力者ではありません。
まだオバケも見たことがない(笑)。
だから、本当に目に見えない心の世界があるのかなんて、正直わからない。
でも、人生を肯定して生きていこうとすると、そういう世界の存在があるんだろうなぁって思う。
きっと僕たちは誰も、そのことに薄々気が付いているんじゃないのかな?
もしそんな世界が無いんだとしたら、この演劇を公演できるなんてあり得ないですもん。

家具屋の親父が20年も前に捨てた”脚本家になりたい!”なんていう夢を、娘が
思い出させてくれて、娘の誕生日にプレゼントした脚本を、なんとか公演しようと娘が呼びかけ、
宝石の原石のような若者が集まって来て、妻が彼らを温かく、時に厳しく応援し、
自分たちで全部構成、演出を考えて練習を重ね、公演の日を迎えられたなんて…。

そう、そうなんだ。きっとあるんだ。目には見えない不思議な世界が!

洋子(登場人物)のことばを自分に贈ろう。
「目に見えない世界が実はあるのかもって想像してごらん?心がすごく豊かになれるものよ。」



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2/15 ”僕を使って下さいませ〜♪”

年末にスタートしたクラウドファンディング、
【温かくて素敵な、木の車椅子を作りたい】プロジェクト、
皆様の温かいご支援を頂き、先日正式に成立致しました。

3号機までの試作に、かなりの時間とお金と労力を注ぎ込んでやってきて、
まだまだ完成度を上げる為には、先の長い道のりだな〜。っと思ってたところ、
ひょんなことからクラフドファンディングのことを知り、実際のお金を出してくれる
支援なんて、集まるものなのかな?難しいだろうな。という気持ちで始めました。

ところが、ふたを開けてみると、スタートから一日で目標金額を達成してしまいました。
本当にビックリしました。
こんなに期待されているんだ。この車椅子を世の中に出して欲しい。と思ってくれている方が
いるんだ。と思うと、感謝の心が沸き上がってきました。そして、その感謝の心と
比例するように、もう”後には引けない”というプレッシャーも。

この木の車椅子、今までは言ってしまえば世の中に出せなくてもよかったわけで。
注文が入っているわけでもなく、需要があるわけでもなく、誰かに期待されているわけでもなく、
まだ世の中にはこの様な車椅子は存在していないので、あくまで僕個人の趣味の領域の中での
出来事だったんです。
もちろん、趣味で終わらせるつもりはなく、真剣に取り組んで来たものの、
クラウドファンディングの成立で、今まで自分に甘んじてた部分があったんだと、改めて感じました。

そして先日、岩見沢の施設を伺い、実際の車椅子ユーザーの方に試作3号機に乗ってもらい
感想や意見を聞かせてもらいました。
僕なりによ〜く考えて、既存の車椅子の構造を研究し、今までの家具作りの知識を結集して、
完成した試作3号機なのですが、車椅子ユーザーの方からの意見を聞くと、
まだまだ健常者の考えの範疇から出ておらず、心底、使う人のことを考えられていなかった
部分があり、とても貴重で、難しい意見を聞かせてもらいました。

それでもみなさん、こんな車椅子があったら、嬉しくてワクワクしちゃう。とか、
ぬくもりがあって、ずっと触っていてくなる。とか、人に見せたくなる。など、
僕がどうして美しくデザインされた木の車椅子を作りたいと思ったのか。という根本の部分を
きちんと感じてくれていたことは、本当に嬉しかったです。

また、旅する木の家具を使って下さっているお客様の中にも、医療関係のお仕事をされている
方がおり、すでにいろいろと協力して下さっているのですが、さらに今回訪れた施設で働いている
理学療養士や、作業療養士の方々もとても興味を持って下さり、開発に協力してくれるという
ことをおっしゃって下さり、心強い協力者が増えました。

そして、もうすぐ放送される予定ですが、NHKの番組でも開発の様子を取り上げて頂き、
先日、撮影をしました。
さらに、これはまだ発表出来ないのですが(本当は言いたい〜!)、もし決まれば、
全国の方に木の車椅子のことを知ってもらえる衝撃的な出来事になり得るかも知れない
お話をもらいました。

車椅子の試作を始める時、模型をコンペに出したのですが、その時、3年前のつむ通 の題名は
『奇跡の目撃者になれる!』なんていう大反れたことを堂々と綴っておりますが、
あの頃(今でも)、全くどうなっていくのか解らなかった木の車椅子プロジェクトが、
ここに来て、僕の力では及ばない大きな力に導かれて動き始めたような感じがしています。

今年の年始の挨拶で、
『今年、旅する木は僕の思考から解放し、僕自身も含め、神様というのか、宇宙的な存在というのか、
根本の存在に身を委ねてみようと思っています。
言葉にするならば、旅する木を通して、僕を通して、旅する木のスタッフを通して、
神様が表現したいことを表現してもらう。そんな感覚に近いかも。』

と書いたのですが、あれこれ戦略や指針や目標を持たず、委ねることにしたところ、
大きな力が動き始めたような感じがしています。
そしてその大きな力というのは、全部素晴らしい出会いを通じて、人を通じて導かれているもので、
ただただ感謝せずにはいられません。

神様がどんなものを僕を通して、旅する木を通して作ろうとしているのか、今、僕はそれを
楽しみにしています。

実はこんな風に思えるのは、毎週末練習している、旅木演劇工房の演劇の影響が凄く大きいのです。
一昨年の娘の誕生日に、僕が娘にある脚本を書いてプレゼントしたのです。
その脚本を、娘が一年かけて中高生の有志を集めて、練習しています。
昨日、頭から終わりまで通して稽古をしたのですが、終わった時、演じている子供たち、
そしてスタッフの大人たち、感動して涙を流していました。

この脚本は、はたして本当に僕が考えたのか?このセリフは、本当に僕が考えたのか?
この子たちは、本当に半年前まで、どうしようもなかったあの子供たちなんだろうか?
僕も含め、誰一人本格的に演劇をやったことの無い素人集団が、ここまで人の心を動かす
演劇を作れるものなのか?
僕らは一体何者なんだ?

決して、凄いだろ?っと言ってるわけではないのです。
むしろ全く逆で、自分が、自分たちがやっていることが、自分たちの能力ではなく、もっと大きな
存在の能力を、自分たちを通して表現しているだけに過ぎないという感覚なんです。

きっと人はみんな同じなんだろう。

だから僕は、「神さま、どうぞ、自由に僕を使って下さい。旅する木を使って下さい。
あなたの表現したいものを自由に表現して下さい。」と思って、さて、木の車椅子、
演劇、どんなものが出来上がるんだろう?と楽しみにしているのです。

木の車椅子はまだまだ先が長いですが、旅木演劇工房の演劇、
【丘の上の桜の木に】
の公演は、

3月20日(日)、21日(月・祝日)

です。
神様がどんなことを表現したかったのか、是非見に来て下さいませ。

って、作品の良し悪しを神様のせいにしようとしているな(笑)?



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2016/1/19 ”旅する木が目指すもの”

新年のご挨拶が遅れまして、すみません。
仕事始めと同時に、旅する木スタッフはトップスピードで家具作りをしています。
毎日、スタッフみんなで 少しでも早く、楽しみに待って下さっているお客様に家具を
届けられるように頑張っています!

毎年年末に、来年の目標なんかをイメージして、年末年始にそれらを固めて、
計画を練る作業をしています。
そして年始にスタッフに発表して、「頑張ろう!」と勢い良くスタートし、
2,3月の雪と寒さに意気消沈し、4月の新年度でまた新たに気持ちを入れ替えて、
6月くらいに中だるみし、お盆前の慌ただしさに目標どころじゃなくなり、
秋になって、「やばい、このままじゃ何もしないで今年も終わってしまう!」と
気持ちを入れ替えたものの、年内の納品に追われ一年が終わる。
そして山口君や花輪君と「いや〜、一年速すぎだな。年始に目標を掲げたのが、まるで
ついこの前じゃん。」という感じですかね。ここ数年。

まあ、だったら最初から目標や計画を立てなきゃいいじゃん。って?
そうなんですけど…。

僕はずっと、目標を掲げて、計画を練って、そこを目指して頑張る。その頑張って苦労
している姿に自己満足しているところがあるんですね〜。
「いつ、どこでどんな風に死のうとも、その時は目標に向かう道の途上でありたい。」なんて。
昭和の人間ですね。

ところが、2年くらい前から何だか調子が変なんです。苦しいんです。辛いんですね。
そんな自分が。

昨年、マヤ歴の超〜凄い先生に教わり、勉強をしました。そして年始にその先生の勉強会が
あったので参加しました。
マヤ歴、ご存知ですか?聞いたことはありますよね。
古代マヤ文明は天文学が現代よりも遥かに進んでおり、マヤ歴は宇宙の法則、リズムにあった
暦で、それぞれ誕生日ごとにその人の持つリズム、特性を意識して過ごすと、宇宙に応援され、
宇宙の采配に則した出来事や出会い(シンクロ)が起こるというものです。

怪しいと思うでしょ〜?怪しいと思ったら、やってみて下さい。凄いんですから。
深いんですから。
僕の過去の人生を照らし合わせみました。その頃はもちろん、マヤ歴に出会っていなかった
のですが、オリンパスを辞めて木工の道に入った時、独立を決心した時、当別に工房を移転した時、
そのどれもが、結果的に僕の生まれ持った特性と、宇宙のリズムに合ったタイミングだったんです。

結局はインスピレーションに従って生きていれば、宇宙のリズムと一致しているのですが、
日々の生活に追われ、感覚が退化した僕らはインスピレーションがよく解らない。
そして
判断、行動を起こす際、僕らはついつい頭で考えてしまう。色んな条件を並べて。
マヤ歴は、そんなタイミングや、宇宙の応援を、目に見える形で表現してくれるんですね。
今年、もっともっと深く、マヤ歴を勉強したいと思っています。

ちなみに、NASAの結構深い部分で働いていた人が言っていたのですが、NASAの中では、
現在の暦(グレゴリオ暦)ではなく、マヤ歴で動いているんだそうですよ。

ちょっと話しが反れましたね。
今、マヤ歴的には僕は大きな意識の変換期に来ていて、何が起きるかわからない。
何が起きてもおかしくない。予期せぬ出来事が起こりうる時期なんだそうです。
宇宙との繋がりがとても強く、思ったことがそのまま現実として起こるので、それだけに、
本当に心を磨いて、良い思いを持って生きることが大事なんだそうです。

意識の変換期ということは、今までの考え方、生き方、自分の中の常識や固定観念、こだわりを
全部手放して新しい何かを構築しなければならないんですね。その準備が2年くらい前から
始まっていて、今までのやり方を手放せない僕は、何か苦しいんですね。
傍から見ればそんな風には見えないかも知れませんが、ここ数年、苦しみの中にいます。
そういう姿を見せない。というのもまた、今までの僕の生き方なので。

昨年あたりから、身近の人、たまたま出会う人の口から語られる言葉、出会う本などから
伝えられることに、共通性があるんです。不思議なくらい。
そしてその内容は、僕の今までの考え方や生き方とは異なるもので、困惑していました。
いたってシンプルで、ずっと昔から知っていたこと。

でも、夢を実現させたり、目標をめざしたり、自分の存在意義などというものを考えた時、
僕は別の方法を選んでいました。
よく言われる、具体的にイメージをするとか、引き寄せの法則とか、因果応報とか。
これらはもちろん、すごく成果はあり、あるところまでは導いてくれるのですが、
そこから先を指し示すものではなく、迷路に迷い込んでしまった。そんな感覚があるのです。

今、僕が導かれているいたってシンプルなこととは…?
言葉にすると、ほんと簡単な一言。

”ゼロ”の状態になりなさい。

そんなこと?っと思うかも知れませんが、これが出来ないんですね。なかなか。
思考や感情は、僕が気付くより速く僕を支配してしまうので。
今までの経験、習慣、思考、常識、教育、擦り込み、観念、…などがどれだけ自分を
がんじがらめにしてきたことか。
それらを一つ一つを手放し、ゼロの状態に近づけば、限り無い宇宙の叡智(インスピレーション)
が流れ込み、その叡智に従ってする行動は、その人の才能を最大限に発揮し、その人の役割を全うし、人も自分も幸せにするのだと。

本来、僕たちは完全な存在なはずなのに、いろんな要らない衣で身を包み、一生懸命
あれこれ頭で考えて判断をし、行動することで、予期せぬ結果をもたらし、その結果に
右往左往、一喜一憂し、要らぬ学びをし、その学びから観念が生まれ、データーが積み重ねられ、
そのデーターを元にまた次の判断をして…、ということを繰り返している。

今年、旅する木は僕の思考から解放し、僕自身も含め、神様というのか、宇宙的な存在というのか、
根本の存在に身を委ねてみようと思っています。
言葉にするならば、旅する木を通して、僕を通して、旅する木のスタッフを通して、
神様が表現したいことを表現してもらう。そんな感覚に近いかも。

こんなことを年末年始に考えていて、仕事始めの日、このことをどうやってスタッフの
山口君や花輪君に伝えようか考えていました。
「須田さん、怪しい宗教にハマったんじゃないの?」とか、「目標を立てないって、会社として
大丈夫なの?」とか、「モチベーションをどうやって保てばいいの?」なんて思われるんじゃ
ないかな?と心配していたのですが、そこはさすが優秀な旅する木のスタッフたち。
それぞれの思うところと重なる部分があったようで、すんなり理解してくれました。
素晴らしいスタッフたちだな。といつもながらつくづく思います。

もし魂にレベルと言うか、進化の度合いを表す基準があるとしたら、彼らは明らかに
僕より進んでいると思います。偉ぶることなく、いつも謙虚に淡々と僕を引き立てる影役として
仕事をしてくれて、その事に喜びを感じている。
僕はまだその域に達していないんですね。
そういうところも手放していきたいと思う。

今までいつも目標をたて、それに向かって進んでいることで、安心感とか、充実感とか、
満足感を得ようと思ってやって来た僕が、神様などと言う得体の知れない存在に全てを委ねる
ということは、大きな意識の変換です。
僕はもともと実験とか好きなので、この結果がどう出るのか、楽しみです。
まあ、結果を期待する時点で、ゼロの状態では無いのですが…。

11年目を迎える今年の旅する木は、またゼロからの出発、もとい、ゼロを目指す出発です。
今までは目標があったのでイメージ出来ていたのですが、これからの旅する木は、
どこに向かうのか、どうなるのか、何が起こるのか解りません。まさに神のみぞ知る領域。
その世界を旅する木がどう表現し、人を幸せにしていくのか。その過程で何が起こるのだろう?
マヤ歴の先生曰く、「起こるどんな出来事も、須田さんが本当に自由で喜びみに満ちた自分に
なる為に起こることなので、安心して味わって。宇宙はいつでも、応援してくれているから。」

嬉しいこと、大変なこと、そんな起こる出来事に心揺さぶられること無く、いつもゼロの状態
でいられる心の強さを身につけたい。
強いて言うなら、これが今年の僕の目標です。



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12/31 ”2015年、感謝を込めて”

大晦日ですね。
今年も一年をスタッフ全員無事に怪我などもせず、過ごすことが出来ました。
木工の仕事というのは、怪我がつきものと言っては何ですが、一瞬の油断で
大怪我と背中合わせの仕事なので、売上げがどうのこうのとか、今年はどうだったか?
などという前に、とにかく一年、無事に終えられた。というだけで、良い年だった。
と思えます。

その上で、今年を振り返ると、

旅する木10周年という節目の年で、初めて『旅木祭り』というイベントをしました。
当日の朝まで、「いったいどれくらいのお客さんが来てくれるんだろう?」
と不安に思っていたところ、何と、100名近いお客様が来てくれて、
豪華景品を目指しての旅木クイズや、お餅つきなど、盛り上がってくれました。

旅する木を立ち上げてから一貫して、お客様に喜んでもらえるよう、真剣に家具作りに
励んで来ました。そんな一日一日が積み重なり10年が経ち、そのお祭りに、こんなに
たくさんの人が集まってくれたことは、本当に嬉しかったです。

さらに数年前からずっと温めてきた夏休みの企画。
『子供たちの木工職業体験プロジェクト』
これも今年を語る上で外せないイベントでした。
参加してくれた子供たちで会社を作り、社長、営業部長、企画部長、設計部長、工場長を
決めるのです。
自分たちで、何を作るかを決め、価格も決め、自分たち製作し、自分たちで売り、
利益を出し、給料をもらう。という会社としての流れを全て体験し、働くことの意味を
感じて考えて欲しいというもの。
参加してくれた子供たち、途中の中だるみで、僕に一喝されるなんていうこともあったり
しながらも、販売日、札幌駅地下歩行空間を歩いている人に、一生懸命売り込む姿には
僕も感動しました。
そして何と、僕の予想を超える売上げを上げ、しっかりと利益を出し、最後、社長から
渡されたお給料をもらう社員たちの喜ぶ姿はとても印象的でした。
このイベントの様子はこちら

それから、僕が数年前から取り組んでいるもの。
『木の車椅子』
改良を重ね、試作3号機まで来ました。

そしてトップページで募集をしていますが、試開4号機の開発費を支援してもらいたくて、
クラウドファンディングで呼びかけたところ、なんと、すでに目標金額を大幅に越える
ご支援を頂きました。
情報の拡散に本当に多くの方が協力してくれました。
僕の想いが伝わり、ちょうどクリスマスイブに公開したので、支援して下さったにも関わらず、
「クリスマスプレゼントを頂いたような気持ちです。」という感想を添えてくれた方もいました。

このクラウドファンディングでの多くの方々の協力と実際のご支援は、本当に嬉しいです!
人って温かくて素晴らしい。心から感謝したくなりました。
これでもう後には引けないという大きなプレッシャーとともに、それをはねのけるくらいの
パワーをもらいました。

『木の車椅子』の製作は来年になります。これからの道のりの方が今までよりずっと
大変で苦難な道であることが予想されるけれど、必ず乗り越えて、世の中に発表出来るまでに
していこう!と思っています。

何だか仕事(家具作り)以外のことばかりになってしまいましたね。
旅する木を立ち上げて10年が経ち、いつの間にかスタッフが増え、彼らが本当に一生懸命に
家具作りをしてくれています。すでに僕の技量を越えていると思います。

「須田さん、最終チェックをお願いします。」と言ってくる完成した彼らが手がけた家具を見ると、
「素晴らしいなあ。」と実感する出来栄えに、驚く程です。

もちろん、僕も家具作りをしていますが、自信を持って彼らに任せることができるようになり、
こんな風にずっとやりたかったことをやれる環境になってきたことに感謝しています。

『喜ばれる家具作り』というしっかりとした土台の上で、来年も『旅木祭り』も、
『木工職業体験プロジェクト』も、『木の車椅子』も、やっていきたいと思います。

こんな風にやりたいことが出来ているのは、旅する木を応援して下さっているお客様が
いるからこそで、本当に嬉しく、感謝しています。

今年も多くの人に支えられ、たくさんの家具が旅する木からお客様の元に旅立って行きました。
喜んで使ってもらっている知らせを頂きます。
ホッとして、本当に嬉しくなります。
それが活力になって、また喜んでもらえる家具を作ろう!と思って取り組めます。

これは10年前から変わっていませんし、これからもずっと変わらないと思います。

旅する木10周年。
進化するもの。そして、変わらないもの。
それらをしっかりと受け止めて、次の年の一日一日を積み重ねていこうと思います。

今年も本当に応援して下さり、ありがとうございました。

それでは良い年をお迎え下さい。



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12/19 ”ドラマでしょ!”

いや〜、師走に入って、旅する木は忙しい日々が続いております。
忙しいことを言い訳に、つむ通、なんと一ヶ月も空いてしまいました。
すみません〜。
書きたいことはいっぱいあるのですが…。
何書こう?どれ書こう?
そうそう、大事件!これにしよう。すごい事件がありました。

実は11月の中旬、ちょっとした用事があり、長野県の八ヶ岳に行って来ました。
八ヶ岳の用事はほぼ空振りに終わり、せっかく長野に来たので、久しぶりに
実家に帰りました。
実家にいても、やることもないんですよね〜。
「どっか、温泉旅館に行こう!」と言い出し、両親と3人で急遽、安曇野に行ったんです。

わさび農園に行ったり、古民家で美味しい信州蕎麦を食べたりして、
温泉旅館で温泉に入って、久しぶりに両親といろいろと話しをしました。
僕も両親も、行き当たりばったりには慣れているので、
「明日は黒部ダムを見に行こう!」と突然の黒部ダム観光をすることに。

『黒部ダム』と言えば、『プロフェッショナル』。
終わってしまいましたが、僕はNHKの『プロフェッショナル』が大好き!!
修行時代、「いつか絶対にプロフェッショナルに出る!」と言っていたものでした。

次の日、安曇野は初雪。しかも黒部ダムへ行く扇澤への山道は、結構激しく降り始め、
スタットレスタイヤをはいていない父の車では断念。でも、僕はせっかく来たので、
どうしてもプロフェッショナルの世界を見たくて、観光バスに乗り換えて
行くことにしました。

ただ、実家を出る時、まさか黒部ダムを見に行くことなど予想していなかったので、
両親は結構軽装。黒部ダムの気温を調べると、氷点下。
そこで、父は大町の温泉でのんびりすることにして、父の服を母が着込んで、
僕と母で黒部ダムを見に出発しました。

映画『黒部の太陽』や、『プロフェッショナル』で見た、すざましいまでの苦闘の末、
開通した関電トンネルをトロリーバスで行くと、たった15分なんですね。
でも、そのトンネルの開通、そして黒部第三ダムの完成こそ、日本の夜明けと信じ、
多くの犠牲を出しながらなお、執念で開通させた当時のことを想像すると、
感慨深いものがありました。

トンネルを抜けると、そこに黒部ダムが存在する・・・はずでした。
ところが、そこは僕には見慣れた景色が。
そう、吹雪。
一面吹雪で何にも見えない。
ダムも、山も、道も、真っ白で境目も判らないくらい。
展望台も閉まってる。
一体何しに来たんだ?ってな感じ。

ところが、僕がここに来たのには、本当に大きな理由があったんです。
そんな運命を、この時の僕は知る由もない。
結局帰りのトロリーバスを待ち、黒部ダムを後にしました。

観光バスで大町まで戻り、父に連絡をすると、
「いい温泉だから、入りに来い。」っと。
いや〜、先日温泉宿に泊まって、3回も温泉に入っているし、もう十分だよ。
と断っても、なぜか父は、「いいから、とてもいい温泉だから来い!」っと譲らない。
まあ、これも親孝行の一つだと観念し、その温泉に向かいました。

そうですね〜。北海道の温泉に入り慣れている僕には、父が言う程でもないなぁ。
くらいの温泉でした。賑わってる風も無く、まあ、さびれた日帰り温泉です。

僕が黒部ダムに行っている間中、入っていた父は、とっくに出ていて、回りには
おじいちゃんが3人いるだけ。その1人はかなりのお年寄りで、ずっと、
「う〜〜〜、あ〜〜〜」って言ってる。

体を洗って、最後湯船に入って出よう。と湯船に入っていると、そのおじいちゃんが
隣の浴槽の一段上がったところに腰掛けて入っていました。
相変わらず「う〜〜〜、あ〜〜〜」
まあ、気にしない、気にしない。

でも、なんか気になって見ていると、そのおじいちゃん、ゆっくりと、ほんとゆっくりと、
水面に顔を付けるように倒れてくるではありませんか。
両手を頭の上に上げて、両足を広げて浮かび始めます。

!!??

いや、泳いでるんだよね。ゆっくり顔をつけていたし。

でも、万が一?

とっさに僕は数を数えました。「1、2、3…」
この歳だったら、30秒経ったらまずいだろう。っと。

「28、29」

その時、おじいちゃんの手が平泳ぎ的にスーッと動きました。
ああ、やっぱり泳いでるんだ。

「31、32…」

どっち!? 泳いでるの? そうじゃないの!?

「39、40」

やばい!!これ、やばい!!

慌てて隣の浴槽に飛び込んで、
「ちょっと!ちょっと!おい、おい!!」

必死に浴槽の外に持ち上げて、寝かしたのですが、完全に意識がない。
「ちょっと!ねえ、おじいちゃん!」

ほっぺを叩いたり、お尻を叩いたりしながら
「救急車呼んで!救急車呼んで!」

そして心臓マッサージを続けました。
僕の心臓はバクバクです。
頭の中は真っ白。

え?何ですって?
フルチン
かって?

フルチンに決まってんじゃない!!
そんなこと、今気にしてる場合じゃないでしょ!

必死に大声をかけたり、ひっぱたいたり、心臓マッサージをしたりお湯をかけたり
しているうちに、とうとう意識を取り戻しました。
かなりモウロウとしていましたが。

焦りましたね〜。久々に焦りました。
そのうちレスキューの人が来て、バトンタッチ。

名前とか、生年月日とか、年齢とか、住所とか尋ねると、何とか答えていました。

レスキューの人に、詳しい状況を聞かれました。
「泳いでいるのかな?と思い、30秒待ってました。」

二度見されました…。。

でも、だって、こんなことドラマの世界でしょ。

とにもかくにも、無事で良かった。
女湯に入っていた奥さん(おばあちゃん)に、すごくお礼を言われました。
良かったなぁ。しみじみと思いました。

僕が長野に来ていなかったら、
実家で暇で、「安曇野に行こう。」って言わなかったら、
その日がもし良い天気だったら(父も一緒に黒部ダムに行っていた。)、
黒部ダムが吹雪じゃなかったら(もっとゆっくり見学していた)、
父が必用に温泉を勧めなかったら、
タイミングが5分でもズレていたら、

どれか一つの条件が違かったり、別の選択をしていたら、きっとあのおじいちゃんは
助からなかっただろう。

八ヶ岳の用事は空振りだったわけで、と言うことは、僕はこのおじいちゃんを助ける為に
神様が用意周到に計画されて、北海道からわざわざ その日、そこに居合わせたんですね。

おじいちゃん、93歳だと言ってました。

93歳。

大きな声では言えませんが、僕は言いたい。
将来、世の中を変えるような大きな仕事をする運命の星の元に生まれた子供だったり、
若者であったなら…。

いやいや、若者だろうが、子供だろうが、お年寄りだろうが、命の重さに
差があるわけじゃないんです。
そんなこと、決して思ってもいません。
おばあちゃんは本当に喜んでいました。

ただ…、
ただ、僕が言いたいのは、
僕の役、近所のおじさんで良くないですか?(笑)

それにしても、本当に良かったぁ。


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11/13 ”昭和へっぽこフレーズ”

朝起きてブラインドを開けると、霜が降りていて、庭の草が白くなっていました。
北海道の各地で今朝、氷点下になったようですね。
近くの山のてっぺんは真っ白くなっています。
北海道の本格的な冬が、もうすぐそこまでやってきています。

そんな寒い中、雪が積もるまでは自転車で出勤しています。
ノンノ(北海道犬)の散歩も兼ねて。
学校の回り約1キロをぐる〜と一周するのですが、今日途中でノンノが立ち止まって
しゃがみ込んで踏ん張り始めました。そう、うんちタイム。

犬のウンチと言えば、よくイメージする光景は、終わった後、後ろ足での砂かけ。
でも、ノンノはそんな素振りを見せたことがないんです。
どの犬もやるわけではないんですね。

ところが、今日突然ノンノがやったんです。全然土、かかってませんけど…。
へ〜、ノンノもやるんだぁ。
それにしても何で突然やったんだろう?
すっかり忘れかけていた犬としての癖が、ふっと突然出ちゃったのかな?

忘れてたけど、ついやっていた癖、僕にもあったんです。

それは子供の頃、父親の運転する車の後部座席に座っていると、いつもやっていました。
道路にガードレールがありますよね。車は走っているのでガードレールはビュンビュンと
後ろに流れていきます。
そんなガードレールに僕の小さな小さな分身がいて、車に乗っている僕の横で、車のスピードに
合わせて僕の分身がガードレールの上を走っているんです。ガードレールは途中で切れるので、
その切れている区間を僕の分身はジャンプしているんです。
頭の中では「タカタカタカッ、ビューン(ジャンプしている)、タカタカタカッ、ビューン」
てな感じ。
ガードレールがない時は、センターライン上を走ってる。僕の小さい分身が。

わかりますかね〜?
いつでもずっとやっていました。
親に「なんで修司はいつもそうやってボケッとしてるの!」なんて言われていました。

ボケッとしてないんだけど…。

まあ、説明しても解るはずないと思い、言ったことはないのですが。

この癖、いつしかすっかり忘れていたんだけど、先日妻が運転する車の助手席に乗ってた時、
やってたんですね。
「聞いてるの?」という妻の怒り気味の声で
あ、俺の分身、ガードレール走ってた。っと気が付きました。
久しぶりに分身に会いました。懐かしかったですね〜。
ちっとも変わってなかったです(笑)。


・・・

すみません。つむ通はいつも目的なく、思い付いたまま書いているので、
ここまで書いたものの、だから何?という結末に、自分でも困っています。
あっ、そ。その癖がどうしたの?

それでは、ジャ、ジャーン!ちょっとした豆知識。

動物がフンに砂をかける行為、猫もやるんですって。
ただ、犬と猫、目的は全く逆のようです。

猫は自分の気配を消す為に、フンに砂をかけて匂いを消すんですって。
お、この近くに猫がいるぞ。って自分の獲物に気付かれない為なんだそう。
もしくは、自分を狙う獲物に気付かれないように。

それに対して犬は、踏ん張ると犬は足の裏に汗をかくので、その匂いを地面に擦り付けて
いるんですって。自分の存在を回りに知らせるんですね。縄張り意識ですね。

じゃあ、やる犬、やらない犬、どうしてかというと、
縄張り意識が強いか、そうでもないか、なんだそうです。
「うりゃ〜、ここは俺の縄張りじゃ〜。何人(犬)たりとも入らせね〜!!」
という犬は、いつも砂かけをするんでしょうね。

ということは、うちのノンノちゃんは、謙虚で控えめなんですね〜?
今日はちょっとだけ、我が出ちゃったけど、そんな日もあるわよね〜。
も〜、可愛いんだから♪


すみません。今日はなんだかキレが悪くて…。

このへんでドロンします…。。


・・・

いやいや、「ドロンします。」って、ほんと、キレがないわ〜。

”このへんでドロンします”ってフレーズ、
『昭和へっぽこフレーズ大全』という本の代名詞だって。

微妙に古さと間抜けさで周囲を腰砕けにしてしまうへっぽこのフレーズなんですって。

今日はだめだ。もう帰ってバタンキューで寝ます!

・・・

”バタンキュー”もないわ〜(涙)




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10/26 ”♪♪スタッフ 募集 ♪♪”

とうとうやってきましたね。
冬が…。
昨日、北海道各地で初雪が降りました。
先週末は20度を越えてたんですけどね。
北国は季節の移り変わりが一瞬でやってきます。
昨日まで秋で今日から冬。って感じに。

ところでみなさん、将来なりたかった職業はなんですか?
実は僕はシナリオライターになりたかったんですね。
子供の頃から、あまり本など読まなかった僕ですが、『北の国から』大好きな僕は
学生時代、倉本聰の脚本を読みあさりましたね。

富良野塾に入ろうと真剣に悩んだのですが、当時、国立大学の工学部に在籍していた僕は、
まだ引く手あまたな一流企業と言われる会社への就職を捨てきれず、一歩踏み出す勇気がなく、
言い訳を作っては、自分を納得させて諦めました。
このことは、いまだに後悔していますね。

ちょっと話しが外れますが、僕のところにたまに、進学校に通う高校生が
「木工の道に進みたいんですが…。」と相談に来ます。
学校の中で、大学進学を選ばない人はいないんだとか。
進学か、職人の道か、真剣に悩んでいます。親、学校の先生も含め、回りのほぼ全ての人が
反対なんですね。表立って反対はしないけど、今すぐじゃなくても良いんじゃない?なんて。
僕は可哀想だな。と内心思っています。なまじ勉強ができるばっかりに。
じゃあ、今、その情熱は、その気持ちはどうなんだ?って。
きっとそのうち忘れて、違う道を歩んで、そこで天職を見つけられれば良いけど、
そうでなかったら…。
未来なんて解らないから、あれこれ悩んでないで、やってみればいいじゃん。って。

”夢破れて山河あり”
違いますね。
”国破れて山河あり”
いや、いいんです。
”夢破れて山河あり”

夢破れたって、あの山は何も変わらず存在していて、あの川は太古から変わらず滔々と流れている。
それでいいんじゃないか。

って、他人事では言えるんですけどね…。
すみません。一気にトーンダウンしました。

話しを戻しましょう。

今、高2の娘はダンス科のある高校に通っていて、ダンスと演劇の勉強をしています。
そんな娘の昨年の誕生日に、僕が書いた演劇のシナリオをプレゼントしました。
個人で人を集めて演劇をやるなんて、どうすればいいんだろう?
なんて思っていたのですが、娘が友達に声をかけたり、SNSで呼びかけたりして、
やりたい!という若者が集まって来て、3月の公演を目指して、毎週練習をしています。

僕も一度だけ練習を見たのですが、ビックリしました。
今どきの高校生、しかも決して真面目そうな子供たちではなさそうな子供たちなのですが、
演じることが大好きで、発声が得意な子は、ボイストレーニングの先生になって指導し、
ストレッチが得意な子はそれを指導し、自分たちで寸劇を即興で作っては演じ合い、
それに対して良いところ、上手く出来てないところ、こうした方が良さそう。などと
感想やアドバイスをし合い、とても真剣に、とても楽しそうに、とても活き活きと、
その時間を過ごしているのです。

例えば僕が有名が脚本家で、この演劇が大きな舞台で公演されることが決まっていて、
たくさんの人が見に来てくれて、多くの人に評価され、彼らの夢の足がかりになるんだと
したら、こんな風に一生懸命にやるのも当然だと思うのですが、全然そんなことはなく、
脚本自体も素人が書いたもので、公演にたとりつけるのかも解らない、見に来てくれる
人がいるのかも解らない、そんな状態なのに、こんなにも真剣に、何もかも自分たちで
作り上げようとする彼らの姿に、僕は本当に心を打たれ、凄いと思っています。

もしかしたら、この公演をしたからといって、すぐに人生が大きく変わことはないかも
知れない。
でも、10代でこの経験をしている彼らの心には、ピカピカに光った引出しが一つ増え、
彼らの人生の中で、ある選択を迫られる時、その引出しの中にある神々しく光ったものが
羅針盤のように方向を示してくれる時が来るのではないかと思います。

3月の公演を目指しています。
まだ頭数が足りません。
役としては、10代〜40代までの男女の役があります。
裏方でも、なんでも良いので、興味のある方、声をかけて下さい。
自分の子供に、そんな体験をさせてみたいと思う方がいたら、子供に話してみて下さい。

子供たち、毎週とっても、とっても楽しそうで、活き活きとやってます。
夜はそれぞれの夢を語り合ったり、応援しあったり。

テレビのニュースをみると、日本は、世界はどうなってしまうんだ?って思うけど、
こんな高校生たちを見ると、この先、明るい未来があると確信できます。

お待ちしております!



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10/5 ”重い 思い”

工房の回りの田んぼの稲刈りが終わり、ノンノ(北海道犬)の散歩をしていると、
刈った草の香りがします。そしてこの香りはすぐそこに寒い冬がやって来ていることを
感じさせます。
北海道は日が沈むのが早く、夕方6時過ぎには、もう暗くなって、たくさんの星が
見え始めます。
澄んだ秋の夜空、肌寒さ、そして草の匂いは、これから訪れる長い冬の気配を感じさせて、
なんとなくもの悲しい気持ちになります。
でも、なんだかこの感じは心をシャンと律せられる感じもあり、悪くないなぁ。
という気もします。

ただ、工房での作業は、めっきり寒くなって、薪ストーブを焚こうかな?という誘惑に
かられます。
誘惑? 寒かったら焚けばいいじゃん!と思うでしょう?
僕もそう思うんですよ。でも間もなく訪れる厳しい冬を乗り越えるには、10月初旬で
薪ストーブなんて焚いてちゃダメなんです。ギリギリまで耐えて、体を寒さに耐えられるように
調整しなければ。

「薪ストーブ、焚いちゃうか。」と僕がいうと、スタッフの山口君に「今から焚いてちゃ、
負けですよ。」と言われます。
その度、「や〜ま〜ぐ〜ち〜!!(怒)」と思うわけです(笑)。

そんな今日この頃ですが、心が暖かくなる出来事がありました。

以前、ソファを製作させて頂いたお客様、Hさん。旅する木の家具を買う為に
旅する木専用の500円玉貯金をして下さっていて、そのビッシリ500円玉で満杯になった
貯金箱を持って、家具を購入しに来てくれました。
その貯金箱には、ちゃんと”たびもく”と書かれていました。
数える時、10枚重ねた500円玉タワーをいくつも作っていったのですが、ビックリするくらいの
金額になるんですね〜。十数万円。
1万円札十数枚と違って、ズシンとくる重さは、ただ単に500円玉の重さというだけでなく、
長い月日をかけて、旅する木の家具を買おうと、一枚一枚喜びながら貯めて下さったHさんご家族の
思いがあるからなんでしょうね。

”重い”と”思い”をかけたのですが…。
すみません。つまらないダジャレにしたせいで、”思い”が軽くなってしまいました(笑)。
お客様がこんなに思いを込めて旅する木の家具を買って下さることは、本当に嬉しいことです。

そして今日、キッチンを製作させて頂いたお客様のところに行って来ました。
昨日、そのお客様から「シンクの排水のところから水が漏れている。」というメールを頂き、
写真も貼付されていました。
写真を見ると、ゴミ箱の向こう側だったせいで しばらく気が付かず、シンクの下の板が
すっかり変色してしまっていました。
これは一大事!!と思い、翌日の今日、朝一番で見に伺って確認したところ、
工務店側の設備屋さんの接続部分の部品の締め忘れだったことが解りました。
原因は解って治したのですが、付いてしまった大きなシミは、もうどうすることも出来ない
状態です。

年間何十棟も家を建てている工務店の設備屋さんなので、設備屋さんからしたら、数多くやる
工事の中の一つなんでしょう。でも、お客様にとっては、かけがえの無い、一生 生活する、
世界中の中のたった一棟の我が家なんです。

僕の自宅の話し。
2年前に築40年のボロボロの元保育園を自分でリノベーションして暮らしています。
家中の建具も製作したのですが、自宅なので、お客様の家具には使えないような欠点のある
木も使いました。
できるだけそういう木は、来客者から見えない箇所に使う予定でいました。

まったくもって公私混同 はなはだしい僕は、もちろん自宅の家具や建具の製作も仕事として
スタッフと共に製作したわけで…。
その時、スタッフの山口君が間違って、風呂場入口で使う予定の木を、トイレの内側に使って
しまいました。
毎朝、トイレで用をたしている時、目の前の建具には大きな穴の空いた節が2個あります。
それを見る度、「や〜ま〜ぐ〜ち〜!!今日こそは薪ストーブ焚いてやる!(怒)」
と思うわけです。

違う、違う。
「や〜ま〜ぐ〜ち〜!!お前はもう忘れているだろうが、俺は毎朝気持ちよく用をたそうと
すると、これが目に入って不愉快になってんじゃ!毎朝俺の快便を妨げる、このクソ野郎が!」
と思うわけです。

すみません。今朝、キッチンの様子を見に行った時、お客様が
「旅する木のHP、見てますよ。文章がとても面白くて、読みながら笑ったりしています。」
と言われたので、嬉しくなって、つい笑いを取ろうと、思っても無い(?)暴言を吐いて
しまいました。
しかも、気の利いたダジャレを入れたくて、”◯◯野郎”という言葉を使ってしまって、
「皆様に不快な思いをさせてしまい、深く反省しております。」

”不快”と”深い”・・・

まったく反省してないですね。

ドツボにはまってきました。話しを戻しましょう。

ちょっとした不注意でシミを作ってしまった設備屋さんは、多分、水漏れを修理して、
数ヶ月もしたら、そんなことがあったことも忘れてしまうのでしょう。
結局僕らは、日々の仕事に追われていますから。
だけど、お客様はその家具を一生使っていくことになるんですね。

失礼な言い方になってしまうかも知れませんが、
「旅する木の家具を買って下さったお客様が、お亡くなりになるまでに、同じ機能の家具は
買わせない!」

という気持ちで僕と、山口君を始めとする旅する木の優秀なスタッフたちは、毎日心を込めて
家具を作っています。
僕らにとっては、たくさん作る家具の中の一つかも知れないけど、使ってくれるお客様にとっては
次の代まで受け継いでいきたい、たった一つの自分だけの家具なんだ。
という気持ちを忘れずに、一点一点の家具作りに取り組もう!と改めて思った出来事でした。

そしてそんな気持ちを一日も忘れないように、わざとトイレの建具に欠点のある材料を使ってくれた
「山口君、ありがとう。」

いつか、君が家を建てる時、是非僕が手伝ってあげよう・・・(笑)。




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9/17 ”10年の感謝を込めて”

もし今、札幌の東区のタマネギ倉庫でぼんやりと薪ストーブにあたっている10年前の僕に
声をかけるとしてた、なんて言おうかな〜?

旅する木を創業して、10年が経ちました。
先日、10周年のお祭り、旅木祭りを行いました。なんと90名を越すお客様が
工房に来てくれました。もうビックリです。
旅木クイズで、家具のプレゼントや、お餅つきをして盛り上がりました。
お祝いの言葉、そしてお花やいろんなプレゼントを頂きました。
本当にありがとうございました。

2005年10月、希望を胸に、なんて全く思えない状況で旅する木を創業しました。
旭川で家具の修行をした後、建築の勉強をしようと札幌に出て来たものの、
なかなか希望する勉強が出来ず、悶々としていたところ、たまたま旭川の友達に誘われて、
機械屋さんに遊びに行くと、綺麗に手入れされた中古の機械が揃っていて、
それを見ていたらなぜか口からでた言葉は…
「この機械、誰にも売らないで下さい。僕、全部買いますから。」

今でも不思議で仕方ありません。なんであんなこと言ったんだろう?

札幌に出て来て1年、もともと知らない人の集まるところに出て行くのがおっくうで
尻込みしてしまう僕は、札幌にほとんど知り合いなんておらず、仕事をもらう当ても全く無く、
すでに家族がいて、貯金もあまり無く、親しい友人で独立している人も無く、
そもそも独立して工房を構えて、上手くいってる人なんて、ほとんど会った事がないことも
十重知っているので、独立する気なんて、すっかり無くなっていたはずなのに…。
妻に相談もせず、機械だけを押さえてしまったわけで。

帰って来て妻に「あのさぁ、今日旭川で機械屋さんに行ったんだけどさぁ、
すっごい良い機械一式揃ってたんだよね。一度にあんなに良い機械が揃ってることって
あまり無いんだよね〜。あれだけ揃ってたら、家具、何でも作れるんだよね〜。」
なんて切り出したのを覚えています。

反対された記憶は無いし、説得した記憶も無いので、妻は反対しなかったんでしょうね。
「失敗したらマグロ漁船乗ってもらうからね。」
と言われたことは覚えています。たいした妻だな〜。と思います。
反対されるより怖いですね〜(笑)。覚悟が決まった瞬間でした。

機械を押さえてしまったものの、お金が無いものですから、保証人もいないものですから、
担保もないものですから、機械代、運転資金、半年くらいの生活費、家賃など、とても
返済出来そうにない金額を借りなきゃならないわけです。

一生懸命事業計画書を練って、ウソ八百の収支計画を作って、国民金融公庫に通いましたね〜。
拝み倒しました。多分、「お前、俺に金貸さなかったら、殺すぞ!」くらいの
勢いだったんでしょうね。

始まりは、札幌の東区の外れのタマネギ倉庫でした。
大通りでもない道の、さらに中に入ったところに、手書きの木の看板を、毎日出勤したら
表に出して、帰る時にしまうものですから、近所の人くらいです。
「ああ、ここに『旅する木』とかいう変な名前の家具屋さんが出来たんだな?」って気が付くのは。

広告を出すわけでもなく、ショップに営業回りをするわけでもなく、待ち続けるだけの工房に、
仕事なんて来るはずも無く、ただ、倉庫内に事務所を作ったり、事務所のテーブルを作ったりして
過ごしていましたね。

一つの思いがありました。
「出会うべき人とは、出会おうとしなくても、出会えるはず」

冬を迎える前の10月に独立したので、何も仕事が無いまま、冬を迎えます。
屋根から落ちた雪で窓は埋まり、日が当たらない分だけ外より寒い工房で、ほそぼそと焚く
薪ストーブにあたりながら、工房の家賃や借金の返済、生活費など黙っていても消えていく
月々50万円の固定費のことを考えると、「大変なことをしてしまったな〜。」なんて
今更ながら身に染みたものでした。

そんな落ちている石ころのような『旅する木』を、奇跡のように見つけて来てくれたお客様に、
「出会ってくれてありがとう。」という気持ちで家具を一つ一つ作って届けて来ました。
このやり方は10年経った今も全く同じです。
営業をすることはなく、有料広告を出すこともなく、ショップに卸しもせず、ただ、
出会ってくれるのを待ってるだけ。
そして出会ってくれたお客様に「ありがとう」という気持ちで家具を作る。

こんなやり方で10年やって来られたんだから、きっと神様っているんでしょうね。
何か大きな力というのか、存在というのか、そんなものに守られている感覚があります。
創業した時からずっと、毎日工房に入る時、「今日もよろしくお願いいたします。」
そして神棚に向かって一日の始まりのお礼をして、そして帰る時は一日の終わりのお礼をします。
そして工房を出る時、「ありがとうございました。」と一礼をします。
そんな一日、一日を積み重ねているうちに10年が経っていた。そんな感覚です。

10年前の僕と、今の僕と、やってること、思ってることって、たいして変わっていないんだな。
薪ストーブにあたりながら、一人でしょんぼりして、押しつぶされそうな不安になす術も無く、
ただ受け止めていた10年前の僕と、そんな僕を叱咤激励して導いてくれた妻に言ってあげたい。

「大丈夫だよ。」って。

そして

「苦しいのに、そのやり方を崩さないでいてくれて、ありがとう。お陰で、こんなにたくさんの
支えてくれるお客さんと出会えたよ。たくさんのお祝いの言葉をもらった。それは全部、
君たちへの言葉だよ」って。

帰る時の神棚へのお礼は、いつも決まった文句だけど、今日は

「今までのお客様、そしてこれから出会うお客様にお祝いを言ってもらえるような、そんな
今日の僕と、今日の旅する木を、積み重ねていこうと思います。」

旅木祭りでも大活躍してくれたスタッフ達とみんなで工房に向かって
「ありがとうございました。」
と一礼して、工房を後にしました。



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9/9 ”気持ちを伝えるって?”


「たとえばこんな星空や泣けてくるような夕陽を一人で見ていたとするだろう。
もし愛する人がいたら、その美しさやその時の気持ちをどう伝えるかって。」

「写真を撮るか、もし絵がうまかったらキャンバスに描いて見せるか、
いや、やっぱり言葉で伝えたらいいのかな」

この続きは、星野道夫『旅をする木』を読んでみてください。
僕は次のセリフでいつでも泣けます。

昨日の夕方、北海道中でこんな美しい夕焼けが見られたようです。
ちょっと作業の手を止めて、外に出てしばらく眺めていました。

工房から見える夕日を見ると、いつも思い出す言葉です。

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8/21 ”家具工房 でこぼこの木 ” 開業〜♪

先週末、僕が長いこと温めてきた、一つの夢が実現、完結しました。
『子供たちの木工職業体験プロジェクト』!!!

”木”という素材を通して、1次産業〜3次産業までを経験し、社会の流れや、
働くことの目的や意味、お金を稼ぐということ、そして働いてくれている親のこと、
などを考えたり、感じてもらえたらな?
という、とても意味深〜い、そしてと〜っても楽しい企画なんです。

このプロジェクトの一番の特徴は、何といっても、

子供たちが自分たちの会社を作ります!

会社なので、もちろん、社長がいます。もちろん、子供達が選ぶ、子供の社長。
そして、企画部長、設計部長、工場長、営業部長など子供たちそれぞれ役職があります。
会社なのだから、何か作って売って、利益を出して、給料を稼がなきゃいけない。

「何作ろう?」
「どういうデザインにしよう?」
「いくつ作ろう?」
「どうやって作ろう?」
「いくらにしよう?」
「給料どれくらい欲しい?」
「どうやって売ろう?」
「どうしたら売れるかな?」
「いくらだったら売れるかな?」

これらのことを、それぞれの役職の子供が中心になって、自分たちで考えて、決めて、
行動(働く)して、そして、会社に利益を出して、給料をもらう。

大人はほとんど口を出さない。僕も方向を導くだけで、決めることはない。

というプロジェクトなんですね〜。

だから、ただの職業体験じゃないんです。
仕事って大変でしょ?とか、木工って楽しいでしょ?っとかいうものじゃなくて、
もっと根本的な『働く』ことの意味を、知識としてではなく、実感として感じて欲しい
と思っているんです。

さて、参加してくれた子供たち、本当に毎日楽しそうに、そして実際、明日が
待ち遠しいくらい楽しみの気持ちでこのプロジェクトに取り組んでいました。
その様子をかいつまんで紹介しますね。

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初日、立ち木のこと、森のこと、林業のことを勉強するため、道民の森に行きました。
知らない子供たち同士なのに、遊具一つあったら、遊び出し、すっかり打ち解けていました。
さすが子供たちですね〜。

 

道民の森では、森に詳しいガイドさんについて、いろんなことを教えてもらいます。
樹齢500年のナラの巨木もあるんですよ〜。

そして次に森で切られた木が製材される、製材工場を見学。
全員ヘルメットをかぶって見学。
大きな機械が大きな音を出しながら、丸太をどんどんスライスしていく工程は
迫力があります。

そうして製材された木材が、旅する木にやってきます。

さて、これからいよいよ会社を作りましょう。2日目です。

今回参加してくれた子供たちは小3〜中2までの6名。
昨日ですっかり仲良くなって、なんとなく、この人、こんな人なんだ。
って解ったところで、先ずは社長を選出。
以外とあっさり決まり、企画部長、設計部長、工場長、営業部長を決定。
子供たち、積極的で、全て自ら立候補で決まりました。

それぞれみんな、責任のある役職がついたところて、そして大事なことを決めなきゃ。
そう、会社名!!
会社名は大事ですからね〜。

ちなみに僕は『旅する木』という会社名に崇拝の気持ちと、誇りを持っています!

もちろん、みんなで意見を出し合いながら良い名前に決まりました。
この輝かしい未来の会社の会社名は…

『家具工房 でこぼこの木』

良い名前じゃないですか!!!
社長のTは、中1なのに身長172センチ。
最年少、小3のTは、身長110センチ。
確かに凸凹だけど、想いは一つ。力を合わせて、頑張ろう〜♪

会社名、役職が決まると、なんだか子供たち、責任感が出て来たみたいで、
俄然、やる気がみなぎっていました。

みんな前のめりになりながら、何を作るか、アイデア出し。
社長と企画部長の出番です。
会議の進行、整理、メモなど、もちろん、子供たちが進めます。

大物家具を作って、一攫千金を狙うか、
小物をいっぱい作って、たくさんの人に売るか、
製作日数は3日。
色々話し合っていました。

子供たちの意見
「販売は、札幌駅の地下歩行空間。家具を買おうとして歩いていないから、
大きな家具は売れないと思う。小物で行こう!」

ん〜、ごもっとも。ちゃんと考えるね〜。

僕は、子供たちに、頭を絞って絞って、苦しんで苦しんで、良いアイデアを
絞り出して欲しいと思い、100個のアイデア出しを提案したのですが、
頭の柔らかい子供たちの口から出るわ、出るわ、次々とアイデアが。
なんと1時間くらいで100個のアイデアが出てしまいました。

子供ってスゴい!!

その中から3日間の製作時間で作れるボリュームを考えて、5,6個に絞り込み。
それぞれ自分のアイデアを採用して欲しいわけで、せめぎ合い。
提案者が売れる理由を説明して、納得させる作業。

第三者として見ている僕にとっては、とても面白くて、思わず笑っちゃいそう。
ぞれぞれちゃ〜んと、考えているんですね。

この時点で正解も不正解もないんです。
もし正解、不正解があるとしたら、販売日に解るのでしょう。
学校の勉強と違って、正解、不正解がないことを決めることって、結構大変。
でも、社会に出ると、ほぼ全ての選択がそういうことですもんね。

5個に決まった時、最年小、小3の企画部長のTが、みんなにお願いをし始めました。
「どうしてもマカロンを作りたいです。」

その時、社長のTが「もっと気持ちを込めてお願いしてごらん?」

企画部長T 「マカロンを作らせて下さい。お願いします。」

社長T 「よし、わかった。マカロンを採用しよう!」

最後は社長の一存でマカロン決定。

このマカロンが後に…。。

作るものが決まったら、次はデザインを決めよう!
この作業は設計部長のKが中心。
またまた、アイデア出しをしながら決めていきます。

製作するもの、デザイン、ともに、僕はちょっとハラハラ、ドキドキ。
だって、子供たちと作るといっても、もちろん、危ない機械作業は僕らがやるわけで。
しかも、子供たちの自主性に任せると言った以上、子供たちの決定したもの、
デザインは出来るだけ忠実に形にしたい。
それを、2,3日で準備して、子供たちと2,3日で完成させなきゃいけないわけで…。。

いつもは、僕が家具のデザインをするので、機械力、そして技術力を把握した中で、
デザイン、設計を進めるのですが、子供たちはそんなことおかまい無しなので、
僕らの力量も試されるわけですもん。

全部決まって、子供たちが帰った後、スタッフと相談。
「どうやって作る?これ。」
「この加工、めんどくせ〜!」
「この作業、危ね〜。何てったって小さ過ぎるもん。」
「こんな刃物、無いし。」

などなど、文句ブーブー言いながら、仕事の後に居残りで試作をしたり、
準備をしたりしました。

おっと、忘れてなるものか。
一番難しい決め事の会議。価格設定。
製作するものを決め、デザインを決めた後、価格を決めなくては。

この価格設定は、今でも僕は難しい〜。って思っています。
もちろん、これも子供たちが決めること。

「そんなに高かったら売れないよ〜。」
「もっと安くしよう。」

という意見が大半で、最初の価格設定はどれも安め。
それはそれで良いんだけど、僕がちょっと説明。

僕 「みんなは会社で働いているんだよ。働いているんだからお給料をもらうよね。
   欲しいよね。いくら欲しい?」

子供たち 「1万円」
子供たち 「時給700円として、6日間だから、3万円!」

僕 「そしたらさっきみんなが付けた値段で売ったとして、全部売れたとして、
   材料費や経費を差し引いた分が利益だよね。
   どう?一人1万円もらえるかな?」

そんな話しをしてみると、
子供たち 
「もっと高くしよう!」
「最初からやり直そう。」
「え〜?それは高過ぎでしょ。」
「でも、お前、給料欲しくないのかよ!」

こんなやり取りは本当に面白い。
こういうのを経験して欲しかったんですよね〜。

そしていよいよ製作スタート。

でこぼこ社員を3チームに分けて、旅する木社員がそれぞれに一人ずつついて指導。

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須田チームはストラップの製作。

 

こんな大きな機械も使って加工を進めます。
ストラップは、
ハート型、スマホ型、将棋、凸凹の木 の4種類。
どれも小さいので、大変!!

完成したものはこれ!

 

 

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靴べらチームは山口君が指導。

 

クネクネ曲線なので、サンダーや、曲面カンナを使って、最後は
ひたすらサンドペーパーで仕上げ。
「ん〜、この曲線、たまんねーな。」って顔で作っているものを眺めてる子供たちが印象的。

完成したものは

こんなクネクネした曲線の靴べらなんて、プロでも難しいんですよ〜。
力作です。
一人2個作ったんだけど、みんな、1個目より2個目の方がずっと上手くなってました。

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そして、本立ての製作チームは花輪君が担当。
立体マスクをおでこに乗せる、花輪スタイルを花輪チームの子供たちは自然と真似。
尊敬している証拠ですね(笑)。

 

今回製作する作品中、一番大物作品。
インパクトドライバーという機械で組み立て。
リーダーは簡単にやってるけど、いざやってみると上手くいかない。
それでもイッチョマエに、ビスを口でくわえて、職人風。

で、完成したものは

真ん中の仕切りは左右に自由に動くんですよ。
なかなかの仕上がり。

=============

  

体は小さいけど、工場長のHは、終始一生懸命作っていました。

4日間も朝から夕方まで一緒にいると、子供たちはもうすっかり大仲良し。

  

休み時間は廊下を走り回って騒いでいました。

お昼ご飯はいつもみんなでお弁当。
昼休みは良い天気が続いたので、校庭で遊んだり、校舎内を走り回ったり、
楽しそうでしたね〜。

基本的に製作は2日で終えて、製作3日目は、販売の為の準備です。
売れるか、売れないかは、今日にかかってる、っていっても過言じゃない。

でも〜・・・?

製作3日目ともなると、慣れて来て、朝、僕が
「慣れて来た頃に怪我をすることが多いから、今日は気を引き締めて作業して下さい。」

と言ったのにもかかわらず、何だかみんな、ダレている感じ。
ピリッとしていなかったり、決め事の会議中におしゃべりしていたり、、、

そこで僕の雷が落ちました。かなり強烈なやつが。
これには子供たち、ビックリしていましたね〜。
学校の先生や、他人に怒られることがあまりない子供たちですが、しっかりと愛情を
もって叱るとわかってくれるもので、
社長のTと、最年長、中2の営業部長のKが、みんなを引き連れて謝りに来ました。

という一幕もあり、午後からはみんな、一生懸命販売の看板作り、値札作り、
作品を袋詰めしたり、準備を進めました。

大事な看板は、こんな手作り感満載の、よい看板が出来上がりました。
子供たち、一人一人の手形が入っています。

顔出しも作ることになりました。

ここで登場するのか、我らが”たびもっくん”
これはあっこさんの担当。
可愛いたびもっくん顔出しが完成しました♪

そうそう、今回あっこさんがこのプロジェクトを盛り上げるべく用意したものは…

なんと、”爆弾おにぎり”
一口で食べられるサイズのたくさんのお握りの中に、いくつか、わさびがたっぷり
入っているものがあり、好きなものを取って、せーの!でみんなで食べて…。。。
なんと、社長T、企画部長K、そして、僕も大当たりしてしまいました。
きつかった〜(笑)。

そして、最後に、初めに設定した金額と、完成した作品を見て、製作の苦労を
体験して、そしてもう一度、価格を見直そう。と、話し合い、実際の販売価格を決定。

いろんな意見が出て、みんなで話し合って、時には主張して、時には折れて、
時には丸め込まれて、時には多数決で、一つ一つの作品の価格が決まっていきました。

いよいよ販売当日。営業部長の活躍です。

札幌駅地下歩行空間のブースの準備。
見せ方がとても大事なので、みんなで工夫してブース作り。
手作りした看板や、前掛けを上手く配置して、作品も見やすいように工夫して
さあ、いよいよ販売開始。

  

チカホの人通りは本当に多いのですが、目的を持って歩いているひとが多いので、
なかなか立ち止まってくれません。
それでも子供たちが売っているブースに興味をもって近寄って来た人に
ササッと近づいて、今回のプロジェクトの説明をして、何とか買ってもらえるように
営業をしていました。

そして、記念すべき最初に売れたものは…???

そう、企画部長Tが、廃案になった後、最後にお願いして入れてもらった
マカロン でした。

なんと、開店してすぐに 完売♪

企画部長T 「もっとたくさん、30個くらい作れば良かった〜(笑)。」

あの、たびもっくん顔出しも、なかなかの人気でした。

ストラップなど小物の売れ行きは好調なのですが、5,000円を越える靴べらとか、
本立ては、やっぱり難しいですね〜。
なかなか売れない。

そこで営業部長Kを中心に考える。
「値引きしよう?」
「売れているように見せかけて、2個ぐらい隠しておこう。」
「”売約済み”の紙を貼っておこう。」
「10分のサービスタイムをやってみよう。」

子供たち、考えますね〜。なかなかじゃないですか?
僕はなるべくブースに入らないように、チカホの反対側から眺めるようにしていました。

午後3時を過ぎると、人がパッタリと立ち止まらなくなり、売上げが伸びません。
それまでの売上げを見ると、経費を差し引くと1万円の赤字。
これじゃあ給料どころか、でこぼこの木、赤字になってします。
子供たちのテンションも下がり気味。

仕方がない。そこで僕が救いの手を。
経費の1万円は僕がポケットマネーから出すことにして、
「ここからの売上げがそのまま利益になるから、頑張って売っておいで!」っと。

そしたらさっきまでの下がり気味のテンションが急上昇。
みんな一致団結して、売り込みを始めました。

なんと、チカホでは禁止されている大きな声での呼び込みを始めるではありませんか?
ブースから飛び出して、歩いている人にチラシを持って説明を始める子も。

チカホは結構見回りがうるさくて、注意されるだろうな?止めさせなきゃ。と思ったけど、
一生懸命の子供たち、恥ずかしさとかそんなものを忘れて声をだしている子供たちを
見ていたら、謝って許される程度のルール違反なら、子供たちの情熱を優先させたい!
僕も心の中が熱くなってきて心の中で
「子供たち、怒られるときは俺が怒られるから、それまでに売り切ってしまえ!!」
と応援していました。

閉店時間、午後5時を迎えました。
売りましたね〜。ほんと、子供たち、がんばりました。すごかったです。
数点の作品が売れ残りましたが、ほとんど売り切りました。

営業部長Kが、売上げを計算し、経費を差し引いて利益を確定しました。
そして利益を全員で割ると…。

 

社長が給料袋に一人一人の給料を入れて、そして一人一人に渡しています。
生まれて始めてのお給料かな?
子供たち、みんなとっても、とっても、とっても嬉しそう。
満面の笑顔で受け取って、受け取るや否や、数えていました。
給料袋には千円札が数枚、と100円玉が数個、入っていました。
『家具工房 でこぼこの木』、めでたく黒字で決算を終えました♪

これで6日間の木工職業体験プロジェクトが終わりました。

最後に全員から一言、感想を言ってもらいました。

「楽しかった。 来年も絶対参加したい。」
「買ってくれた時、嬉しかった。」
「大きな木工機械で作るのが楽しかった。」
「なかなか売れないんだな。と思った。」
「お金を稼ぐってこんなに大変なんだと思った。」
「自分が作ったものを喜んで買ってくれるのが嬉しかった。」

などなど、僕が感じて欲しかったことを、ちゃんと感じてくれていて、
嬉しかったですね〜。

この子たちが成長し、いろんな人生の選択をする時がくるだろう。
どんな選択か、僕にはわからないし、その時にアドバイスなんて出来ないけど、
この夏の、この経験がどこか心の隅に残っていて、ポンッと背中を押してくれる、
そんな懐かしいけど光り輝いている記憶になってくれたら嬉しいなぁ。と思います。

そしてこの『子供たちの木工職業体験プロジェクト』は、毎年やって行きたいと思っています。
さらには、

『子供たちの職業体験プロジェクト』
としていろんな他業種の人たちとも一緒にやっていけたらなぁ。
なんて考えちゃってます。

この企画、僕自身、めちゃくちゃ楽しいけど、
でも、めちゃくちゃ疲れます…

子供たちを見ていると、
あ〜、若いっていいなぁ〜。って思いますね(笑)。。



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7/28 ”それ、すごいサプリ!”

  

日本全国、猛暑ですね。
北海道は違うと思いきや、汗びっしょりかきながら、仕事をしています。
それでも朝晩は涼しくて、工房からの帰り道は気持ちが良いですね。

とうとう、木の車椅子、試作3号機が完成しました!
2号機に比べ、ストッパー機能が付いたり、フットプレートが跳ね上がったり、
より実用的に必要な機能を付け加えました。

不思議なことに、2号機と大きくデザインの構成は変えていないのですが、
必要な機能が加わることにより、一段と、凛々しく毅然とした風格というか、
オーラとでもいうのか、そんなものが感じられるのです。
丸腰の侍が、刀を刺した瞬間に背筋が凛と伸びた感じとでもいうのでしょうか?

この車椅子の試作機、普段の家具作りでは使わないような技術や、加工をすることが多く、
さらにパーツが複雑で小さいので、怪我をしそうになったりして、ヒヤッとしたことが
何度かありました。
金物も全て特別に作ってもらっているものなので、それだけでも数十万円がかかります。

「なんでそんな思いまでして車椅子作ってるの?」
たまに言われます。

そうなんですよね。そんな時、考えます。
なんで俺、車椅子作ってんだろう?

なんだかすでに車椅子の製作は僕の中で当たり前の業務になっていて、何の違和感も、
特別なものを作っている感もなく、仕事として…、

仕事ではないですね。お金を生んでいませんから。
投資として…、

投資になるのかな?
需要があるのか? 売り先はどこなのか? どうやって世間に発表したら良いのか?
全く考えてないで、僕の思い(コンセプト)だけで始めたことなので。

普通は考えますよね。新商品を開発する時。

・商品名: 『あなたもシンデレラに な・れ・る』

・特徴: 飲んだら一日だけ、北川景子そっくりになれるサプリ”

・背景: お城の舞踏会に参加出来るお金持ちの娘は、意地悪の母に育てられ、本人も
     意地悪な顔をしているということは昔からよくある話しである。
     そして、その家で働く貧乏なお手伝いの娘が容姿端麗というのもよくある話し。
     そのような意地悪で欲深いお金持ちの娘に限って、シンデレラストーリを切望
     しているものである。
     お城の舞踏会で結婚相手を探すなどというドラ息子に限って、お金持ちだけど意地悪で、
     意地悪な顔の娘を選ぶことはまず無い。
     そして、貧乏なお手伝いの美しき娘の前に魔女が現れ、かぼちゃの馬車でお城に連れて
     行ってくれる。なんてことも、現実にはまず無い話しである。
     そこで、役に立つのが、このサプリである。
     このサプリを飲むと、舞踏会の一日だけ、北川景子にそっくりになれる。というもので、
     その一日の間に、ドラ息子のハートを掴んでしまおう。というものである。

・ターゲット:お城の舞踏会に参加するシンデレラの姉たち

・売り先:闇の組織

・価格:1錠100万円

・オプション販売品:1錠1万円で、一日だけ目を開けられなくなるサプリ
          (参考使用例 次の日からドラ息子に飲ませる。)

※すみません。ちょっとブラックジョークになってしまいますね。とはいうものの、元々、原作の
 グリム童話というのは、残酷でブラックなものなのです。 

これは売れますね。確実に(笑)。しかもオプションのサプリは永遠に売れ続ける(笑)。

冗談で書きましたが、世の中に無いものを開発するということは、こんな風に、いや、
もっともっと厳密に市場調査をしたり、検討を重ね、開発されるものなんでしょうね。

でも、この車椅子に関しては、なにも確かなものは無いんですよね。
あるとしたら、僕の思いと、僕の直感と、僕の使命感だけなんです。

なんだかわかんないけど、やりたい。
なんだかわかんないけど、いけそうな気がする。
なんだかわかんないけど、とにかく僕がやらなきゃいけないことの気がする。

そして、試作を進める度に、美しく、神々しく成長していく車椅子の続きを、
僕自身が一番楽しみにしているのです。

どこまで進化し続けるのだろう。
そして、どうやって世の中に広まって行くのだろう。



そしていつか僕にもやってくるのだろうか?

シンデレラストーリが。

って、おい、お前もか!!


それにしても見て〜なぁ。生、北川景子。

って、お前、ドラ息子か!!



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