あの時、別の選択をしていたら… | 札幌のオーダー家具・オーダーキッチンなら家具工房【旅する木】

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あの時、別の選択をしていたら…

人生はいつも二者択一の連続です。

もしあの時、こっちの選択をしていたら…。

これは僕ら人間の、最も興味のあるけれど、決して知ることのできないテーマなのかも知れませんね。

 

メール対応で、「あのお客さんに納品の連絡を…。」と名前を検索したところ、同じ苗字で昔のメールがヒットして、ふと開いてみたら、9月だというのに、どんよりとした蒸し暑い空気をサーっと吹き飛ばすような、なんとも爽やかな風が心を駆け巡りました。

2014年2月のメールなので、もう6年以上前ですね。
そのころも旅する木は人を募集していて、京都にお住まいの大学生Fさんから応募があり、わざわざ京都から面接に来たんですね。正直、今はどんな人だったのか、覚えていないんですけどね…。

 

そしてもう時効になっていると思うので、その内容を添付します。

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F様

先日は疲れ様でした。
無事に帰って、卒業論文を書いている頃でしょうか?
旅する木の印象はいかがだったでしょうか?

あれからいろいろと考えているところです。
未経験者を旅する木でずっと雇用は今のところ考えにくいのが現状で、面接の時にちょっと話しましたが、○○会社との併用だったら採用しようと考えています。

○○会社は住宅を斡旋する会社で、全国展開している会社なのですが、この度、北海道で僕がすごくお世話になっている方が名乗り出て、札幌で展開することになり、その店舗の一部に旅する木のブースを持つことになった次第です。

ここには家を検討しているお客様が来られます。その方々に興味を持ってもらって、資金計画まで進めるのが仕事です。
ガンガン行き過ぎてもダメ、かといって、遠目に引きすぎてもダメ。結構感覚を掴むまで難しいと思います。

そこで、接客をしながら、旅する木の家具もアピールして、さらに、週末、木工教室をやってもらったりすることになると思います。最初は僕のアシスタントとしてですが、慣れてきたら、一人で準備から何までやってもらおうと思います。

このようなことは、僕自身、初めてなので、右も左も解らないのですが、どうでしょうか?
プレッシャーがあって、苦痛に感じるかも知れませんし、ものすごくやりがいが感じられるかも知れません。

まだ、○○会社の方がどう言ってくるか解りませんが、この内容を読んで、Fさんはどうですか?
興味ありますか?出来そうですか?

もしそれだったら興味ない。無理そう。という事でしたら、○○会社の社長に話す前に止めておこうと思います。
必然的に旅する木としても採用はないことになります。

とても大きな決断を迫る格好で申し訳ないのですが、返答をお待ちしております。

旅する木 須田 修司

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僕なりに精一杯、旅する木とFさんとの接点を見つけて、彼の旅する木への思いに応えたいと思って提案したのですが、今読み返してみると、学生にこの条件は厳しいよな。と思いますね。

これに対しての返事は、

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須田様

先日はお時間取っていただきありがとうございました。
「旅する木」さんは天体観測がしたくなるような場所でした。
こちらは数年ぶりに雪が積もって、町が化粧したみたいになっています。

御熟考頂いた件で、せっかくのお申し出なのですが、お断りしようと考えています。

京都から北海道まで、一つ返事で飛んでしまうぐらいに、北海道も、「旅する木」さんも好きです。
冬の寒さには苦労するかもしれませんが、適応力だけは高いので心配はしていません。
○○会社も、接客には慣れていませんが、お売りするものが誇れるものであるなら積極的に取り組めると思います。

私も、須田さんにお会いしてから今日まで考え続けていたのですが、実際に作品を見て、触れて、私は自分の無力感をひしひしと感じました。
須田さんのおっしゃる通り、未経験者がここで役に立てるだろうかと。
恐らく必要以上に気を使わせてしまうと思います。

ですので、下積みを積んで出直します。

きっとすごく悩んで下さっていたのに、このような形になってしまい、申し訳ありません。
私が一人前の職人になってから、またお会いしたいと思います。

F

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僕が悔しいというか、残念に思うのは、旅する木の作品を見てくれて、すごいと感銘を受けてくれて、その次…。
自分には無理!レベルが高すぎる!
と怖気ついてしまうんじゃなくて、挑戦して欲しかったな。っと。

そして最後のメール。

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F様

お返事、ありがとうございます。
そうですか。
Fさんが自分でそのように判断したのでしたら、仕方がないですね。
初めての就職に、とても厳しい判断を迫ってしまい、申し訳ございません。

人生はいつも二者択一の連続です。
その判断が最高の判断だったのかを決めるのは、その後の自分の生き方次第です。
「ああ、あの時旅する木に決めなくて本当に良かった。」と思える人生を歩んで欲しいと思います。
そして僕は「旅する木を選んでいれば良かったのに。」と思える旅する木を築いていきたいと思います。

お互い、良い人生を。

いつかまた遊びに来て下さいね。

旅する木 須田 修司

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おー、めちゃくちゃいい人じゃないですか!僕。いや、実際そんなんじゃないですからね。
今もスタッフを募集していますが、旅する木を選ばなかった人の、その後の人生が幸せでありますように!なんて願うような聖人だと思われたら困ります。実際、そんなんじゃないですから。ガッカリされたら困ります(笑)。

ただ、そんな僕の元に来てくれる人がいるとしたら、せめてその人には、「やっぱり旅する木を選んで本当によかった。」と思ってもらえるような旅する木にしていきたい。

 

それにしても面白いですね。

僕とFさんお互いが二者択一を真剣に考え、悩んだほんの一瞬、一点で人生を交差し、そしてまた別々の道を進んでいく。
人生は振り返ると、こんな交差点がたくさんあるんだろう。

あの時、別の選択をしていたら…
なんて考えることに意味はない。
なんてことはわかっていつつも、ついそんな別の人生を歩んでいる自分に思いを巡らせてしまうもの。

もしかして、別の選択をした世界があって、その世界には別の自分がいて、人生のある時点で、そんな自分が大集合する機会があって、その後の人生を、別の選択をした自分の人生と入れ替わることができたりしたら…。

ん〜、きっとそんなことがわかっていたら、人生はつまらないのかも知れない。
今この目の前の選択を、やり直すことができないということで、僕らは真剣に考え、悩み、喜ぶことができるのだから。

ん!?
今思いついたんだけど。
最近いろんなところで”ワンネス”という言葉に出会います。

”ワンネス”

スピリチュアルの世界ではお馴染みなのかも知れませんが、実は、最先端の物理学の世界でも、この世界はそのように成り立っているらしいということが証明されつつあるのだそうです。

『ワンネス』とは、お釈迦様のいう”色即是空 空即是色”、簡単にいうと、”全ては一つ、一つは全て”ということなんだそうです。あなたと私の間に分離がなく、”あなたはもう一人の私”という世界。

だとすると、もしかしたらすべての人が、あの時、あの瞬間、”別の選択をした自分”なのかも!

なんて思うと、今、目の前の交差点にいる人たちのことを、少しだけ愛おしく思えてくる。
自分から見て、辛そうな人生を経験している人には、「僕の代わりにそんな経験をしてくれてありがとう。」っと。
大金持ちの人には「よかったね〜。今度、その世界で経験したことを教えてよ!」
なんて感じに。

そして、自分がする選択にも、ちょっと気持ちが楽になる。
よし!この経験は、俺に任せとけ!
なんてね。

 

そういえば、思いがけずFさんとのメールを読んだ時、なんで心に爽やかな風が吹いて、心が軽くなったんだろう?

もし世界がワンネスだとしたら、僕がメールを開いた時、今のFさんの幸せな心の風が、僕の心に吹いたのかも知れない。

 

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