BLOGブログ
ノンノ、明日からダイエットだよ!
鈴虫やコオロギの声、高い空、赤とんぼ。
秋の訪れを感じさせるものはいろいろあるけれど、僕は美しさの中に、もの悲しさを感じる夕焼けを見ると、秋だなぁ。と思う。
夏の燃えるような夕焼けもいいけれど、秋のしっとりとした夕焼けが好きです。
そして、そんな夕焼けの中をノンノとのんびり歩いて散歩をする時間も好き。
ノンノ、北海道犬13歳♀。
端正な見た目だけではなく、強くて勇敢であることが求められる北海道犬の犬評会では、熊を連れてきて、その熊に吠えて立ち向かう犬が優秀とされるのです。
ノンノは今でこそ、ぽっちゃりおばあちゃんですが、僕が言うのもなんですが、若い頃のノンノは、それはそれは端正でキリッとした顔つきで、それでいて優しい美人さんだったんです。(親バカ?笑)
勇敢で、赤ちゃんの頃、ノンノと姉弟のペロという♂も一緒にうちの庭で放し飼いしていました。
いつでも子犬が体いっぱいじゃれあって、追いかけっこをしている姿が可愛すぎて〜♪
毎日うろちょろしてるキタキツネが、子犬たちを狙ってか、子犬の餌を狙ってか解らないのですが、バカにして、すぐ近くまで来るんです。
ペロは家の壁際で、小さい体をさらに小さく丸めて、ブルブル震えてるんですね。でも、ノンノは小さい子供なのに、震えているペロの前に立ちはだかって、果敢にキタキツネに吠えてるんです。キャンキャンって。
僕は気が気じゃないので、慌てて外に出て、キタキツネに石を投げて追い払う。
ノンノが大きくなってからは、ノンノが騒ぎ出す時は、キツネが来た時だと解るので、そっとノンノの首輪を外してあげるんです。
そうすると、ノンノはダッシュして、遥か彼方までキツネを追いかけ回して、ハアハア言いながら満足そうに帰って来る。
そんなノンノなので、これはもしかしたら優勝するかも?なんて思って、2歳くらいの時、北海道犬の犬評会に参加したのです。
飼い主の横に並んで歩いたりする項目はなんとかクリアーして、最後、熊が出てきました。
「そら行け!ノンノ!ガンバレ!ノンノ!!お前は強い!立ち向かえ!」
なんて僕の願いに応えようとする気持ちと、初めて見る大きな熊に、怖いんでしょうね〜。逃げたいという正直な気持ちが入り混じってるのか、尻込みして後退しながら、小さい声で、ワン、ワンっと。
結果は…。
でも、そんなノンノも可愛くて。
5年前、子宮内部に膿が溜まる病気をして、余命3日と言われました。
何も食べないし、動かない(動けない)。
それでも僕との散歩だけは行きたくて、
「ノンノ、散歩行こう?」ってリードを持って誘うと、なんとか立ち上がって、外に出るのですが、道路の真ん中で立ったまま動けない。
2,3メートル離れて、「ノンノ、おいで。」って、僕が両手を広げて呼ぶと、一歩一歩、ヨロヨロしながら歩いてくる。
やっと手の届くところまで来たノンノを思いっきり抱きしめると、血の気がなく、白くなったベロで、僕の顔を舐めてくれる。
3日目、さらに元気がなくなって、立つこともできなくなって、いよいよ今夜かも…。と覚悟を決めて、僕はノンノのすぐ横のソファで寝ました。
寝返りを打つたびに、ノンノが息をしていることを確かめているうちに、僕も寝入ってしまったんですね。そうしたら、突然、重くて柔らかなものが、僕の胸の上に飛び乗ってきたんです。
ノンノでした。
立つことすらやっとのノンノが、生きる最後の力を振り絞って、ソファの上で寝ている僕の上に飛び乗って来たんです。ジャンプする体力あるはずないのに。
我慢していた涙が溢れて来ました。
あ〜、ダメだ〜。このことを思い出すと、涙が止まらなくなる〜。
今、泣きながら書いています(笑)。。
「大丈夫だよ。ノンノ。安心していいよ。」
その晩、ノンノを抱きしめながら、眠りました。
でも、それからノンノは奇跡の復活を遂げるのです!(嬉)
少しづつ元気になって来て、病院に、「なんか、ノンノ、元気になってきたので、手術、できませんか?(手術をするための麻酔を打ったら、間違いなく戻ってこれないだろう。ということで、手術できなかった)」と連れていくと、先生は、「え〜!ノンノ、まだ生きてたの?!」と驚かれました。
そして手術をして、元気を取り戻したんですね。
そうして今も元気に生きています!
子宮を取ると太るそうで、規定の2/3の量の餌しかあげていないのに、体型はぽっちゃりで、耳が遠くなって、右目は見えないノンノですが、そんな風に一つ一つ欠陥が増えるごとに、愛おしさが増してきます。
ぽっちゃりで疲れるんですかね?散歩の時、何か興味があるものを見つけるのか、休憩したいからなのか解らないのですが、しょっちゅう、座り込んだり、道端の石の匂いを嗅いだりして、止まるんです。
そんな時「ノンノ!早く行くよ。散歩はダイエットも兼ねてるんだから。休憩ばかりしないの!」なんて言って引っ張ると、四つん這いになって… あ、元々四つん這いだった(笑)
お尻を下げて、絶対動かないぞ!なんて感じに、思いっきり抵抗するんです。
その力強さを感じると、元気になったなぁ。っと、あのヨロヨロしながら両手を広げている僕のところまで、なんとかやってこようとするノンノを思い出して、「ノンノ、元気になってくれてありがと。夕焼け、綺麗だね。」なんて言いながら、僕もノンノの横に座るのです。
すると、ノンノは右手で僕の左の腕を”ねえ、ねえ”みたいに触ってくる。
これは、”撫でて、撫でて”の合図。
「なんだよ〜、おばあちゃんになって、欲求が増してるんじゃないの?」
なんて言いながら、”いい子、いい子”ってふうに撫でてあげると、満足して遠くを見てる。
遠くを見てるから、撫でるのをやめると、すぐにまた、右手で僕の左の腕を”ねえ、ねえ”。
かつて、僕には解らないくらい遠くにいるキツネや猫を見つけては、リードをちぎらんばかりに引っ張っていたのに、今は、すぐ近くに猫がいても、気がつかず、のっそのっそと歩いてるノンノ。
かつては200メートルほど離れている工房から帰る自転車の音に気がついて、その後の散歩を楽しみに、ワオーン、ワオーンと吠えていたのに、今は横まで来て、僕が撫でて、初めて、「あ、いたの?(嬉)」よっこらしょって体を起こして、伸びをするノンノ。
かつては、自転車での散歩で、思いっきりペダルを漕ぐ僕よりも、必ず前を走っていたのに、今では歩いてる僕に引っ張られて、のっそのっそ、そしてすぐに休もうとするノンノ。
こんな秋の夕焼けを見ると、なんか全盛期をすぎて、季節で言えば晩秋に差し掛かる一抹の寂しさを感じるノンノとダブって、ちょっとしんみりとした気持ちになる。
でも、そんなことを思うのは、僕だけで、とうの本人は、耳が聞こえなくても、片方の目が見えなくても、風のように走れなくても、全然気にかける風もなく、撫でろ、撫でろ。休憩、休憩。こっち、こっち。歩きながらプップ(おなら)なんてやっている。
夕陽に照らされて、稲刈り直前の、黄金色に輝いている田んぼは、ノンノの毛と同じ色で、ノンノと同じようにフッサフサで、ノンノの尻尾と同じように、ユラユラと風に揺られているものだから、毎年この季節は、ノンノの季節だなぁ。と思う。
田んぼの上をキラキラと飛んでいた赤トンボが、フリフリしているノンノの尻尾に止まるものだから、「それは稲じゃないよ。ノンノの尻尾だよ。でも、わかるよ。だって気持ち良いもんね。ノンノの尻尾って。」なんてつい喋りかける。
ノンノ、いろんなことが昔のようにできなくなってもいい。
来年も、再来年も、これからず〜っと何年も何年も、何十年もこの季節はやって来るんだよ。
田んぼはノンノ色に輝いて、たわわに実った稲はノンノの尻尾のようにユラユラ揺れてるんだよ。
赤トンボが稲と間違えて、ノンノの尻尾で休むんだよ。
だから、これからもず〜っと、一緒に散歩しよう。
おばあちゃんになったノンノは、年中毛が抜けるので、一緒に寝ることは無くなったんだけど、このブログを書き始めた昨日は、ノンノ愛おし度数がMaxになって、ノンノを連れて来て、久しぶりに一緒の部屋で寝ました。
「ノンノは毛が抜けるから、ベッドの上はダメね。こっからこっち来ちゃダメだよ!」なんて言って、僕の横にノンノの寝床を作ってあげたのですが…。
電気を消して寝ようとすると、ノンノは僕のベッドにジャンプ!
僕の上に乗ってくる。
ジャンプはありがたいんだけど…
元気はありがたいだけど…
ノンノ、あの時より7キロも太ったノンノを抱きしめて眠るのは、無理〜〜〜(笑)
愛してる
9/9 Kin9 の日、夜空を見上げると、ぽっかりと僕の上空だけ雲がなくて、たくさんの星が見えた。道路に寝転んで、天の川を眺めたんだ。もしカヤックに乗ってこの天の川を下っていったら、あなたの心の中にたどり着けるのだろうか。なんて思いながら。