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ブックカバーチャレンジ〜2日目
第2日目、紹介する本は…
『シェーカークッキング』宇土巻子
今から約20数年前、20代前半の頃、池袋のデパートで買い物をしてたんですね。そのデパートの中に美術館があって、シェーカー家具とアーミッシュキルト展をやってたんです。
徹底的な禁欲と、厳格な教義のもとに田園で共同生活を送り、祈りと労働の日々を送ったシェーカー教団が、自分たちの生活のために作っていた家具がシェーカー家具です。
掃除する際に、椅子を壁に掛け、隅々まできれいに掃除をするのが彼らの日課で、”壁に掛けられた椅子”が彼らの生活スタイルの象徴的な1シーンです。
が、当時の僕は、シェーカーなどという言葉すらも知らない、ただの大学生。
美術館の壁に掛けられたシェーカーチェアーの美しさに吸い込まれるように、入っていきました。
掛けられた椅子の横に、ある言葉が。
『審美性は有用性に宿る』
シェーカー教団の暮らしの根底を支える思想です。
そして、いまだに僕のもの作りの懇願でもあります。
その後、僕はオリンパスでカメラの開発者として社会人生活を始めるのですが、壁に掛けられた椅子と、質素で美しいシェーカーのライフスタイルが、心の片隅にいつでもあったんですね。
やがて今の道を選ぶことになります。
あまりに厳しい禁欲、教義、世俗の排除のため、やがて衰退し、末裔も途絶えてしまったシェーカーの人々の美しい暮らし。彼らの作る家具。
ただただ、品格と、宗教的、厳格的な美を感じていたその椅子も、この道に入って20年経った今の僕が見ると、少し見方が変わるものです。
後ろ脚の上端のロウソクの炎のような形の部分。
掃除をするため、椅子を壁に掛ける時の持ち手にしっくりくるような形なんです。
この「フィニアル」と呼ばれる部分の形状は、職人によって微妙に異なります。
一切の装飾を排除しよう、自己を封じ込めようと願いつつ、どうしても消せないその職人の自己掲示欲のようなもの感じ、何か、ホッとするというか、安心するのです。
この本は、シェーカーの暮らしを原風景にした、豊かな暮らしを、料理に焦点を当てています。いろんな美味しそうなレシピとかが出ています。
是非、シェーカーについても、ちょこっと検索してみてください。
シェーカー教徒は絶滅してしまいました。シェーカーと似てて非なるものなのですが、アーミッシュの人々の暮らしは、21世紀に入った今でも、細々と、脈々と受け継がれています。
いつかアーミッシュの村を訪れてみたいと思っています。