月の道 | 札幌のオーダー家具・オーダーキッチンなら家具工房【旅する木】

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月の道

札幌方面から当別に帰る時、石狩川を渡ります。
さすが、日本一の流域面積を誇る石狩川。下流の川幅はこんなに広いんです。

と書いて、ちょっと不安になって調べたら、日本で2番目でした…(恥)。。

今年は中秋の名月(9月21日の月)と満月が8年ぶりに重なるということで、SNSでも騒がれてましたね。
あいにく当別は曇りで、中秋の名月は見えませんでした。

上の写真はその前の日、9月20日。

シルバーウィークにカヤックで歴舟川のリバーツーリング&キャンプをして楽しんだ帰り道、石狩川を渡ろうとした時、ほぼまん丸の明るくて美しい月と、その月光が水面に細長く映る風景が、あまりに綺麗で、思わず橋を渡り切ったところに車を止めて、歩いて橋の真ん中まで戻って、写真を撮りました。

”月の道”

昔、同じような美しい風景を海で見たことがあって、その時、”月の道”という言葉がスッと浮かんで、口にしたことを思い出しました。。
「月の道。ずっとこの道をたどって行けば、月に行けるようだ。」

 

楽しいリバーツーリングの後の帰りに、思いがけず、こんな透き通るような静かな青い風景に出会うと、なんだか急に寂しくなるものです。

ああ、この清らかな寂しさ、昔、感じたことがある。

 

小学3年生か4年生だったと思います。

『星は一時間に15度ずつ、動くんですよ』
先生のこの言葉を、それが本当か確かめようと思ったんです。

どんな装置だったろう。
よく覚えていませんが、確か、望遠鏡と、角度計が一緒になったような機材を先生が貸してくれたんですね。
どれか明るい星一つを選んで、その星に一時間ごとに焦点を当わせて、角度計で緯度と経度を測るというもの。

この計測を仲の良い友達のAと二人でやったんです。
僕の家のベランダにテントを張って、お菓子とか遊ぶ道具を持ち込んで、友達と二人で徹夜するわけです。
普段、9時には寝なきゃ怒られるのに、この日ばかりは堂々と徹夜できるわけで。なんてったって、先生公認の天体の研究ですからね。
しかも友達と。
心の底からワクワクして、嬉しかったのを覚えてます。

1時間おきにテントから出て、狙いの星に望遠鏡を合わせて、その角度をメモする。
これを繰り返す。

途中までは順調だったんですけどね。
測定装置は風とかで動いてしまったら意味がないので、ロープで固定していたんですけど、それが裏目に…。

暗くてなのか、寝ぼけてなのか忘れましたが、真夜中の測定の時、足をロープにひっかけて、測定装置が動いちゃったんですね。
こうなったらもう、その後の測定する意味がない。

困った僕たちは、悪知恵を働かせて、それまでの数値を計算して、それなりの計測データーを捏造するわけです(笑)。
今思うと、星は一直線に東から西に移動するわけではないので、多分、捏造したデーターはひどいもんだったんだろうなぁ。なんて思います(笑)。

やがて空が明るくなって来て、星が見えなくなって、すでにとっくに限界の僕たちは、安心して眠りにつきました。

目を覚ました時、2人とも頭と足が寝る前と逆になっていて、そんなことで大笑いし合いました。

ベランダでテント、天体の実験、友達と夜更かし、データ捏造、初めて起きて迎える朝…
そのどれもが子供の僕の心と体には収まりきらないほどの自由で、新鮮で、ワクワクする経験だったんですね。
そして、こんな時間と、秘密を共にしたAに、僕はより深い友情を感じたんだと思います。

昼ごろに起きて、母親が作ってくれたカレーを食べて、Aは帰って行きました。

彼が帰った後、僕は名残惜しくてまた、ベランダのテントに入るのです。
でも、そこにはもう友達はいない。
自由とワクワクと喜びが溢れていたテントの中は、実は夢だったのではないかと思うほど静かで、その静かなテントの中で、乱れた毛布を見ていたら、なんだか急に寂しくなって、別れたばかりのAにまた会いたくなって、涙が出てくるのです。

 

次の日、ドキドキしながら測定データーを先生に見せると、意外な言葉が返ってきました。
「よくやったね。この観測を実際にやったのは、君たちが初めてだよ。」
先ずは捏造がバレなかったことが、(実際にはバレてたんだと思います)嬉しくて、Aとはしゃいでいると、先生はこう付け加えました。

「でも修司、A、昨日は満月じゃなかったかい?星の観測は月明かりがあまりない日にやったらいいよ。」

狙いを定めた星しか意識をしていなかった僕とAは、昨日が満月だったことに全然気がついていなかったんですね。

石狩川に映る”月の道”が、もう何十年も思い出すことのなかった遥か遠い昔の、こんな記憶を蘇らせました。
純粋で清らかな寂しさを感じたからなのかな?

「月の道。ずっとこの道をたどって行けば、月に行けるようだ。」

もしかしたら、この月の道は、あの日の僕とAが気がつかなかった満月につながっているのかも知れない。

そしたら言ってあげよう。

「星の観測は月明かりがない時がいいんだってよ。」

と、その前に、

「固定したロープに、足を引っ掛けないように、注意するんだよ。」

”月の道”   最高に幸せな時間 愛してる

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