若者よ、変態たれ! | 札幌のオーダー家具・オーダーキッチンなら家具工房【旅する木】

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若者よ、変態たれ!

新年度になりましたね。
新人の太河とくどけんが旅する木にやってきて、一年が経ちました。
旅する木に来たばかりの頃、僕や花輪君の仕事を見て、「変態ですね。(こだわり方が半端ない)」と言っていた彼らですが、彼らは”変態”になったのでしょうか?
でも、彼らが言った”変態”の意味は、ちょっと真実と違うんですよね。

”変態”とは、生物学用語で、幼虫がサナギに、サナギが成虫になること。

僕は文章を書くのが好きなので、本とか、新聞とか、メルマガとか、他の人の文章を読んでいて、その内容もさることながら、表現の仕方や、言葉の使い方に感動してしまうことがあります。

数年前から『日本講演新聞(元みやざき中央新聞)』を購読しています。内容が心動かされる記事が多いんですよね。たまに、感動して泣いてしまいます(笑)。
特に編集長の水谷さんの言葉の使い方、文章のまとめ方に、密かに「やられた〜!」と思うことがしばしば。先日も。

文頭で”変態”の意味を説明するんです。
「”変態”とは、生物学用語で、幼虫がサナギに、サナギが成虫になることです。」っと。
そして、このことを教えてくれた理科の先生の人生を書き連ねる。

末期ガンを宣告された化学関係企業の技術者が、「若い人に化学の素晴らしさを伝えるために残りの人生を使いたい。」と退職し、高校の教師になる。落ちこぼれの生徒だったKが、この教師との出会いで人生を変容していく。やがてKは「先生は命の使い方を見つけたんだ。先生の思いを受け継いで、理科の教師になろう。」と決心する。

そしてコラムの最後を…

Kの”変態”は落ちこぼれから理科の教師になったこと。
変態とは、一定の期間が過ぎると、同じ生物とは思えないほどとんでもない姿になること。命にはそんな可能性が潜んでいる。
昆虫の話ではない。人間の話である。

 

文頭で唐突に”変態”の説明の前振りがあって、そしてフィニッシュへの持って行き方、そしてフィニッシュ「昆虫の話ではない。人間の話である。」
この子気味良さで余韻を残す文章に魅せられて、せっかく寝る前に睡眠を促すために読んでいたのに、すっかり目が覚めてしまいました(笑)。

話は変わって…

インフルエンザの治療薬『アビガン』が新型コロナウィルスの治療に効果があるとニュースで騒がれています。この薬を製造しているのは、富士フィルムなんですって。
僕は木工の世界に入る前、オリンパスでカメラの開発をしていたので、富士フィルムにはお世話になっていましたし、OEMで富士フィルムのカメラの開発に携わったこともあるので、馴染み深いんです。
でも、今、フィルムカメラを使っている人、見たことありますか?まず見ることはないですよね。ほぼ全ての人が、デジカメかスマホですもんね。
この革命的な時代の変化に、フィルム会社はものすごい衝撃と、経営危機に直面したことと思います。そこから富士フィルムは、フィルム製造の技術を活かし、医療メーカー、化粧品メーカーに変態を遂げるのです。

さて、旅する木の若者たち。
実は、彼らと僕の3人は、工房に住んでいます。毎日朝6時30分に朝食を準備して食べて、掃除をして、体操をして、仕事をして、お昼ご飯を作って、食べて、午後の仕事をして、掃除をして、夕ご飯を作って、食べて、自由時間、寝る。という生活。

なぜ寝食を共にするこのやり方を始めたかというと…、
物作りは、その人の全てが隠しきれずに出てくるんですね。AさんとBさんが同じ図面を見て製作して、メジャーで寸法を測ると、どちらも図面通りにできているんだけど、なんか違う。この違い、遠くから見ても判るんですね。家具から滲み出る雰囲気が違う。としか表現しようがない。この”なんか”が一番大事なんです。既製品で、同じものを何十個、何百個と作るもの作りだったら別にいいんです。図面の寸法通り、キチッと正確に作られていれば。

でも、旅する木のように、全てオーダーで、一点一点、一人一人に作品を作るもの作りでは、その”なんか”の部分が相手の心を揺り動かすんです。そしてその”なんか”は、その人の内面なんですね。考え方、生き方と言ってもいい。
機械化、AI化が避けられないこれからの木工の世界で、最後の審判は、その部分にかかっているんだと思うのです。僕はまだ、今までのやり方で木工ライフを終えられるのかも知れない。でも、今21歳の彼らは、必ずその”なんか”を今以上に問われる時代を生きることになるんだと思うのです。

だから旅する木は、技術を身に付けるだけでは、もの作りの半分なんです。それ以外の部分を、一緒に暮らしながら磨いていこうという思いで、このスタイルを始めました。

若者たち、よく一年、ついて来てくれたと思います。日々の生活で楽しくも、結構叱りながら暮らしています。今時の若者にとっては、「なんでそんなこと言われなきゃいけないんだ?」ということもしばしばあると思います。僕から見ると、「そんなことは社会人になる前に身につけておけ!」ということですが。それでも逃げずについて来る彼らは、すでに僕から見て、一年前とは明らかに意識が違っています。

一年前、僕のことを”変態”と言った若者たち、彼らは本当の変態になれるのか?

昆虫の話でも、フィルム会社の話でもない。君たちの話である。

 

あ、そういえば なんで上の写真、亀田の柿の種かって?
今日のブログ、最初は僕の大好きな、亀田の柿の種のピーナッツの比率が6:4から7:3に変わるという大事件について書こうと思ってたんだけど…。

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