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”音”が作り出す”形”
『音には形がある』
皆さんにとって邪魔だな。って思うものって何ですか?
僕が今、邪魔だな〜、って思っているもの…。
それはYouTube見ている時のCM!
ほぼほぼ興味がないものばかり。
大抵skipしてしまいます。
先日の朝も、犬の散歩しながらYouTubeを聞いていて、CMに入ったのでskipしようと思ったら。
「音には形があるってご存知ですか?」
ん?
この一言に僕の心はギュッと掴まれてしまいました。
『音には形がある』
なんでも、黒い下敷きのようなものに砂を巻いて、そこに音を当てるっていうんですか?音を伝わらせると、その砂が様々な美しい模様を作り出すんです。
とっても神秘的で不思議な映像が流れます。
そして、これを医療の現場に利用しているんですって。
そんな内容のCMでした。
添付しようと探してみると…。
あんなに邪魔だと思っていたCMも、いざ探そうとすると、見つけられないもので…。
別の動画を見つけたので、添付します。
見てみてください。
『音には形がある』
本当ですね。
そして僕はいつも思っている持論があります。
『形には力(エネルギー)がある。』
何年か前に”鎌倉の大仏”の背中を見た時に感じました。
大きな愛というのか、憂いの中にある優しさを形にしたら、こんな形になるんだろうなっと。
その時僕は、こんなことを感じて、ブログに書いていました。
+++ 2016年12月20日 ”形に祈りをこめて” より抜粋 +++++++++++++++++++
形にはエネルギーがあります。
だから時を越えて、人の心に届くのでしょう。
ただ、形に執着し過ぎると ”我”が入ります。
すると、とたんにエネルギーが失われます。
形の本質にあるのは目に見えないエネルギーです。
時にそれは”思い”であり、”希望”であり、”喜び”であり、”願い”であり、”祈り”などといったものなんでしょう。
僕の仕事は、お客様と打ち合わせをした家具を”形”にすること。
本質を見極め、それと向き合いながら、”形”を考えるようにしています。
そして、それは製作過程においても同じで、図面の奥にひっそりと佇んでいるものを丁寧に築き上げること。それが職人の仕事です。
図面を正確に形にすることが出来る職人はたくさんいるけれど、それではまだ半人前。
図面の向こうに隠れている想いを感じられる心が大事、だから完成したものから放たれるエネルギーには違いがあるんですね。
”思い”、”希望”、”喜び”、”願い”、”祈り”
いろんな装っているものを一つ一つ取り除いていった最後に残るものが、そういったものであるような家具を作っていきたい。
そして、そんな旅する木を作っていきたい。
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随分生意気なことを言っていますね(笑)。
今でも目指すところは変わりません。
でも、考え方はちょっと変わったかな?
肩肘張って、目指すべき高みの崖を食らいついてよじ登るというよりも、人にはそれぞれの段階というものがある。
目の前の小さな階段を、一歩一歩心を込めて味わって、楽しみながら登って行こう。
そうしてある時振り返ったら、
「あらまあ、いつの間にか、随分と高い場所にいたものだ。」っと。
そして僕にはもう一つ、駆け出しの職人になった時から思っている持論があります。
『いい職人はいい音を出す』
先日、旅する木にNHKの取材が入ったんですね。
その時カメラマンの方が嬉しい言葉をくれました。
「ここは音がいい。映像よりも音を記録したい。」っと。
工房で作業をしていると、
隣でスタッフの花輪君がカンナ掛けをしている時の、スーッという音がなんとも心地いい。
その向こうでくどけんが仕上げをしているペーパーをシャシャシャーって擦っている音もまたいい。
水場で刃物を研いでいる時、刃物と砥石の擦れ合う音の中に意識が吸い込まれていく感覚は、宇宙を感じる。
『形には力がある』
だから、なんとしても力のあるものを作ろう!
ではなく、
『いい職人はいい音を出す』→『いい音はいい形を作る』→『いい形には力(エネルギー)がある』
僕が今意識していることは、目の前の仕事を
『いい音を出す』
そして工房の体育館には、今日も ”いい音” が木霊(こだま)している。
な〜んだ。後から振り返ったら、ぜ〜んぶ、いいことに繋がるよ。