すごい新人がやってきた! | 札幌のオーダー家具・オーダーキッチンなら家具工房【旅する木】

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すごい新人がやってきた!

いつの間にか7月も半ばになってしまいました。
ブログを1ヶ月もサボってしまいました…。。

いえ、サボっていたわけではありません。
ありがたいことなのですが、仕事が忙しすぎて、ブログを書く時間が作れないでいます。

贅沢な悩みなのですが、僕にとって、ブログを書くこと、文章を書くことは、ある意味、心のリラックス、日常であちこちに揺れ動く心の振り子をスーッと安定した場所に静止させてくれるところがあるので、本当はそのような時間を作りたいんよね。

今週は久々の土日休み。
誰もいない工房でのんびりしています。

 

そう。この1ヶ月の間に旅する木に新たに新人が入ったんです!

4月には18歳のテル、20歳のユウヤという新人が入って、頑張っているのですが、申し訳ないけど彼らよりもず〜っと優秀で(笑)、僕も驚くほど正確な加工技術を身につけていて、それでいて一切不平不満、文句を言わず、淡々と仕事をしてくれるんですね。
まだ3ヶ月の使用期間が過ぎてないので、名前の公表は差し控えて、イニシャルで、N.C君と呼ぶことにしますね。

とても優秀な彼なのですが、僕からみて、二つ、改善して欲しいことがあってですね。
新人教育は最初が肝心!ってことで、この前、がツンと言ってやったんですよ。

+++++++++

なあ、N.Cくん、君さあ、従順すぎなんだよね。
まあ、新人のうちは素直で従順というのはとても大事な要素なんだけど、君、ちょっと度が過ぎてるんだよね。
これだけ技術を持ってるんだからさ、自分で考える能力を身につけようよ。
指示されたことを、何も考えず、指示されたまま行動してさあ、それでこの前も失敗したじゃん。
ちょっとは考えろよ。
あれ?なんかおかしいぞ?これ、間違ってるんじゃないか?って気づくだろ?
そしたらそこで一旦作業をやめて、確認するとか、指示通りやってるんですけど、本当に大丈夫ですか?って俺に聞きに来るとかさ。

もう一つは、これが俺としては結構問題だと思ってるんだよね。

ぶっちゃけはっきり言っちゃうと、
人間味がないの。
これが俺としては寂しいところがあんのよ。
「休憩しようぜ。」って誘っても、無言で、表情変えずに作業やめないじゃん。
失敗した時も、なんか
「僕は悪くありません。そう指示されてますんで。」って感じでツラっとしてるじゃん。

「すみません。失敗しちゃいました!」テヘッ?って感じだったら、
「ふざけんな。お前。テヘッじゃねーよ!テヘッでごまかそうとしてんじゃねーよ!まあ、しょうがねえなあ。」ってなるのに、

君、加工がうまくいった時も、失敗した時も全く無表情で、終わりました。って感じで、俺がドキドキしながら加工が終わったものを見て、
あ〜、よかった〜!上手くいってる。
とか、
失敗してんじゃね〜か。ってガッカリしてるんだけど。
それって、おかしくない?

もっと人間らしく、難しい加工が上手く行った時は、
「やりました〜♫上手くいきました!」って喜んだり、
失敗した時は、「すみません。失敗しちゃいました↓↓↓」って落ち込んでくれたら、
なんかこっちも、お〜、よしよし!とか、しょうがねーなー。次、頑張れよ!とかなってさ、
なんか気持ちを共有している一体感みたいなものを感じるわけよ。
そういう人間臭さのようなもが俺は欲しいわけよ。
そこんこと、どう?どう思う?

無視かよ。
相変わらず青白い顔して。
なあ、N.Cよう!

って、君、NCルーター(機械)だったのかい!!!(笑)

 

なんかすみませ〜ん。
くだらないコントにお付き合いさせてしまって…

そうなんです。
6月中に旅する木に新しい機械、NCルーターを導入しました。
NCルーターとはどういう機械かと言いますと。
コンピューター制御された機械で、プログラムを作ると、そのプログラム通りの加工をしてくれるんですね。

このNCルーターを導入することに関して、僕は自分の中で高いハードルがあリました。
価格が高額だということよりも、旅する木がNCを使って加工をしていいものか?というような、精神論的なハードルですね。

NC=大量生産=量産工場=温かみのない家具

というようなイメージを持っていたので。
でも、その一方で、NCは、人間にはできない正確な加工をしてくれます。

旅する木がオーダー家具だけをこれからも作り続けるとしたら、NCの導入は全く頭になかったのですが、僕はこれから、【美しい木の車椅子】を家具と同じくらい、いやそれ以上の旅する木のもう一つの柱に成長させていきたいと思っており、そこを目指すには、NCルーターの導入は必要不可欠だと判断しました。

自分でも不思議なことに…
前日までNCの導入を考えたこともなかったのですが、ある休みの日の朝、ふっと目を覚まして、10分くらい、半分ぼ〜っと上記のことを考えて、
「よし、NC入れよう!」
と決断しました。

この後じっくり考えたり、値段のことを考えたり、採算合う合わない、減価償却がどうのこうのって考えたら、それは確実に「やっぱやめよう。」ってことになることがわかっていたので、機械屋さんに電話して、
「気が変わらないうちに頼んじゃいます。NCルーターを購入するので打ち合わせしましょう!」っと伝えてしまいました。

そういえば独立を決心した時もそうだったなぁ。
独立する気など全くなかったのに、友達に機械屋さんを見に行こうと誘われて見に行った時、たまたまどこかの家具工房が廃業して下げてきた良い機械が並んでて、それを見た時、口からぽろっと
「この機械、誰にも売らないでください。全部僕が買いますから。」っと。

それから資金を借りるために金融機関を回って、担当者を拝み倒して、担保なし、保証人なしで融資枠満額のお金を借りて、場所を探しまくって、30万円の家賃をこれまた大家さんを拝み倒して、16万円にしてもらって、さあ、ようやく機械を搬入して、旅する木を立ち上げたものの、仕事ってどうやって取るの?誰が仕事を持ってきてくれるの?っというところからのスタートでした。

大きな決断ほど、一瞬で、というか、いつの間にか動いちゃってた。という感じなので、このNCルーターの導入も、後々から振り返ると、ああ、よかったな。と思う時が来るんだろうな。と思っています。

とは言いつつ…

今までNCを使ったこともいじったこともないので。
プログラムを作って加工する部材をセットして、いざスタートボタンを押す時は、もうドキドキしながら、簡単にはボタンを押せないでいます(笑)…
やっとの思いでスタートボタンを押すと、機械が自動に動き出して、加工を始めます。
当たり前ですよね。自動運転機械なんですから。

このブログの一番最初に、N.C君を一人の人間として紹介したのはですね…
自動運転なので、人がついていなくても加工が進んでいくんです。
なので、NCを導入している会社は、NCを一人工として、いかに効率よくNCに仕事をさせるか?という風に考えるんですね。
もしくは、数年間の人件費を考えて、NCの稼働率、減価償却などから、人を入れる代わりにNCなどの自動運転の機械化を進めるのが、木工業界の流れになっています。

全くもって経営者感覚、経営者目線がない僕は、そういうことはよく解らず、ただ単に、いかに車椅子の精度を上げるか?という一点のみでNCを導入しました。
そしてNCの扱いに慣れてないのもあり、N.C 君が自動的に加工している間、ドキドキしながら、加工している様子をずっと眺めています。

それじゃあ、一人工どころか、2人工かかってるのと一緒じゃん!(笑)

そして、僕のプログラミングが間違っていたり、大丈夫だと思ってセットした加工部材の吸着が甘かったりして、加工が失敗していても、N.C君は淡々と、僕の指示通りの加工を進めていきます。
失敗したまま加工が続けられて、プログラムが完了して、刃物がホームポジションに帰って、N.C君が停止して静かになります。

そして相変わらず
「指示通り加工しましたけど、なにか?」
という感じでツラッとしています。

僕はN.C君に謝ります。
「すみません。プログラミング、失敗しちゃいました!」テヘッ?