オオカミの遠吠えを聞きたい。 | 札幌のオーダー家具・オーダーキッチンなら家具工房【旅する木】

PAGE TOP

BLOGブログ

オオカミの遠吠えを聞きたい。

この写真は、6年前にアラスカに、オーロラを見に行った時の写真。
本編とはあまり関係ありませんが…

今宵の満月は、当別は深い霧に包まれて、見えませんでした。
3月の満月を、ネイティブインディアンは、Worm Moon(ワームムーン)と呼んだそうです。
wormとは”ミミズなどの虫”という意味。
少しずつ暖かくなってきて、土から虫が出始める3月の満月を、そう呼んだんですね。
自然と密接に繋がった暮らしをしているネイティブの人たちは、同じ満月にも、いろんな名前をつけたんですね。
調べてみると、面白い満月の呼び名を見つけました!
1月の満月をWolf Moonと呼ぶんですって。
Wolfは狼。狼が空腹で遠吠えをする頃の満月。
なんかいいですね〜。

どこまで続く雪原。澄み切った夜空に浮かぶ大きな満月。キーンと冷え込んで張り裂けそうな大気。生き物などいないのではないかと思うような世界に、遥か彼方から聞こえる狼の遠吠え。それに応えるように、別の狼たちが吠え合う。月と自分と狼だけの世界。
もしそんな場所にいることができたなら、それは恐怖でもあり、同時に贅沢な時間であり、世界だと思います。

ネイティブの人たちが、満月にいろんな名前を付けたように、アイヌ 民族も、自然を表現するのに、複数の言葉を使い分けていたんです。

例えば、アイヌ の人たちは、”水”を表現する言葉が二つあります。
”ワッカ”と”ベ”
”ワッカ”というのは、飲める水。
一方、”ベ”の方は飲めない水。

川にも二つ、”ベツ”と”ナイ”。
”ベツ”は水かさが増すと氾濫してしまう川。
”ナイ”は氾濫が起こりにくい川。
なんだそうです。

つまり、稚内(ワッカナイ)は川の近くに住んでも安全で、しかも、川の水は飲める水。そういう土地。という意味なんですね。

北海道には、◯◯内(ナイ)という地名も、◯◯別(ベツ)という地名も、たくさんあります。
稚内の他、静内、幌加内、黒松内、木古内、岩内…
登別、江別、紋別、芦別、士別、標津…
などなど。
ちなみに、温泉地として有名な登別の意味は?
登別(ヌプル・ベツ)で、色の濃い川。
石灰質の濁った温泉が川に流れ込み、白く濁っている川。という意味なんだそう。
そういう目でその場所を見てみると、面白いんです。

自然と共に、自然と調和して暮らしてきた民族は、自然を克服するとか、支配するとか、そのような考えはなく、自然をそのまま受け入れる気持ちが、僕らには見えない世界が見えていて、それが、豊かな表現になっているんだな。と思います。

そのような考えに頭を切り替えてみると、1年に12回もある満月を、いっしょくたに満月と表現したり、大きい川も小さい川も、氾濫する川もしない川も、ただ川と表現したり、飲める水も飲めない水も、ただの水、と表現する僕たちは、随分乱暴で、味気ない暮らしをしているような気がしてきます。

現代の暮らしに慣れてしまっている僕たちには、ネイティブの人と同じ目線にはなれないけれど、彼らの知恵や、感性のほんの欠片を心に思い浮かべながら、この世界を見て、感じることは、行き詰まっているこの時代をどう生きるべきかの、一つの答えというか、方向性を示してくるような気がします。

幻想的に風景を包み込む夜霧の中を歩いていると、なんかそんなことを考えてしまいます。

今夜のこの深い霧を、彼らはなんて表現するんだろう。

Moon Fog(ムーンフォッグ)深い霧に隠された美しい満月のように、大切なものは見えない。
Bear Fog(ベアーフォッグ)深い霧の中では、バッタリ熊に出会ってしまうかもしれないから気を付けよう。
Monochrome Fog(モノクロームフォッグ)霧の中では世界はモノクロに見えるけど、それはそれで美しいもの。あるがままを受け入れよう。
Girl Fog(ガールフォッグ)紫外線や、乾燥を嫌う女子は、こんな霧の中はいかが?
Couple Fog(カップルフォッグ)夫婦生活を円満に長く続ける秘訣は、相手の細かい言動をいちいち見たり、気にしたりせず、霧がかかった状態くらいで眺めているのがちょうどいい。

まあ〜、僕が考えるものなんて、こんな程度です…(笑)。。
でも、こんな風に考えるのって、結構面白い。
って、すでにネイティブの人の目線、全然関係ないじゃん!