海を渡ったクマ | 札幌のオーダー家具・オーダーキッチンなら家具工房【旅する木】

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海を渡ったクマ

日本全国で、熊が人を襲う事件が相次いでいますね。
ちょっと前までは、人間が豊な森の環境を壊して、森に餌となるどんぐりとか木の実が少なくなって、食糧を求めて人里に降りて来て、人と遭遇する機会が増えているのでは?と言われていましたが、最近は違うようです。

今は里山管理の問題の方が原因だということです。

人の生活圏と隣接する里山は、昔は炭焼きとか草刈りなどの管理がされていて、その奥の奥山が熊の生息域で、両者の活動範囲の棲み分けができていました。
ところが今は、里山は管理されることなく、放置され、繁茂状態になると、そこに若い熊が住みはじめ、人の活動域と隣接することで、人と接触してしまうことが多くなったのだそうです。

先日、衝撃だったのは、札幌の街中、それこそ、移転前の旅する木の工房があった場所のすぐ近くにヒグマが出没し、4人の人を襲った事件がありました。
イオンがあるような、それこそ住宅街です。
当別の山から、石狩川沿を歩いて、こんな街中まで来てしまったのではないか?ということです。

いずれにしても、すぐに射殺されてしまいました。
人を襲ったのだから仕方ないですが、こっそり来た道を戻って、山に帰ってくれていたらな。って思ってしまいました。

どうしてこんな札幌の中心部に近いところまで来てしまったんだろう?ここは自分たちの領域じゃないことぐらい、解っていただろうに。

目撃情報によると、この熊はすでに半月も前に札幌市内に入り込んでいたらしいということです。そして、好奇心旺盛は若いオスなんだとか。

好奇心旺盛な熊か〜。
何年か前に、こんな熊がいたことを思い出しました。
今回の熊は人を襲ってしまって、殺されてしまったけど、あの熊は冒険の旅を終えて、無事に帰ったんだなぁ。よかったぁ。っと。

以下、その当時のブログです。

2018年6月25日 つむじ風通信より

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”海を渡ったクマ”

その熊はなぜ、海を渡ったか?

北海道最北の島、昆布で有名な利尻島。
利尻島には熊がいないのですが、最近、一頭のヒグマが海を渡って、利尻島に上陸し、その姿がセンサーカメラにとらえられたというニュース。
もしかして騒がれているのは、北海道だけなのかな?
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キロも海を泳いで渡ったんだそうです。

なんで海を渡ったんでしょうね?

専門家によると、後尾のため、メスを探しに渡ったか、食べ物を探しに渡ったか、どちらかだそうです。

ホントかなぁ?
動物には想像力ってないのかなぁ?

最近、北海道は夕日がとっても綺麗です。
ちょうどノンノ(北海道犬)とマル(黒柴)を夕方の散歩に連れて行っている時なので、「夕日に向かって走れ!」なんて青春ドラマを演じています(笑)。

きっと、稚内の海岸線から、利尻島の向こうに沈む夕日も、めちゃくちゃ美しいだろう。
それを毎日見ていたあるクマが、あの島から見る夕日はどんななんだろう?
見たい!見てみたい!

そんな感情を、とうとう押さえられなくなって、海に入った。なんてことはないんだろうか?

僕は子供の頃、『トムソーヤの冒険』が大好きでした。
トムが友達と家出して、ミシシッピ川をイカダで下り、無人島で過ごす日々は子供の僕にはあまりに自由で、新鮮で、ワクワクする想像力に満ちていて、心を解放させてくれました。

そのクマは、母クマに怒られる毎日が嫌になり、自由になりたくて、ワクワクする冒険を夢見て、「あの無人島(実際には無人島ではなかった)で自由に生きるんだ!」といって、海に飛び込んだりはしなかっただろうか?

実は106年前、やはり利尻島に渡ったクマがいたんだそう。捕獲されたクマは体重350キロの大きなクマだった。
もしかしたら、稚内周辺の地元のクマ仲間の中では、彼は伝説的な英雄ではなかったか?

「あの島に渡って帰って来たやつはまだいない。あそこは恐ろしい島だ。決して近づくなよ。」なんて言伝えがあって、クマの中にも、「見るな」と言われれば見たくなり、「触るな」と言われれば触れてみたくなり、「行くな」と言われれば行きたくなる好奇心旺盛なクマはいなかっただろうか?

利尻島にはヘビのいないんだそう。
「それは本当だろうか?」と確かめようと思う学者クマはいないだろうか?

お父さんクマを人間に殺された赤ちゃんグマに、お母さんクマが、「お父さんは海の向こうの、あの美しい山(利尻富士)で元気に暮らしているの。お前が大きくなったら、あの山に会いにお行き。だからもう泣かないで。」なんて慰めたことはなかったか?

100年間、誰も海を渡ろうとしなかったのに、そのクマは海を渡った。
その行動に隠された真実は、人間には計り知れないことなのかも知れない。
餌とか、メスを探すためとか、そんなことではなく、もっと好奇心とか、冒険心とか、探究心とか、なんか人間に近い感情があって、それを想像すると、なんだかそのクマに親近感のようなものを感じてきます。

島民の安全を守るため、道に駆除申請が出され、許可されたそうです。

冒険の旅にでたクマよ。人間にも植村直己という偉大な冒険家がいたんだ。
彼が言っていた。
「冒険とは、生きて帰ることである。」っと。

誰にも見つからないうちに、また海を渡って帰っておいで。

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その後、この熊が発見されて、射殺されたというニュースは聞いていません。