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そろそろ真相をお話ししようかな。
そろそろ真相をお話ししようかと思います。
って、なんの真相か?って話ですが…。
今年の6月に、作業中に脚立から落下し、機械の鉄の板に顎を強打し、コメカミのすぐ下の右顎の骨を骨折しました。
今でも、口を全開にしても親指が入るいくらいしか口が開かない…(涙)
何が不便かって?
笑い話ですが…
いや、悲しい話ですが、お寿司が口に入らない。
ネタとシャリを別々にして、口に入れています。
さらに切ない話ですが(笑)…
ちょっといいとんかつ屋さんに入って、ちょっといいトンカツを頼んで、美味しそうな分厚いトンカツが目の前に来て、食べようとしたところ、残念ながら、上の歯と下の歯で、全ての衣が剥がれて、その間から肉だけが口に入っていきました。
なるほど、トンカツは肉と衣を一緒に食べなくちゃ、美味しくない。
って、当たり前だろ!
トンカツとはそういう食いもんだ(笑)!
一応 体裁上、脚立に乗って、作業していて、足を踏み外して、落下して、機械に顎を強打した。
ということにしていますが、実は…
スローモーションで落下していく最中、決して離すわけにいかない大事な大事なものを両手に抱えていたので、なんの支えも、受け身もとることなく、頭から3m下に落下する最中、鉄の塊の角に顎を強打したので、それはそれは、すざましい衝撃でしたね。
大事なものって、なに?
先に答えを言ってしまいますとですね〜…
スズメバチの女王蜂 なんです!
工房にはたまにスズメバチが入ってくるんです。
基本、僕は昆虫は好きで、その中でも、ハチは好きなんですね。友達だと思っている。
ミツバチや、クロマルハナバチなら、手に乗せても平気。
スタッフがビビっていても、僕はススメバチを見ると、「カッコいいなあ。」とつい見惚れてしまう。
5,6年ほど前、工房の外にスズメバチが大きな巣を作ったので、つい近くで見たくて近づいたところ(友達だし、こっちが危害を加えなければ、襲われないと思っていた)、襲われて、頭を2箇所、刺されました。
それでも好きなものは好きなんですね。
事件の3日前に、工房にドデカいスズメバチが入ってきたんです。
ドデカいんです。
いつものスズメバチは4センチくらいなんだけど、どう見ても6センチ以上はある。
羽音も、いつもと全然違う。低振動波でブオ〜〜〜ンとすごいんです。
最初、小さい鳥かと思いましたもん。
ネットで調べたら、独立した女王蜂は、6月ごろ、飛び回って、巣を作る場所を決めるんだそうです。そして巣を作る場所を決めたら、働き蜂を呼ぶんだそう。
3日間、様子を見ていると、工房の一番高いところに何やら巣を作り始めている様子。
工房の中に巣を作られて、働き蜂を呼び込まれたら、これはたまったもんじゃない。
ということで、駆除しようと試みるのですが、その最中、たまたま窓際の脚立に乗れば届くくらいの所の窓に止まったんです。
その時、僕の心は『駆除』→『捕獲』に変わりました。
6〜7センチのスズメバチの女王蜂を捕まえて、眺めたい。
これまたネットで調べたら、女王蜂は働き蜂に比べて攻撃性はそれほど強くない。しかし、刺されたら、威力は10倍…。。
それでも僕の気持ちは揺るがない! ← なんていうくだらない決意(笑)。
スタッフにスマホを渡して、捕まえるところを動画撮るように、指示! ← なんていうくだらない社長命令(…残念)。
スタッフに大きめのコップを持って来てもらって、僕は脚立に登る。
コップはちょうど間口が7センチくらいで、ギリギリ女王蜂が中に入るか入らないか?っていう大きさ。
脚立の一番上に乗って、届くくらいのところにヤツがいる。 ← 好敵手か!
そ〜っと、脚立の一番上に乗る。← これ、やっちゃいけないやつ(脚立はまたいで乗っていないといけない)。
目の前にヤツがいる。 ← ドラマの題名か!
僕の心臓はもう、人生最大と言っていいほどのドキドキ、バクバク!
いよいよ、僕とスズメバチの女王蜂との決戦の火蓋が斬られようとしている。
コップを持っている左手がブルブルと震える。← 左利きなので ← どうでもいいわ!(笑)
震える左手を右手で押さえて、「落ち着け〜、俺〜。大丈夫!出来る!お前は出来る!」← まず、そもそもの勝負所を間違ってる!
「いくぞ〜!いくぞ〜!ハイ!!!」
コップの中にヤツが入っていました。
その瞬間のことはよく覚えてませんね。なんか叫びまくってました。
でも、窓ガラスに押さえつけたコップの中なので、スタッフに、
「ベニヤ適当なサイズに切って、持って来て!」と指示。
スタッフが持ってきたベニヤ板をそっと差し込んで、蓋をして、女王蜂が入ったコップを両手で抱えて胸のところに持ってきました。
この時点で、最高潮の興奮と恐怖とで、頭真っ白。
早くこの恐怖から解放されたくて、とにかくこの女王蜂の入ったコップを机に置こうと思ったんですね。
脚立を駆け下りようとして一番上に乗っていた右足を、一段下の段に掛けたつもりが、そこには脚立の段が無い。
この時点で、すべてを把握しました。
「ああ、脚立の向きを間違えたな?」
そこからはスローモーションです。
不思議ですね。”死”に向かう時、スローモーションになるって聞いたことあるけど、本当なんですね。
そして風景は、白い光に包まれている。
床が近づいてくるとか、そんなものは見えないんです。
音も無い。
そして、意外と冷静なんです。
何を考えていたか?
ハッキリと覚えています。
①.ああ、このまま床に落下するな。もうそれを防ぐ手段はないな。
②.え〜と、今、何が出来るだろう?出来ることの優先順位はなんだろう?
③.とりあえず胸元には女王蜂がいるわけで、俺は2回刺されているし、女王蜂の威力は10倍だから、刺されたら死ぬな。
④.このまま床に落ちたら、大怪我するだろうな。でも、死にはしないだろう。
⑤.ということは、優先順位は、女王蜂を逃さないのが今、最も優先することだな。
⑥.といことで、このコップは大事に抱えていよう。
⑦.その上で、床に落ちた時の衝撃は、出来るだけ逃したい。どうすればいいかな?
⑧.手は使えないから、なんとか腕か肩から落ちて、落ちる瞬間に、体を丸めて、転がるようにして、衝撃を逃そう。
⑨.脚立の高さが約1.5メートル。俺の身長が165だから、頭の位置で約3メートル。今の時点で、1メートル落ちてるから、後2メートルくらい。ということは、床に落下まで…
⑩.1.8、1.7、1.6、5、4、3、2、1、1m
次の瞬間、ガツーン!!!!!!!!!!!
顔にものすごい衝撃が走りました。
僕としては、衝撃が来るまでにまだ1mあるはずだったので、正直
「なんじゃこりゃ〜!!!!!!!!!!!」
失っていく記憶の中でぼんやり思ったのは…
「ああ、後ろに置いてあるルーター(機械)の盤だな。そこまでは読めなかったか…」
おそらくここで気を失ったんですね。その後床に崩れ落ちていく時のことは覚えてない。
ただ、床に落ちた瞬間、パリーン!っと胸元でガラスが割れたんです。
この割れたガラスの音と、胸元に散らばるガラスの破片で、我に帰ります。
「ああ、女王蜂が解放された!反撃に来るぞ。刺されたら死ぬぞ。」
我に帰った僕は、一目散にスタッフを置き去りにして ← ひどい!
工房の出口に向かって駆け出して、ドアを開けて廊下に出て、ドアを閉めて(スタッフを置き去りにして)、そこで倒れ込みました。
後から「大丈夫ですか?」っと駆けつけてくれて、僕の顔を見たスタッフの第一声は、
「須田さん、顔、ヤバイです。」
鏡で見た僕の顔は、まあ〜、酷かったですね〜。右の頬は、3倍くらいに膨れ上がってましたもん。
それから病院に行って、入院し、顎の骨折、しかも折れた骨が内側に折れ曲がっているということで、全身麻酔の手術をし、骨を戻して、噛み合わせが狂うといけないので、上の歯茎に3本、下の歯茎に3本のスクリューボルトを打って、ワイヤで上と下の歯茎を固定。
2週間、鼻からチューブを入れっぱなしにして、栄養を投入するという生活をするわけです。
まあ、これが、僕の顎の骨折の真相です。
今まで心配してくださった皆様、ごめんなさい。
”仕事中の事故”
まあ、大きく捉えれば、間違ってはいないのですが、作業中かというと…
ん〜、…すみません。
事故直後、娘にこっぴどく叱られました。
「パパ、いい加減、ホント、無謀なことはやめて!もう、すごく反省して!!!もう二度とこういうバカなことはしないで!!!」っと。
ぐうの音も出ず
「…すみません。」
でも…
入院中も、そしてお寿司屋さんで、ネタとシャリを別々にして口に入れる時、さらにとんかつ屋さんでわざわざトンカツの衣を剥がして、肉と衣を別々に口に入れながら思うんですよね。
これ、割りに合わない。
この世界には、万国共通の物理学の法則があるじゃないですか。
『エネルギー保存の法則』ってやつです。
ずいぶん昔に習ったので、正確ではないですが、ある状態が変化する前のエネルギーと、変化した後のエネルギーが同じとか云々って法則。
スズメバチの女王蜂を捕まえようとして、脚立から落ちて、顎を骨折して、口が開かなくなって、結局、女王蜂にも逃げられて…。
バランスが悪い!あまりにバランスが悪い。
これって、『エネルギー保存の法則』が成り立ってないんじゃないの?っと思うわけです。
でも、自然界の法則は、絶対なわけで…
ということは?
スズメバチの女王蜂を捕まえようとして起こったこの事件には、まだ続きがあって、これからそのバランスを整えるような、プラスの出来事が待っているんじゃないのかな?
と、僕は思うわけです。
こんなこと言うと、また娘に怒られますね(笑)。
ひっそりと思っています。
お気づきの方もいるかと思います。
「ビデオ、撮ってたんじゃないの?」
そうなんです!
一部始終を動画で、僕のスマホに収められているんです。
でも…
怖くてまだ見れていません(笑)。
見られる日が来るのだろうか?
そうそう、そういえば。
退院して工房に戻って来て真っ先にしたこと。
床からルーター機械の盤の高さを測ってみました。
95センチ!
あの、スローモーションで落ちていく時のカウントダウンは、ほぼ正確だった!!!