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ドラマティックな人生を
WBC、凄かったですね。
今大会、ずっと不振だった村上選手のサヨナラ安打の準決勝。
決勝戦の入場で、アメリカの国旗を持って登場したトラウト選手と、日本の国旗を持って登場した大谷選手の、勝負が決する最後の真っ向対決。
こういう場面を目の当たりにすると、やっぱり神様っているんだな。
神様がこの瞬間を楽しもうとしているんだな。
そして、観ている僕たち一人ひとりの心の中にいる誰かに、何かを伝えようとしているんだと思えて、心が震えます。
スポーツ観戦大好き、目に見える対決の裏にある人間物語が大好きな僕は、今回のWBCは、本当に面白く、興奮して観させてもらいました。
それぞれの試合が終わるたびに、いろんなことを感じ、勇気をもらいましたね。
これらの物語はネットでいろいろ出てくるので、ここでは触れませんが、優勝後のインタビューで僕が
「ああ、この人たちはこういう思想を持って生きているんだな。だからこうなるんだな。見習いたいな。」
と思ったことがあります。
きっと、誰も気に留めないことかも知れませんが、僕にとっては、心に刺さった場面でした。
決勝戦、9回のマウンドに向かう大谷選手は、
「9番と1番をアウトにして、ツーアウトランナー無しでトラウトと勝負。この展開は最高の形だ。」
とイメージしながら、9回のマウンドに向かったそう。
ただ、先頭バッターを出してしまったので、その形にならないと思っていたところ、ダブルプレーを取って、思い描いた理想の展開になったんですね。
そしてもう一人、この場面を想像していた人がいました。
栗山監督です。
監督の采配で一番悩むのが投手陣の使い方だと思います。
決勝戦での8回ダルビッシュ選手、9回大谷選手の夢のリレーは、大会前から考えていたんだそう。
当日まで本人たちには伝えていませんが。
栗山監督の言葉。
「僕たちは挑戦者です。挑戦者が勝つシチュエーションというのは、ドラマティックな展開なんです。だから、僕がすることは、誰の調子がどうだということよりも、どういう展開が一番ドラマティックか?それを考えました。」
二人とも、どうやったら勝負に勝つか?という作戦を超えて、優勝の瞬間を、もっと大きな場面として捉えて、イメージしているんだな。と思いました。
だからその場面が用意される。
そして、WBCに選ばれた人たちは皆、こういうシチュエーションになった時、輝ける自分でいるための努力や挑戦をし続けてきた人たちで、その中でもMBPに選ばれた大谷選手は、誰よりもその思いが強かったんだな。と思いました。
大谷選手が高校生の時に書いた人生日記(←これを書いているのがすでに凄い!)の中に、
「27歳でWBCに出場し、MVPを取る。」
と書いていたんだそう。
開催されるタイミングがあるので、年齢こそ違えど、まさにその通りになったんですね。
夢を思い描く、そしてそのための努力と挑戦を惜しまないことの大切さ、イメージの仕方、楽しむこと。そして最後は委ねて任せていれば、最高の形、場面が用意される。
いろんなことを教えてもらったWBC でした。
”挑戦”
というと。
僕は今、片手操作運転の木の車椅子の製作に挑戦しています。
片手操作の車椅子が世の中にあるなんて、知らなかったのですが、僕が製作している木の車椅子をテレビでご覧になった方が工房にきてくださり、娘さんが乗っている片手操作の車椅子を木で作って欲しい。と依頼されました。
初めて見た片手操作の車椅子は、ちょっと衝撃でした。
そして正直にいうと、
「こんなの作れるわけないっしょ!」
という印象。
そういう気持ちと同時に、
「ということは… 作れたらすごくない?」っと。
僕は、挑戦することが好きなんですね。
常に新しいことに挑戦していたい。
”木”という素材は、人間が一番最初に道具として使った素材だと思うんです。
だから何千年どころか、何万年も人は木を使って、道具を作り続けているんです。
なので、木はやり尽くされているんですね。
僕らが家具作りでやっていることは、家具作りの歴史の中で、誰かが どこかでやったこと、ものに、ちょっと足したり引いたりしているに過ぎないんです。
もちろん、旅する木はそれを、誰のために、どこまで丁寧に、どれだけ心を込めてやるか、ということで、新しい価値を吹き込んでいるのですが。
ところが、木の車椅子に挑戦することで、世界で誰も、歴史の中で誰もやったことのないことに挑戦しているという感覚で、”木”という素材と向き合うことができることは、僕にとって、喜びであり、やり甲斐なんですね。
そしてそれは、プライスレスなことだと思うのです。
これからの時代、”お金の価値”というものがどんどん小さくなっていくのだろうと思います。
そんな中で、どれだけ日々の暮らしの中に、プライスレスなものを持っているか?って大事なことだと思うのです。
仕事でそれを持てる僕は、幸せだな。と思います。
そして、それを実現させてくれるために、日々、お金を稼いでくれているスタッフには、とても感謝です。(←もっと感謝を言葉や態度で示さなきゃダメですね〜笑)
片手操作の車椅子を依頼してくれた方に言いました。
「これ、木で作れるかどうかわかりません。でも、挑戦はしてみます。挑戦した結果、やっぱりダメでした。ということになるかも知れません。その場合、お金はいりません。それでも良ければ、挑戦させてもらいます。」
リスクは全て僕が持つ。
だって、挑戦している過程で、すでに、嬉しい、楽しい、難しい、苦しい、苛立たしい…いろんな感情を味わうことで、元は取れる!
そして 完成した時の喜びと、今の僕にはそこがどんな場所かわからないけれど、でもきっと、その後に用意されているステップ(場面)が、僕にとって 大きなものだと、そう思うから。
そんなことを思っていた時の、このWBC、大谷選手や栗山監督の思想を感じたので、僕の心に刺さったんですね。
「僕たちは挑戦者です。挑戦者が勝つシチュエーションというのは、ドラマティックな展開なんです。」
僕たちは常に、人生に対して、挑戦者です。
いつもドラマティックな展開をイメージしていたい。