『家具工房旅する木』は豊かな「暮らし」、「心」、「時間」をご提案、ご提供します。


つむじ風通信

実は、学生の頃シナリオライターになりたくて、新聞社のコンペに出展していました。
箸にも棒にも引っかかりませんでしたが‥
文章を書くのは好きなので、妻のそよかぜ通信とともに、日常でのちょっとした出来事を
載せていこうと思います。なんちゃってシナリオライターにお付き合い下さい。


8/6 ”あなたの特徴、ズバリ!!”

どうして時間が経つのがこんなに速いんでしょう?
”光陰、矢の如し”と言いますが、本当に無駄に過ごす時間なんて、一瞬もないと実感しますね。

先日、面白い本を友達に紹介してもらいました。
これ。

『誕生数秘学の叡智』という本。
生年月日からいろんな計算をして導き出す数字により、その人が今回の人生において、
”自分がどこから来て””どういうルートを通って””どこに向かおうとしているのか”
というような、方向性を認識するには、とっても役に立つ本だと思いました。

旅する木で自主上映会をした『かみさまとのやくそく』という映画で、産まれる前の
中間生(魂だった時)の記憶を持つ子供たちが言っていたように、
今生で果たすべき役割、乗り越えるべき課題を決めて、両親と誕生日を決めて
人は産まれてくるとしたら、人が産まれる日付というものに、何か意味があるのは
当然なのかも知れません。

『誕生数秘学の叡智』、
僕について言えば、「その通り!」ということが大部分で驚きましたね。

『天使か、悪魔か、人生を楽しむ天才かも?あなたは”無邪気な子供”です。』

明るく素直、天真爛漫な子供心を失っていないエンターテイナー。
好奇心旺盛で、楽しそうなことには積極的にチャレンジします。
想像力も豊かで、天性の勘の良さを持ち、実行力、行動力にも恵まれています。
自分を表現するのが上手な目立ちたがり屋さん。
先のことはあまり気にしない楽天家で、人生を楽しむ天才です。
ダメージを受けても切り替えが早く、常にポジティブな発想で回りを明るく
元気づけられる人です。

ですって。
どうでしょう?
この特性を活かしていますかね〜?

考えない、根拠がない、反省しない、とはよく言われます(笑)。

こういう特性を持って生まれてきたんだということを知り、この特性を活かして
生活していけば、きっと自分が自分らしく生きられるんじゃないかな?っと思います。

皆さんも是非読んでみて下さい。
きっと思い当たる節があるはず…。。



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7/18 ”小さな家族の、大きな夢”

今日は娘の誕生日。
16歳になりました。
毎朝、オシャレをする為に、大層な時間をかけています。
僕から見ると、素のままが一番可愛いのに、なんでわざわざ?と思うのですが、
まあ、そういう年頃なんでしょうか?

妻にも、子供たちにも、別に誕生日プレゼントなど用意したことの無い僕ですが、
今年の娘には、超〜スペシャルなプレゼントをあげました。

なんでしょう〜か?

  

そう、脚本。

一年くらい前から娘に真剣に頼まれていたもの。

昨年も今年も、仕事がめちゃくちゃ忙しく、ほぼ休み無く、無駄な時間無く
仕事をしているので、脚本の内容を考えるのは、車を運転している時。
一年前からずっと運転中に考えては信号待ちの時にメモしたりしながら
脚本作りを進めていました。
最後、ラストスパートで作業をすすめ、先日、やっと完成しました!!
誕生日まで待ち切れなくて、一昨日、娘に渡してしまいました。

娘はとても喜んでくれました。
娘が投稿したタイムラインには、

「やばい、最高の誕生日プレゼント。
こんなに嬉しかったのは初めて。
一年ぐらい待ってたお父さんが脚本した台本。
私がやりたかったこと、伝えたかったことが、この脚本には全部入ってる。
この劇を完成させたい。
パパが予想して脚本した以上のものを完成させる!
見てて、パパ。」

なんて嬉しい宣言をしてくれていました。

幼稚園や小学校の演劇では、できるだけセリフの無い、目立たない役を進んで選んでいた
僕には考えられないのですが、娘は人前で演じるのが好きで、
舞台女優を目指していて、高校もダンス科のある高校へ通っています。

僕は上の表題のところに書いているように、学生の頃、シナリオライターになりたかったんですね。
文章を書くのは好きなんです。

娘へのプレゼントなんだけど、
本当は娘が、すっかり諦めて、忘れていた僕の昔の夢を叶えてくれようとしているのかも。

我が須田家には、家族共通の夢があります。
それは、劇団を作ること。『旅木劇団』。

妻も息子も演劇が大好きで、劇団四季のミュージカルをざわざわ本州まで見に行ったりしています。
そんな妻と息子は、いろんな事をイメージするのが得意なようで、
しょっちゅう二人で空想の世界に行っています。
演出とかすごい才能発揮なんじゃないかなぁ?と思っています。

実は僕、生まれてからまだ、うれし泣きをしたことが無いんですね。
この脚本が舞台で公演されたら…。
きっと嬉しくて泣いてしまうだろうなぁ。

小さな家族の、大きな夢に向かって、ほんの一歩、前進した娘の誕生日でした。

16歳の誕生日、おめでとう♪



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6/27 ”家具職人は粘り強いのだ!”

北海道は今、最高の季節。
青々と茂っている校庭の草花の上を、そよ風が踊るように駆け抜ける。
校庭に寝転んで、太陽の日差しを浴びながら、昼休み、お弁当を食べた後、昼寝をする。
「よ〜し、午後からまたやるか!」という気持ちになります。

今年もありがたいことに、毎日忙しく家具作りをさせて頂いています。
毎朝、5時前に起きて、音楽瞑想をして心を整えて、それからデザインを起こしたり、
打ち合わせの資料を作ったり、お問い合わせの返信をしたり…。
日中作業をし、夜はまたメールの返信などなど。
ご飯と睡眠と、お風呂とトイレの時間を除けば、ほぼ、仕事をしている感じですね。
時給に計算したら、間違いなく最低労働賃金を下回っています(笑&涙)。

そんな中、トップページで紹介していますが、夏休み、子供企画。
【子供たちの木工体験プロジェクト】
今僕は、何とかこの企画を実現させたいと力を入れています。
ご覧になっていない方は是非、見てみて下さい。

きっと、子供にとって忘れ難き思い出になり、未来の自分を考える時、
成長し社会に出る時、社会に出て、ふっと今の自分と、これからの自分を顧みた時、
何かを考える、その基礎の部分になるんじゃないかと思います。

いつか、日本を代表する会社の社長さんが、何かのインタビューで、
「今の自分のあるきっかけを作ったのは、子供の頃、夏休みに参加した『旅する木』という
家具屋さんの職業体験のイベントなんです。」
なんて言ってくれたら、嬉しいですね〜。
そんな妄想をして、ワクワクしながら準備を進めています。

この企画、5、6年前から考えていたのですが、なかなかやれる自信がなかったりして、
先延ばしにしていたのですが、山口君、花輪君、大志と、スタッフが増え、彼らが
本当に成長し、僕を助けてくれて、良い仕事をしてくれて、今こうして僕はワクワクしながら、
ずっとやりたくてもできなかったことが出来るようになったことを嬉しく思います。
なかなか、面と向かってはお礼を言えない性格なので、この場をかりて言わせてもらいます。

蟻、蟻、蟻、蟻、蟻、蟻、蟻、蟻、蟻、蟻」
素直じゃないですね〜。
「ありがとう。」

なんとかこの企画を前に進めたくて、札幌市や当別町の教育委員会、道庁、小中学校、
労働基準監督署などに行って、後援や、チラシ配布のお願いをしているのですが、
なかなか厳しいですね〜。
大企業ならともかく、個人経営の知名度もない小さな会社のイベントに、お役所関係は
見向きもしてくれない。というのが正直な感想です。

ジミでコツコツ積み重ねの仕事をしている”家具職人”という職業の人は、結構粘り強く、
「いつか日の目を見る時が来る。」と毎日コツコツとやってきているので、
こんなことではへこたれないぞ。
いつもの仕事のように、ジミでコツコツとジワジワとやっていこうと思います。

大きなバックアップが得られなかったら、
「大きなバックアップが無くったって、お前なら出来る!」
「苦労は必ず報われるから、存分に苦労を味わっておけ!」
と神様が言ってくれていると思っています。

すみません。こんな風に自分を励ましています。

この【子供たちの木工体験プロジェクト】
の企画に賛同し、協力して下さる方がいましたら、もう少しでチラシが刷り上がるので、
知り合いなどに配ったり、宣伝、告知をしてくれたら嬉しいです。
チラシの枚数や、発送先を教えて下さい。
お願いします。

協力して下さった方には、ぜったいに良い出来事が起こります。

おっと、とうとう根も葉もない、怪しい占い作戦に出たぞ〜(笑)。。

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6/15 ”椅子が完成するまでに…”

  

今、新作の椅子を製作中。
製作中といっても、そう、模型なんです。
この写真。
本物の1/5のサイズ。
可愛いですよ〜。

僕は椅子をデザインする時、必ず模型を作ります。
その模型をいろんな角度から見て、美しさを確かめます。
もちろん、一発で上手くいくはずがなく、修正したものを作って、それを見て
また修正して…。
を繰り返し、だいたい5、6回は作るんです。
そして次に原寸の試作を繰り返します。

そして、今回の椅子は…。
札幌でオープンするカフェのイベント時に使用するというもの。
イベント時といってもリラックスできるように、背もたれ付きで、なおかつ、
それぞれ、ドリンクを置けるスタンド付き。さらに…、
普段は倉庫にしまっておくので、場所を取らないように、スタッキング(積み重ね)出来る。
この3条件を満たす椅子。

これはかなり難しい。
アームチェアーでさえスタッキングは難しいのに、もっと出っ張りのあるドリンクスタンド付き
ですから。
想像してみて下さい。
ドリンクスタンドを、それぞれの4本の足が交わしながら、積み重ねられていく。
積み重ねていくと、交わさなきゃならない脚は、8本、12本と増えていく。
さらに交わされなきゃいけないスタンドも2,3,4個と増えていく。
もう頭がごちゃごちゃになっちゃう。
それなのにスタッキングされている姿も美しく…。
なんて考えてしまうので、もう混沌とした思考の中をグルグルと空回りしてしまう。

それでも段々頭の中の整理がついてきて、模型を作ってスタッキングして見ると、想像した通り、
背もたれが螺旋状に円を描いていて、う〜ん、いい感じ。
ここまでは”デザイナー須田修司”の仕事。

次に作り方を考える。これは”家具職人須田修司”の仕事。
部材の太さは?加工方法は?強度は?どんな仕口を使う?刃物は?などなど考えていくと、
多々、デザインとの競合になる場合もあるもので、
”デザイナー須田修司”と、”家具職人須田修司”とのせめぎ合いが始まります。

そうして模型を改良していくと、

デザイナー須田修司 「ここをもっと緩やかな曲線にしたら、より美しくなる。出来る?」
家具職人須田修司 「うん、難しくなるけど、出来なくはないよ。」

なんて会話がなされ
そうなると、もう一人の僕が顔を出します。

経営者須田修司 「おいおい、勝手に話しを進めているけど、予算内で頼むよ。」

なんて。

一つの作品を作るのに、いつもこの3者が格闘します。
この中で一番弱いのが ”経営者須田修司”
いつも最初に折れます。

そして”家具職人須田修司”は難しい仕事をして、ビックリしたり、喜んでもらうのが
好きなので、そこを巧みについて、”デザイナー須田修司”が上手く交渉を進める。
大抵このパターン。

今思案中のこの椅子も、そんな感じで交渉が進められています。

そして最終的に、どんな椅子が完成するのか、とっても楽しみにしているのが、
”旅する木の一番のファン須田修司”なのです。



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6/4 ”スケッチブックから抜け出して”

『旅する木』を創業する時、お金を借りなければいけなかったんですね。9年前。

タマネギ倉庫を借りて、工房に改装し、機械を揃えて、細々とした機器を購入し、
材料を買って、半年くらいは仕事が無くても家族が生活出来るくらいの余力を…、
っと考えると、最低1,000万円は準備資金として必要でした。

木工業界というのは、本当に低賃金で、貯金を切り崩して生活していた僕ら家族に
大層な貯金などあろうはずもなく、変なプライドで、親にも相談せず、古いアパート暮らし
の僕に担保になる財産など何もありません。

担保無し、保証人無しで、そんな大金を貸してくれそうな金融機関は、国民金融公庫。
ですが…。
担当者「木工ですかぁ。家具工房ですかぁ。返せますか?配偶者の収入は?」
僕 「… ありません。」
門前払いですね。
まあ、当然ですね。僕が金融機関だったら、同じことを言うだろうな。
僕が見て来た大部分の家具工房は、奥さんの収入を頼りにしていたり、
自分の夢を追って好きなことをやっているのだから、貧乏でも仕方がない。
という感じでしたから。

担保無し、保証人無しでお金を借りる時、何を見て判断するかと言うと、
僕自身と、事業計画書。
僕自身を見て、「あなたじゃ、ダメだ。」と言われたら、それはもう仕方ないのですが、
事業計画書は知恵を絞って、考えましたね。

その時提出した事業計画書に記載した旅する木のコンセプトが、
「週末、旅する木に遊びに行こう!」
そして大きな柱が4つ。
1.  質の高い家具作り。
2. 本格的な木工教室。
3. 木のおもちゃで遊べる空間。
4. ゆっくりのんびり出来るカフェ。

これを引っさげて、国民金融公庫に通いましたね。何度も。
とうとう担当者が根負けしたんですね。
担当者も貸すお金が自分のものではないものですから。
「一人くらい返せないヤツがいてもいいや。」くらいに思ったんでしょう。
異例の満額を貸してくれました。

提出した事業計画書に記載したのは、この4つだったのですが、
当時の僕のスケッチブックにはもっといろいろ、それこそ下らないものから、
壮大なものまで、様々な夢や希望が無造作に書きなぐられていて、
たまに、それら一つ一つが、「僕の出番はまだ〜?」とはにかみながら顔を出します。

そしてその中に、『建築もやってく!』や、『何もかも木の車椅子を作る!』がありました。

学生時代、サッカー部でフォワードだった僕は、先輩からよく、
「スーッとスペースに入り込め!」と言われたものです。

最初の5年は、上の4つの実現で必死だったのですが、まがいなりにも、何とか実現し、
僕の心の空いたスペースに、スーッと入って来たのが『木の車椅子』。

5年くらい前から構想を練って、専門家に相談し、仕事の合間を縫って、試作を始めたのが3年前。
とうとう初号機が完成しました。

完成が近づくと、もういてもたってもいられないくらい、早く座ってみたかったのですが、
いざ完成した車椅子を目の前にすると、なかなか座れないものですね。
今までの苦労や長い道のりが思い出されて。

そして、感想も浮かばないものです。
感無量という感じなんでしょうか。簡単に言葉にすることが出来ません。
何を言っても軽々しく伝わってしまいそうで。

でも、冷静になって見てみると、あちこちにいろんな欠陥が見えてきます。
それらの欠陥を修正した試作2号機のデザイン、製作にこれから取りかかっていきます。
作品として世に出す為には、まだまだ何号機もの試作、強度試験を繰り返す必要があります。

先は長く、さらに険しい道のりのような気がします。
全体の大枠より、これから潰していかなければならない、一つ一つの小さな問題の方が
クリアするのが困難だからです。

でも、何年も古い、ボロボロのスケッチブックの中に閉じ込められていた、
あの頃の小さな希望が、やっと広く、明るい世界に抜け出して来たのだから、
きちんと育ててあげようと思います。

そして、僕が年を取って、足腰が弱った時…
その頃はきっと、大きい翼を持って自由に羽ばたいているだろう、木の車椅子に乗って、
「あの頃は小さくて、気にも懸けられない希望だったよね〜。」
なんて話しながら、今日みたいに気持ちの良い青空の下を散歩できたら…。

いいですね〜。



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5/26 ”アルバイトで貯めたお金”

めぐるめく季節は、メトロノームのように、暮らしにリズムを刻んでくれます。
北海道の長い冬もいつの間にか終わり、いつまで解けないんだろう?と思っていた
2メートル以上積もったグラウンドの雪も、いつの間にか解け、
今年も、この季節がやってきました。
そう、タンポポの季節。

初めてここ、東裏小学校を工房にした年、この風景を見た時、
「ここは天国だ!」と思ったものです。
ぼくにとって、この季節、工房のグラウンドは、
カムイミンタラ、”神々の遊ぶ庭”です。

春になり、娘は高校生になりました。
そして、中学生時代から「高校生になったら…」
と言っていたアルバイトを始めました。
コンビニで。

ダンスコースのある高校に通っているので、汗だくになってトレーニングをした後、
劇団で演劇の練習、そしてアルバイトと、僕より忙しいスケジュールで土日もなく、
やっています。
あまりの忙しさに、スケジュールを組むのが大変らしく、悩んだり、困ったりしていますが、
そんな娘の口から最近出る言葉は、
「仕事優先だから…。」

ん?どっかで聞いたことあるセリフ。
そう、僕がしょっちゅう言ってる言葉だったりして…。

そんな娘に、
「まだアルバイトなんだから、学校や、自分のやりたいことを中心に考えた方がいいよ。」
と言うのですが、
「ん〜、ちょっと自分にも言えるかも…。」
と思ったりしています。

僕の一番最初のアルバイトは、やっぱり高校生の時。
年末年始、郵便局。
年末は山の様な束になった年賀状をひたすら仕分け。
そして、元旦からはもちろん、配達。
そう、あの赤いチャリで。

実家の長野県は、そうそう根雪になることはないのですが、
たまたまその年の元旦の朝、記録的な大雪、一晩で30センチくらい雪が積もったものだから、
漕げない自転車をひたすら押して歩く。
元旦の年賀状だから、どっかの社長さんの家とかだったら、バックいっぱい詰め込んだのに、
その家一軒分だったりするわけで。
寒くて、手も足も感覚なくなるくらいになりながら、年賀状を取りに戻って、バックに詰め込んで、
届けて…。を繰り返したものでした。

それで時給は?
490円。
ん〜 …。
CDを聴くコンポを買って、一瞬で無くなったのを覚えています。

娘の働いているコンビニには、いろんな人が来るそうで、
「高校生?頑張ってるね〜。」とお客さんに褒められて、ルンルンで帰ってくる時もあれば、
先輩に、「この前も説明したよね。同じこと言わせないでくれる?」と怒られた。
と落ち込んで帰ってくる時もあります。

昨日は、入って来た時からイライラオーラ全開で、「マイルドセブンメンソール。あ〜?
わかんねぇのか?モタモタすんな。」と怒鳴られたから、帰る時、最高の笑顔で、
「ありがとうございました。」と言ってやった。と話しているのを聞いて、
我が娘ながら、すげぇな〜。たいしたもんだ。俺にはそんなことはできないなぁ。
と感心したりもしました。

一緒になって褒めたり、ムカついたりしている素振りをしていますが、
一つ一つが社会勉強だし、良い経験だと思っています。

アルバイトで貯めるお金、
たやすく消えてしまう儚(はかな)さの割に、築き上げるのにかかる苦労と時間を
知ってほしいと思います。

そして、それはどこか、信用とか、幸せとか、そういうものに似ている。

ということも…。


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5/12 ”17年前の指針”

GWも終わり、仕事モード全開と思いきや、
昨日、今日と、北海道も各地で25℃を越える、あまりに気持ちの良い日で、
「どっか、遊びに行きたいな〜。」と、なかなか仕事モードに切り替えられないでいます…。。

そんな中、山口君、花輪君、そして新人の大志の旅木ファミリーたちは
黙々と、一生懸命家具作りをしてくれています。
彼らの働きっぷりは、本当に素晴らしく、頭が下がります。

新人の大志は、木工未経験なので、彼の目から見た家具作り、そして、旅する木は、
とても新鮮で、面白い目線で見ているんじゃないかと思います。
実は大志、漫画家を目指していた時期があったということで、
「それじゃあ、旅する木のHPに、大志の4コマ漫画のコーナーを作ろう!」と
あまり乗り気でない本人を、半ば強制的に漫画家の道(?)を切り開こうとしています(笑)。
そのかわり、その4コマ漫画の中では、完全に無礼講で、僕の悪口も、欠点も、恥部も
載せて良いことになっています。
どうぞ、お楽しみに〜。

大志ついでに…。

木工の道に入って1ヶ月の彼に、早くも機械も使って簡単な作業をしてもらっています。
そして先日、最初から最後まで作ってもらったのが、これ。
プレゼント用のカード立て。

まあ、とっても簡単なものですが、それでも一から十まで一人で作った最初の作品なので、
何か勉強になったのではないかと思います。
そして記念に「両親にプレゼントしな。」と1個、渡しました。

そういえば、僕の木工に入って初めての作品ってなんだったんだろう?
僕は学生時代、オリンパス時代も、部屋中に新聞紙を敷き詰めて、夜な夜な
親にうるさいと文句を言われながら、いろんなものを作っていたので、
記念すべき処女作というものはないのですが、木工の道に足を踏み入れてからの、
最初の作品といえば…。

これ。

  

旭川の高等技術専門学院で木工を勉強している時に、放課後作ったもの。
今から17年前。

なんでしょうか?

そう、押し花セット。
押し花を作る為の道具ですね〜。
花びらや、葉っぱを敷いて、くさびを差し込んで、板をギュッと押さえるというもの。

先日、倉庫を整理していたら出てきました。
なかなかじゃないですか?
アイデアも、完成度も。

自分で言うな!って?

…すみません。
でも、自分の作品というひいき目をなくして見てみても、

”作品に愛がある。”

お〜、名言出ましたね〜。

思いがけず出て来た、僕の原点とも言うべき作品が、僕に語りかけてきます。
「そう、愛のあるものを作りなさい。」

これは妻に作ったもの。
乳歯入れも、宝物箱も、独立前の作品は全部、妻に作ったもの。

旭川の家具会社に就職し、木工を職業にして、ずっともの足りないと感じていたもの。
それは”不特定の誰かに家具を作っている”こと。
僕はそこに愛を込められなかった。どこの誰か知らない人のための家具に。
その事がずっと自分の中で不完全燃焼でした。

そう、”あなたに、あなたの家具を作って、喜んでもらいたい。”
だから独立したんですね。
そして、偶然出会った”あなた”に”あなたの為”の家具を作っていこう。
そこに愛を込めて。

だから、初めから下請けも、ショップに卸す事も考えなかった。
相談する全ての人に、「そんなんでやってかれるわけがない。」と言われました。
が、愛は伝わるんですね。
様々な奇跡を運んでくれて、このやり方で今現在まで、なんとかやってます。

まだ独立なんて考えていない頃に作った押し花セットと、今の旅する木の作品、
その間、17年という年月が流れたけれど、双方がかもし出す作品の、その香りに
大差がないことがなんだか嬉しくなりました。

「そう、愛のあるものを作りなさい。」

17年前の作品が、これからもずっと、旅する木の進むべき方向を示してくれています。

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5/3 ”良い職人は 良い音を出す”

見て下さい。この奇跡の現象を。
カンナの刃が手を離しても、砥石に吸い付いて立っています。
これは、研ぎが究極的に上手くいったときに起こる現象。
旅木ファミリー(従業員)の山口君がとうとうマスターしました!
おめでとう〜♪

技術の進歩というのは、本当に進歩なのかな?と感じます。
時代の進むスピードというか、人の生活するスピードに、もの作りが追いつく為に、
許容範囲で、完成レベルを下げ、よりスピーディーに、誰でも出来るような機械が開発され、
元々の技術に取って代わられる。というものが実は結構あるんじゃないかと。
そして、それを”技術の進歩”と言っていることもあると思います。

それによって、元々の技術は時代遅れのものになり、その技術を使える人が減り、
その道具を作る人がいなくなり、次世代に伝えることが出来なくなり、
世の中から消えていく。そんな素晴らしい技術や道具がいっぱいあるんだろうな?
と思います。
そして、そんな技術、道具の一つが”カンナ”です。

今では大工さんも家具屋さんもあまりカンナを使わなくなりました。
ほとんどをサンドペーパーに取って代わられています。
テーブルの天板は、ワイベルという、大きなサンドペーパーが回転する機械があって、
その機械に通すと、反対側からもう仕上がった天板が出てきます。
一枚の天板を仕上げるのに、5分もかかりません。

でも、仕上がりはカンナ仕上げとは全く違います。
サンドペーパーはキズを細かくしていく作業。
カンナはキズをなくしていく作業。
全くの別な技術なのです。

まな板を想像するとイメージ出来ると思います。
サンドペーパー仕上げとカンナ仕上げのまな板があります。
一回使って汚れたので、水洗いすると…。。
サンドペーパー仕上げのまな板は、キズに水が染み込んで毛羽だって、ザラザラになって、
もうまな板としては使えません。

それに対し、カンナ仕上げのまな板は表面にキズがないので、水を弾いて
いつまでもツルツルスベスベ。ずっとまな板として使えます。

カンナで丁寧に仕上げられた天板の触り心地は、それはもう、ずっと触っていたくなるような、
そして気が付けば撫でているような、そんな魅力があるのです。
そして、旅する木の天板は、何十倍もの手間をかけて、一枚一枚、カンナで仕上げています。

現場に木のキッチンを取り付けに行くと、大工の棟梁がその仕上がりに驚き
必ずと言っていいくらい、声をかけて来てくれます。

棟梁 「これ、何で仕上げてるの?」
僕  「カンナです。」
棟梁 「カンナ?これ全部かい!おめぇ、カンナ使えるのか?」
僕  「はい。うちはカンナ仕上げにこだわってますから。」
棟梁 「昔は俺たち大工も、柱一本一本、カンナで仕上げてたんだけどな。
    いや、驚いた。今どきカンナで仕上げる家具屋さんがいるなんて。」

というところから、棟梁の昔話に花が咲きます。
そしてたまに、

棟梁 「これ、俺が昔使っていたカンナだ。もう大工は使わないからお前にやる。切れるぞ〜。」

なんて言って、大事なカンナをくれたりすることがあります。
そんなカンナ達が10個以上溜まったので、先日、社員達と分け合いました。

    

カンナとなると、旅する木の社員達は目の色が変わって、一つ一つ見比べて
良し悪しを判断して、良いカンナの取り合いになるので、ここは平等にあみだくじ。

    

今日から仕事の後、カンナの仕込み合戦が始まります。

カンナは、刃の研ぎ具合、裏刃との調整具合、カンナ台との仕込み具合、
カンナ台の微妙な凹凸具合、刃の出し具合…

などなど、様々な調整が全て上手くいって、初めて逆目(さかめー木の向きにより、
むしれてしまい、削りにくい方向のこと)も止めて、綺麗に削ることが出来るのです。

カンナの仕込みは本当に難しくて、天候、気温、湿度によっても変わるし、削る木の堅さ、
削る量、刃物の切れ味など、いろんな条件で判断するという、奥の深い、経験とセンスの
問われる道具なんです。

大工さんがくれたカンナの中で、一番年季の入ったカンナがこれ。

 

「風」という文字の彫られているカンナ。
カッコイイですね〜。
見てるだけで惚れ惚れしてしまいます。
カンナの刃が、ここまで小さくなるまでに、これを使っていた職人さんは、どれだけの木を
削り、何百回研いだんだろう。
幸せなカンナだなぁ。と思います。

変ですかね〜?ある種の職業病?
でも、職人が大事に使ってる、そして使い込まれている”道具”には、奥深さと、
その道具により生まれただろう数々の作品、さらに、この道具を持っている
職人の”手”や、人柄までをも感じる事が出来るのです。
そして、僕には、作られた作品よりも、その道具の方がより語りかけて来てくれるような、
魅力を感じるのです。

このカンナを見ていると、僕の道具たちも、ますます年季が入って、僕と言う人間を
語ってくれるような、そんな魂のこもった道具になって欲しいな。と思います。

結局のところ、”良い職人”とは、”良い道具”を作れる人で、
”良い道具”は”良い音を出す”のです。

僕の持論ですが、

”良い職人は 良い音を出す”

旅する木の工房の体育館には、今日も良い”音”が響いています。



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4/29 ”新人の紹介”

GWに入りましたね〜。
もうすぐ北海道は桜が咲きます。
「え〜、今頃〜?」なんて、本州の方は思いますよね。
そう、これからなんです。是非2度目のお花見に。

ところで、今年に入ってから、旅する木は社員を募集していました。
5つのパターンを載せて、それに合う人を求めていました。

パターン1
 ・家具職人としての経験があり、腕には自信のある方。
 ・手カンナを使える方。
 ・20〜30代半ばの方

パターン2
 ・25歳未満で家具作りの経験が多少はある方。
 ・基本的な機械作業はできる方。
 ・元気でやる気のある方。

パターン3
 ・20代前半未満で、とにかく元気でやる気のある方  

パターン4
 ・家具作りの経験が多少はある方。
 ・基本的な機械作業は経験のある方。
 ・もっと技術を学びたい方
 ・1年間限定で旅する木で人生経験を積みたい方。

パターン5
 ・木工と、農業(自然農法)に興味があり、半分木工、半分農業をやりたい方。
 ・旅する木のすぐ近くの畑で農作業をしながら、木工の手伝いをしたい方。

そして、この5つのどれかに当てはまるのはもちろん、最も大事な条件は、
『旅する木のことが大好き!』な人。

本当のことを言うと、募集もしていないのに、
「旅する木で働きたい!」
と言って来てくれるような若者が理想でした。
今、共に働いている山口君、花輪君はそのパターン。
僕は全く従業員を雇うつもりも、増やすつもりもなかった時に、猛烈アタックして来て、
情に脆い(?)僕は雇わざるを得なくなってしまった…。。
というのが本当のところ。これは冗談ではなく、本当のことなんです。

なので、HPで社員を募集したのは初めて。
僕としてはかなり自分のポリシーに反した選択だったんです。

すぐに誰か条件に合う人が応募して来てくれるだろう。という予想に反して、一向に応募無し…。
2ヶ月くらい経ってやっと連絡して来た人がこの男。

その名も『男澤 大志(おとこさわ たいし)』28歳。
たいそうな名前ですね〜(笑)。
働き始めて1ヶ月が経ち、やっと届いた新品の自分の道具を前に喜んでいます。
そんな彼、上の5つの条件には、何一つ当てはまっていない。

なんで彼を受け入れたかって?

他にいなかったから…。。

いえいえ、それも十二分にあるのですが、
面接の時、
「学生時代、自分を見つめ直す為に自転車で旅をしました。」という彼に

僕 「その旅で何を学んだ?」と聞くと、返って来た答えは、なんと僕の予想に反して、

大志 「ただただ、時間の無駄でした。」

僕 「???(面接でそれを言うかな〜?)」

そして、

僕 「旅する木のことは前から知ってて、HP見てたの?」

大志 「いえ、最近です。たまたま見たら募集していたので。
    条件には当てはまっていなかったので迷っていたのですが、東京の江戸指物展を見に
    行ったら、気持ちがめちゃくちゃ盛り上がって、その勢いで空港から電話しました。」

僕 「・・・(勢いかよ。)」

さらに

僕 「なんで旅する木で働こうと思った?」

大志 「そうですね〜。実家が江別なんで、実家から通える家具屋さんを探したところ、
   ヒットしました。」

僕 「・・・(こいつは絶対にないな!)」

これは冗談な作り話じゃないですよ。話しも盛っていません。本当の話なんですから。

じゃあ、なんで彼を採用したかって?
ここまでくると、怒るというより、なんでしょうね〜?
「こいつはどこまで正直なやつなんだ。」と思ってくるものです。

そして、

・旅する木が大好きで、募集もしていないのに「働きたい!」と言って来る人。
・多くの条件を付けて募集しているのに、その条件に一つも当てはまっていないのに、
 「働きたい。」と言って来る人。
どっちも結構近いものがあるんじゃないか?と思ったんです。

吉と出るか、凶と出るか、どっちに転ぶか全く解らない彼ですが、旅木ファミリーとして
先ずは一年、やっていくことになりました。

働き始めて1ヶ月。毎日、江別から自転車で通っています。
江別から当別は向かい風のことが多く、しかも強風。
ほぼ1時間、ずっと立ちこぎだそう。
「実家が江別なんで、実家から通える家具屋さんを探しました。」だって?
ざまぁ見ろ!(笑)

ということで、旅する木は僕と、山口君、花輪君、大志、そしてサポートが妻、
モデルとして娘と息子、愛嬌としてノンノ(北海道犬)のメンバーでやっていきます。

新年度の挨拶としては遅れましたが、このメンバーで、多くの方に喜ばれる
家具作りを、自分たちも楽しんでやっていきたいと思います。



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4/18 ”女には適わない…”

  

春早々、イベントを二つ行いました。
一つは3月末に、映画『かみさまとのやくそく』の自主上映会。
そして、一昨日は『澄子さんのクリアゼーション』。

両方とも僕の想像を越えるたくさんの人が参加してくれて、嬉しかったです。
旅する木の椅子に座って、リラックスして見てもらいました。
参加して下さった皆さん、ありがとうございました。

映画『かみさまとのやくそく』は、本当に不思議で、良い映画でした。
子供たちの体内記憶から始まり、インナーチャイルドの話し。

僕が一番興味を持ったのは、中間記憶を持つ3人の子供たちの会話ですね。
”中間記憶”とは?
死んでから次に生まれかわるまでの魂の状態での記憶ですね。

子供たちが話していたことを簡単に説明すると…。

死んで、魂が肉体から抜け出すと、「ああ、自分はこんな風に思われていたんだ。」と
人の本当の心が見えるんだそうです。そして今生での反省すべきことを、自ら”反省部屋”に
入って反省し、それから光に向かうのだそう。
そして次生まれる時は、”お土産”を持って来る。その”お土産”とは、
”反省部屋”で反省したこと、犯した過ちを償うことなんだそうです。
先ず、その償いを済ませてから、自分のしたいこと、その生(せい)での目的を果たすのだそうです。
さらには、生まれる前に自分で決めた次生での目的を、一番達成しやすい環境、両親を自ら選んで、
滑り台に乗って、お母さんのお腹の中に入るんだそうです。

こんなことを小学低・中学年くらいの子供たちが遊びながら話しているんですから。
本当のことなんだろうと思います。
不思議で面白いですね〜。

全ての人がその記憶を持ったまま、生まれてくれば、もっと手っ取り早いのになぁ。
なんてせっかちな僕は思ってしまいます。
でも、脈々と続いてきた過去生の記憶を、意識を持った状態で向き合うことは、
辛く、堪え難い場合の方が多いんだろうな。と思います。

子供のいる方は、子供との接し方、そして自分の親との関係、そして自分自身との向き合い方を
考えさせられる映画でした。

そして、先日の『澄子さんのクリアゼーション』。
そもそも澄子さんって?

う〜ん、説明するのは難しいですね〜。
宇宙の光を下ろす人…???
簡単に言うと、澄子さんの歌を聞きながら、目を閉じて瞑想のようなことをすると、
光が下ろされ、心がクリアーになり、良い出来事やシンクロが起こり始めるようです。

澄子さん、その世界ではすごい人で、トップで活躍するスポーツ選手なども
クリアゼーションをされているようで、本当はこんな、僕の自宅に呼べるような方では
ないんです。
それがことの成り行きで、というか、それこそ、自然の流れで来ることになり、
クリアゼーションをすることになったものですから、我が家は大変。
ワクワクというより、ドキドキ。

でも、この僕が作った空間を、とても気に入って、喜んでくれて、
「北海道に来た時は、毎回ここでクリアゼーションをやりたい。」と言ってくれました。

参加者の中には、光が見えた人などがいましたが、鈍感な僕は見えない。
でも、写真を撮ると…!!!

ほら。不思議な光の玉が部屋中にいっぱい。ビックリです。

クリアゼーションをすると、本当に心の中の霧が晴れて、スッキリします。
本当に、「良いことが起こるぞ〜。」という気分になりますね。
それだけでも確実に良いことが起こりますね。


この二つのイベント、参加者はほとんど女性。
クリアゼーションなんて、男は僕だけ。

いろんな有識者や、著名人から、
「これからは女性性(じょせいせい)の時代」と言う話しを耳にします。
今までの、資本主義、競争主義、強いものが勝つ、という男性主体の時代は終焉を迎え、
これからは愛を中心とした、共存、共栄、友愛、分けあい、与えあう、女性的感覚というか、
女性主体(女性的考え)の時代にシフトしてきて、今までのやり方では上手くいかず、
そうなっていかなければ、地球は破滅への道を歩むんだそうです。
そしてその分岐点がもう、ほんと今年、来年くらいに審判が下される。ということです。

今回の二つのイベントの参加者をみても、そのことを実感しますね〜。
こういう不思議で、見に見えない世界に対し、柔軟で、そういう世界があるんだと、
感覚的に解る能力があるのは、やっぱり女性な
んですね。
そして、こういうイベントに積極的に参加するのも女性。

なぜだか成り行きで、このようなイベントを企画してはいますが、僕はまだ知識としてで、
実感や、イメージとしては感じていないような。
だから、企画したり、参加したりしながら、勉強というか、実験(?)というか…、しています。
でも、妻はかなり具体的に感じ、イメージできているようです。
なので、最近は旅する木のいろんな決断は、妻に相談し、だいたい従っている。という感じ。

これが以外と良い判断だったりするわけで。
といことで、旅する木の代表を妻にしようと思います!

え〜、ほんとに〜?

妻はそんな責任は重荷なようで、きっぱりお断り。

というわけで、”決断は妻、責任は僕”。

う〜ん、損な役回りだなぁ。


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4/8 ”もの申〜す!”

東京では桜が満開だというのに、北海道は季節バズレの雪が降ったりしています。

♪「今年見る雪もこれが最後ね」と、さみしそうに君がつぶやく。♪

おっと、いきなり詩人だね〜。でも『なごり雪』のパクリだし…。
しかもそんなこと言う”君”なんていないし…(笑)。。

それでも確実に春の気配を感じて、強くなって来た日差しを感じると、
「仕事している場合じゃない。どっか出かけたいなぁ。」なんて思います。

ところで、遅ればせながら、先日やっとスマホに換えました。
ちょっと調べたり、行き先を検索したり、はたまた、いろんな人と繋がっている感が
あったり、確かに便利ですね。
依存症になるのが解るような気がします。気をつけなくては。

今回、スマホに変える際…。
CMでさんざん「家族割」だの「学割」だの「基本料金無料」など言っていたので、
当然使えると思っていて、ショップの女性に聞くと、あれは全部他社からの乗り換えの
人向けのサービスだったんですね〜。
機種変更だったら何もサービスなく、月々の支払いが、かなり高額になってしまうんです。

ちょっとショックでした。
ソフトバンク(auも同じなのですが…)にもの申したい。
とにかく目先の売上げを伸ばす為に、他社からの乗り換えを狙ったサービスだけを
していればいいんですか!
ずっと使ってくれているお客様こそ、大事にしなきゃいけないのに。っと。

旅する木はそうであってはならない。
新しいお客様はもちろん大事ですが、現在使ってくれているお客様も
同じように大事にしたい。

僕は「旅する木に家具をご注文下さったお客様が、亡くなるまでに、同じ機能の家具は
絶対に買わせない!」という思いで、打ち合わせをし、デザインを起こし、家具を製作しています。
一生、大事に使ってもらいたい。使ってもらえる家具を作りたい。と思っているので、
同じお客様が、同じ家具を求めることはありません。
もちろん、別の家具が必要になった時、また来て下さる方はおり、ありがたいことに、
家具屋としては、旅する木はリピーター率がかなり高く、それは最高に嬉しいことですが、
全体から見たら、そう何回も家具を購入する方はあまりいないので、納品の後、再び
お会いするお客様の方が少ないものです。

それなので、旅する木でのイベントの情報や、『たびくら』は、「また家具を買って下さい。」
なんて気持ちは全く無く、「元気でやってますよ〜。納めた家具はどうですか?また遊びに来て
下さいね。」
という気持ちで、お送りしています。

そして、注文が欲しいからといって、新しいお客様に値引きもしません。
だって、同じ家具をすでに使ってくれているお客様に失礼だし、申し訳ないと思うから。

これじゃあ、営業戦略として、ダメですかね〜。
でも、僕はこのソフトバンクの戦略には、淋しかったですね。

僕は『デジタルツーカー』時代から『J-PHONE』→『vodafone』→『ソフトバンク』と
ずっと浮気せずに使っていたのに。乗り換えの人しか見ていないサービスに、
裏切られた感がありました。
乗り換えも、機種変更も、平等にしようよ〜。

結局、auに乗り換えました。

そして、ソフトバンクに契約解除の電話をすると、
「今、更新手続きをして下されば、15万円をキャッシュバック致します。」っと。

う〜ん、そしたら、ソフトバンクユーザーがそのまま疑問も持たず機種変更していたら、
このキャッシュバックのサービスのことも知らないということですよね〜。

「結構です。」と僕。

ソフトバンクよ、

♪ 君が去った ホームに残り
  落ちてはとける 雪を見ていた
  今 春が来て 君は きれいになった
  去年よりずっと きれいになった ♪

この なごり惜しさ を感じて欲しい。



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3/27 ”夢の船よすすめ”

先日、娘の中学の卒業式でした。
この前小学校の卒業式のブログを書いた気がします。
月日の経つことの速いこと。
自分に与えられている時間、そしてやりたいことを考えると、
残された時間はそう多くないことを痛感させられます。

娘は演劇が好きで、恥ずかし気もなく堂々と、「女優になりたい。」と夢を語ります。
保育園のころは「アイドルになりたい。」と言っていたので、
それほどブレてはいないんですね(笑)。

高校も、そういう勉強が出来るところを選び、さっさと入学を決め、
2月くらいから、今日から講演する、演劇の練習に励んでいます。
まがいなりにも主役をやることになり、毎日帰ってくるのは夜の9時、10時。

僕が毎日迎えにいくのですが、鼻歌歌って帰ってくる時もあれば、
しょんぼりと落ち込んで帰ってくる時もあります。
特に主役が決まってからは、かなり厳しく指導され、毎日悩んでいますね。

学校の演劇や、音楽祭ではとにかくセリフの無い、目立たない役を希望していた僕には、
アドバイスも、かける言葉もなく、ただただ聞いているのみ。
子供の成長とともに、段々と子供の悩みに親は無力になっていくものです。

それでもちゃんと壁を乗り越えていくもので、
「今日、先生に初めて褒められた!」と久しぶりにルンルンで帰って来たりして、
「昨日までの演技と何が違ったの?」と聞くと、
僕にはさっぱり理解出来ない答えが返ってきます。

中学3年生で、こんな大きな壁に体当たりして跳ね返され、またぶつかっては
何度も跳ね返され、そしてとうとう乗り越えたその先には、また壁が立ちはだかり、
それにぶつかっていく。という経験をしている娘を見ていると、素直に
「すごいなぁ。」と思います。

卒業式、最後、卒業生から在学生に歌のプレゼント。
アンジェラ・アキの「手紙〜拝啓十五の君へ」
良い歌ですね〜。
娘は指揮者をやっていました。

指揮者なので、僕ら観客席の方には背を向ける格好です。
歌いながら、男の子も女の子も大勢泣いていました。
きっと娘も指揮をしながら、泣いているんだろうなぁ?なんて想像すると、
ちょっと僕も感動して、うるっと来ていました。

卒業生退場で、僕の目の前を通る3年生たち。
知っている子が目を真っ赤にしていたり、ハンカチを顔に当てていたりするなか、
いよいよ娘がやってきました。
もう、これ以上ないってくらい、満面の笑み。
僕の目の前で両手でピース。
後で聞くと、指揮をしている時も、満面の笑顔で歌いながらやっていたそうです。

旭川での修行時代、毎朝5時頃、手をつないで忠別川の河川敷を散歩した娘、
早朝、僕がちっとも起きないと、僕の枕元に正座してシクシク泣いて、
起きるのを待っていた娘が、中学を卒業かぁ。
なんて感傷に浸っている親を尻目に、娘はとっくに前を向いて、次のステップに
進めることが嬉しくて嬉しくて、仕方がないようです。

子供が成長する毎に、僕が出来ることはどんどん少なくなってきて、
ちょっと寂しい気もするけど、同時に期待する喜びが大きくなってくるものです。

♪ 荒れた青春の海は厳しいけれど、

    明日の岸辺へと、夢の船よすすめ! ♪

でも、女優を目指すんなら、卒業式くらいウソでもいいから、涙を見せろって(笑)。。


卒業、おめでとう。
今はあまりに遠く感じられるかも知れない夢を、どうやって叶えていくのか、
パパは楽しみに見ているよ。




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3/8 ”ハードル高いかな?”

あっという間に日にちが経ってしまいます。
1週間に2度、最低でも1週間に1度は更新しようと思っているつむ通も、
いつもあっという間に2週間が経ってしまいます。
すみませ〜ん。

ここのところ、キッチンのリニューアルした冊子を作ろうと、以前製作させて頂いた
お客様の所へお伺いして、写真を撮らせて頂いたりしています。
先日伺ったお客様からは、
「須田さん、このキッチン、ほんと良いです。友達に自慢しまくりです。」
と喜んでくれていて、嬉しくなります。

撮影に奥様と娘さんを入れて撮ろうとお願いしていたら、ちょうどご主人もいて、
ご主人 「俺は入らなくて良いんですか?」
僕   「出来れば…

写した写真を見て、
ご主人 「(自分が写りたくて…)何か足りない気がする。」
僕   「大丈夫です。十分足りてます。」

などと冗談を言って笑い合える関係でいられることが、本当に嬉しくて、
ああ、喜んでもらえる仕事をして良かった。と心から実感する瞬間です。

とてもありがたいことに、今年も仕事の受注をたくさん頂いており、
すでに秋口まで埋まりつつあります。

本当は、お待たせするのは最長で3ヶ月まで。それ以上待たせちゃダメだ。
と思ってはいるのです。
でも、一点一点、手作りで丁寧に作っている旅する木の家具作りのスピードでは、
半年程待って頂く状況に甘んじております。

僕自身は、ほとんど休むことなく、仕事をしているのですが、従業員の作業時間に関しては、
旅する木は残業はしない。と決めています。
6時には片付けをして上がるように。
夜8時までは、自分の作品を作って良いことにしています。

遅くまでやっても、集中力が持続しないのと、自分の中の、良しとする判断基準が
低くなってしまうのです。加工精度とか、仕上げの良し悪しなどの判断基準が。
だから、限られた時間の中で、集中してスピードと精度を求めて仕事をしています。

納期を短くする為に、品質を落としては本末転倒ですし、
毎日遅くまで、品質を落とさずに製作して、納期を短くお客様に届けられれば、
お客様にとって、そして売上げにとっても、良いのかも知れませんが、
僕や、従業員にも、家族がいて、当たり前ですが、暮らしがあるんですね。

僕は出来るだけ家族と夕飯を食べたいし、子供と遊んだり、話したりする時間を持ちたい。
そういう時間や暮らしがあった上で、旅する木があって、お客様に喜んでもらえる
家具を作ることが出来ていると思っています。

お客様にはこのことを理解して頂いて、それでもほぼ全てのお客様が、
「旅する木さんらしい、そのような考えで良いと思います。急いでいないので、
待ちます。待つ時間も楽しい時間です。」とおっしゃってくれます。
本当に「ありがたいなぁ。」と感謝の気持ちになります。

でも、そんなお客様の声にずっと甘えていてはいけないので、何とか待って頂く期間を
3ヶ月以内にしたいと思って、旅する木スタッフを募集しています。
ただ、これも人を増やして、品質を下げてはいけないし、何よりみんなが気持ちよく仕事を
出来るように、いろんな条件を理解してくれる人に限っています。→ こちら

ところが条件を厳しいと感じているのか、興味がないのか、一向に募集希望者が来ないんですね。
旭川近郊や札幌の家具会社、家具工房を見てきた僕には、自分で言うのも何ですが、
旅する木ほど面白い仕事、そして、お箸から家作りまで幅広い仕事、しかも、
その全てがレベルの高い仕事をしている会社、それでいて個人工房に近い少数先鋭の
会社なんて見たことがありません。
僕だったら、こんなに面白い会社が人材を募集していたら、このチャンスを逃したら、
次にいつ募集をするか解らないわけで、一目散に飛びつくのになぁ?と思います。

先日、ある高等技術専門学院の先生とお話をした時、チラッと社員募集の話しをしたら、
「ここ数年の学生を見ていると、須田さんとこに紹介出来るような若者は誰もいないです。」
と言われました。
術専に通って木工を勉強しているのに、木工への押さえられない情熱が溢れている若者が
いないんだそうです。
そんなもんなんですかね〜。
僕が術専に入った時、面接した先生が後で言っていました。
「須田を落としたら、殺されるんじゃないかと思うくらい、殺気に満ちていた。」っと。
そして修行時代も、難しくて、大変な仕事程、”僕にやらせて欲しいオーラ”を
出しまくっていました。そして、そんな仕事をさせてもらえるとしたら、給料なんていらない。
と申し出たこともありました。

そんな時代じゃない。とか、今どきの若者は、そんな環境で育っていない。と言われるのかも
知れません。
でも、だからといって、妥協した人材を採るつもりはありません。
お客様に喜んでもらえる家具を、毎日楽しく、気持ち良く作る為には、少なくとも元気で
明るく、情熱のあり、怒られても必要以上にめげない若者を、じっくりと育てていきたいと
思っています。

そんな情熱があり、旅する木で働くことに誇りを持ち、自分の人生も大事にしつつ、
お客様に喜んでもらえる家具を作ろうと思う、少人数の選ばれしスタッフたちで、
ずっとやっていこうと思っているので、しばらくはお待たせすることになると思います。
その代わり、必ず喜んでもらえる家具を作りますので、ご理解頂きたいと思います。

そして、こんな旅木ファミリーの一員になって頑張りたい方、待ってます。

なんだか余計にハードル上げちゃいましたかね〜。



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2/25 ”それぞれの物語り”

”そこに会いたい人がいるから、旅はより楽しくなる。”

先週、浜中町という、北海道のず〜っと東端にある小さな町に行ってきました。
遊びに行ったのか?って?
ある会議に呼ばれて行ったのですが、ほとんど遊びです!!

まあ、ほとんど遊びのつもりが、2/11のブログで書いてあるようなシンクロのお陰で、
納品や、打ち合わせを兼ねて、結構芸能人並みのスケジュールで行ってきました(笑)。

前日まで道東はものすごい吹雪だったのですが、ギリギリセーフ。自称晴れ男の僕は
雲の合間をついて、気持ちよく鼻歌を歌いながら行ってきました。

この旅(?)は、最初から最後まで人に会う旅で、たのしかった〜♪

雪道が心配で、早めに出発したら、帯広で結構時間があったので、帯広高等技術専門学院の
先生をしている修行時代の後輩に会いに、学院へ。(ここまで3.5時間)


同じ釜の飯を食った仲というか、共に切磋琢磨して技術を学んだ気心知れた仲間に会うと、
一瞬で時間を超えて、通じ合うものがあり、2,30分ですが、楽しい時間を過ごしました。

その後、約半年程前に工房に来て下さり、テーブルのご注文を頂いた足寄町のSさんのところへ。
(ここまで1時間)
平日なので仕事にもかかわらず、お昼休みに仕事場を抜け出してくれて、「待ち切れない!」
と言わんばかりに歓迎して下さり、作ったテーブルを喜んでくれました。
最後お別れの時に、「本当にわざわざ来て下さり、ありがとうございます!」とガッチリと熱い握手。
納品の時、握手を求められることってあまりないので、ちょっと感動して、僕も両手で
ガッチリ握りしめました。

それから標茶町へ。
標茶駅前の喫茶店で待ち合わせをした標茶町にお住まいのご夫婦(Kさん)との打ち合わせ。
(ここまで2.5時間)
僕も、Kさんご夫婦自身も驚いたようなのですが、実はKさんご夫婦とは、ちょっとしたご縁で
繋がっており、ほのぼのとしたご夫婦の雰囲気も重なり、和やかな楽しい打ち合わせの時間でした。
試しに座って頂く椅子を持っていって座ってもらったのですが、奥様、
「椅子に座って感動したのは初めてです。」と、喜んでくれて、嬉しい言葉を頂きました。

打ち合わせが終わり、楽しみしていたのが、その日の宿泊の宿。なかまの家。

宿のお嬢さん…。
お嬢さん? お嬢さんではないですね(笑)。
娘さん? まあ、娘さんであることは間違いないのですが、一般的感覚として”娘さん”から受ける
イメージほど若くはない…(失礼)。
まあ、そんなことは良しとして、五十石にあるなかまの家に着くと、
名嘉真さんが温かく出迎えてくれました。

雑誌『スロウ』の記者として、よく旅する木に来てくれて、何度か取材をしてもらった間柄。
一昨年退職し、両親がやっている、なかまの家を切り盛りすることに。

名嘉真さんの陽気な人柄もあり、取材してもらっている時から、それほど堅苦しい付き合いでは
なかったのですが、それでも”取材する側”、”記事にしてもらう側”、という関係としては
やっぱり一線を画すものがあるもので。
それがなくなり、晴れて対等というか、友達として宿を訪れるのをずっと楽しみにしていたのです。

20年も前にお父さんがボロボロだった牛舎を直したという宿は、とても温かく、味わいがあり、
一瞬で心の垣根が取れてしまうような不思議な宿で、取材という名目では決して話さないような、
他の人が聞いたら、「バカバカしい。」と一蹴するような悩み(本人からしたら、そこそこ深刻
)を、
深夜まで笑いながら話したりして、心があたたまる時間を過ごしました。

次の日は、本来の目的である浜中町霧多布湿原センターへ。(ここまで1.5時間)

浜中町も廃校がいっぱいあって、その利用方法を地元の人と一緒に話し合う集まりに参加。
旅する木の事例などを紹介したのであります。

ここ、霧多布は以前、木工教室で呼ばれて以来、5年振り。
ここで積極的にトラストを守る活動をしているNPO霧多布湿原ナショナルトラストの阪野さん、
そしてその時も宿泊したペンションポーチの瓜田さんも、温かく迎えてくれました。

そして、ここ、霧多布に来て会いたい人は、このスーパーおじさん。

地元の漁師、杉澤さん。
漁師なのに、趣味で木のおもちゃを作る人。
とにかくスゴいんです。杉澤さんと会う為に、5年前、導かれて霧多布に呼ばれたんです。

杉澤さんも僕に会うのをとても楽しみにしてくれていて、
今朝、漁にでて獲った毛カニや、アンコウをいっぱい、お土産に持たせてくれました。

杉澤さんの工房は相変わらず楽しいおもちゃで溢れ、何時間話しても時間が足りないくらい。
そして今回もやっぱり、会議に呼ばれて頂いた交通費、宿泊費、日当などを、そのまま
杉澤さんに渡して、おもちゃを車に積んで帰ってきました。

 

こんな風に、会いたい人、会いたいと思ってくれている人に会いに行く旅は
どの一瞬を切り取っても笑顔で溢れ、心躍る楽しい時間した。

絵はがきに出てくるような美しい風景、珍しい景色、美味しい食べ物を堪能する旅も
良いのですが、それは舞台のバックグラウンドのような平面的なもので、
そこに人がいるからこそ、深み(奥行き)が出て、一つ一つ、物語りになるんだと思います。

そうして物語りに登場した何でもない喫茶店は、忘れ難き喫茶店になり、古き小さな宿は、
心に残る大事な場所に、木屑や木っ端で溢れた小さな小さな工房は、人に語りたくなる
自慢の場所になるんですね。

日本中に大雪を降らせた低気圧が北海道の東の海上に去り、久しぶりに抜けるような青空の中、
国道44を走らせ、帰途につきました。

一つ一つの物語りを思い出しながら。

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2/11 ”幸せの見つけ方”

皆さんは”シンクロ”というと、何が頭に思い浮かびますか?
夏のオリンピックのシーズンだったら、”シンクロナイズドスイミング”ですかね?

我が家では”シンクロ”というと、”シンクロニシティー”の方です。
ご存知ですか?

Wikipediaで調べると、”意味のある偶然の一致”とか、”共時性”と出てきます。

+++++++++++++

何か複数の事象が、「意味・イメージ」において「類似性・近接性」を備える時、
このような複数の事象が、時空間の秩序で規定されているこの世界の中で、従来の因果性では、
何の関係も持たない場合でも、随伴して現象・生起する場合、これを、シンクロニシティの作用
と見なす。

+++++++++++++

なんて訳の解らない説明。

僕はもっと簡単に、
日常生活で、一見なんの繋がりのないと思われる複数の”こと”や、”もの”、”人”が
同じタイミングで起こったり、現れたり、出会ったりすると、
「シンクロだ!」と言っています。

旅する木にはそんなシンクロがいっぱい起こります。
いつも旅木ファミリーと一緒にビックリしています。

ところがここ最近、さらに頻繁にシンクロ現象が起こって、ビックリしています。

皆さん、お気づきでしょうか?
今、旅する木はスタッフを募集しています。

先日、電話が来て話しを聞くと、京都在住の大学生の女性が旅する木で働きたい。
と言ってきてくれました。
「京都からわざわざ。どうやって知ったんだろう?」なんて思っていた矢先、
また電話が鳴って、
「木工の仕事を体験したいので、2月〜3月まで、手伝わせて下さい。」と、女性から。
話しを聞くと、なんと、京都在住の、専門学校1年生。
二人は何の面識もないわけで。

「もしかして京都の女の子の間で旅する木、流行ってるの?」なんて勘違いしてしまいます。

お手伝いしてくれる女性は、毎日一生懸命やってくれていて助かっています。
彼女は熊本県出身。
熊本出身の人と出会ったのは初めて。
僕が「くまもと」という言葉を発したことなんて、多分受験勉強している20年以上前くらいで、
今まで僕の生活に”熊本”はあまり関係がなかったんですね。

ところが、彼女が旅する木に来た初日、いきなりキッチンの取り付けの現場でこき使っていると、
工房の電話を転送している僕の携帯が鳴り、なんと、
「今、神奈川に住んでいるのですが、来年、熊本県に引っ越します。そこでキッチンの相談を
したいのですが…。」っと。

今までの人生で、全く無関係だった”熊本”が、立て続けに出てくるなんて、ビックリです。

さらに、来週、北海道の道東のず〜っと端っこの方にある、霧多布というところで行われる
会議に呼ばれて、参加することになったんです。
せっかく日帰りではいけない道東に行くのだから、前々から遊びに行こうと思っていた
友達がやっている宿がありまして。
標茶町にある『なかまの家』

その宿を予約したその日の夜、PCを開くと、「家具についての問い合わせ」という件名のメール。
なんと、標茶町にお住まいの方。
たくさんの家具をご検討下さっており、来週標茶に行った時に打ち合わせをすることになりました。

そして、狙ったわけではないのですが、ちょうどこのタイミングで完成したダイニングテーブル。
足寄町にお住まいのお客様。
道東に行く時、足寄町を通るので、旅木カーに積んで納品して来ようと日程調整中。

こんなピンポイントのシンクロが、時間を置かずに次から次へと起こるなんて、本当に不思議で
ビックリしています。

9年前、旅する木を立ち上げた頃、何だか大きな力に『守られている』という実感がありました。
ものすごい安心感とでもいうのか。
自分の実力では到底届かない場所に導かれて、ただひたすら嬉しくて、感謝する日々だった気がします。

ところが、その場所にいることが当たり前になると、感謝の心が薄れて、今、この場所にいられる
のは、「自分が頑張って来たからだ。」などと傲慢な心が芽生え、背負う荷物も増えてくると、
意味もなく不安になったりするもので、「本当の幸せって何だろう?」なんて考え込む日が
ある近頃、これだけのシンクロを体験させられると、「気付きなさい。あの頃の心を。」
「安心して、感謝だけしていなさい。あの頃のように。」と言われているような気がします。

そう思うと、不思議なことに、知らず知らず固まっていた自分の心が、とろ〜っと融けていくような、
そんな暖かい感覚に包まれ、そして初めて、「こんなに固まってたんだ。心。」と気が付きました。

努力とか、忍耐とか、強さとか、知識とか、作戦とか、戦略とか、成果とか、上手くいくとか、
効率がいいとか、まだまだいっぱい出てくるけど、そういうもの全部を凌駕したもの、
それこそが最も単純な”感謝すること”だと今更ながら気が付きました。
昔は知ってたんだけどな〜。

シンクロによって導かれた出会い。
どれもまだ、ご縁が決まったわけではなく、ご縁を頂けるきっかけを与えられただけなのですが、
その一つ一つに精一杯喜び、感謝して向き合おうと思います。

これから出会う”もの”、”こと”、”人”その全てに感謝して生きられるような、
そんな人になりたい。



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1/28 ”結婚、はやまった?”

「あれからいろんな家具屋さんを見て回ったのですが、旅する木さんの家具の触り心地に
勝るものがありませんでした。」
「この家具に触れてしまったら、他の家具屋さんの家具に触れる度に、ああ、やっぱり
全然違う。と思ってしまうんです。」

年が明けて、はや、一ヶ月が過ぎようとしています。
年末モード、そしてお正月モードがそろそろ抜けてきたからなのか、消費税が上がる前の
駆け込みなのか、旅する木には、毎日家具のご相談のメールや、訪問者が来てくれます。

最近工房にご相談に来て下さる方の中には、昨年、一昨年に工房に来て下さり、
その後、ずっと検討されていた方たちが多く、驚いています。

本当にすみません。
僕は接客業がまるで向いていなくて、顔を覚えるのがとっても苦手。
一度来て下さり、お話をしたお客様のことをほとんど覚えていなくて、
失礼することが多くて…。

そんなお客様皆さん、手カンナで丁寧に仕上げられている旅する木の家具の触り心地が
忘れられず、
1年も2年も悩んだ後、最後に戻って来てくれることは、本当に嬉しいことです。
見た目のデザインよりも、難しい加工をされた精度よりも、なにより、肌で触れた感触を
覚えていてくれて、最後に旅する木を選んで下さることは、10倍以上の手間をかけて
手カンナにこだわり、家具作りをしている僕たちにとって、最高に嬉しいことです。
”家具は日常の道具であり、見て楽しむものでもあり、そして、触れて感じるものである”
と思っている僕にとっては、特に。

僕は、初めてご相談に来られたお客様には、その場で決めてもらわないように心がけています。
そして、名前も連絡先も聞かないようにしています。
そう、こちらから連絡して営業をすることは、一切ないのです。
「是非いろんな家具屋さんの家具をご覧になって下さい。いろんな家具をご覧になって、
最後に旅する木を選んでもらえたら、嬉しいです。」っと。

それは、23歳で僕と結婚した妻が、「はやまった。」と後悔しているから…。。
コラ〜!違う違う。? まあ、そういうことも多少はあるのかも知れませんが…。

旅する木に来て下さったお客様の中に、
「もっと早くここのことを知っていれば、こちらで作ってもらったのに。」
という方が時々おり、とても残念がっているからです。
その方はきっと、ずっと残念に思いながら、買ってしまった家具を使っているのでしょう。
もし逆に旅する木の家具が、そんな風に残念に思われながら使われることがあるとしたら、
家具が可哀想過ぎる。
僕にとっては、旅する木の家具たちは、自分の子供のようなものですから。
オーダーで、お客様と何回も打ち合わせをしてデザインし、作り上げる家具には、
その一つ一つに物語りがあり、思いが詰まっているものなので。

だから、いろんの家具を見て、そして最後に「やっぱり旅する木だね。」と選んでもらいたい。
そして、それだけの思いを背負って、しかも、その期待以上のものを届けたい。

先日のお客様。
最初に旅する木に来て下さってから一年、悩んでいろんな家具を見て、戻って来てくれました。
それなのに僕ときたら…。
「今日決める必要は全くありませんから。いろんな家具を見てじっくり検討して下さい。」っと。
すると、そのお客様。
「もう散々見て、考えましたから。決めさせて下さい。」

こんな風に妻に僕を選んでもらったら、良かったのかなぁ(笑)。

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1/16 ”もれなく幸福がついてくる”

昨年までは、
「この冬は雪が少なくて、除雪が楽ですね〜。」
なんて言っていたのが懐かしい。

今年に入ってから連日の大雪、吹雪で、すっかり庭には、僕の背丈を超えた雪が
降り積もっています。

先日、久しぶりの青空に、
「空ってこんなに青かったんだぁ。太陽ってこんなに眩しかったんだぁ。」と
ちょっと感動しました。
そして、ぐる〜っと庭を囲んだ木々を見渡せるはずの窓サッシの半分以上まで
降り積もった雪が覆い被さってしまったので、あわててママさんダンプと
スコップで除雪をしました。

天気のよい日の除雪作業は最高ですよ♪
2メートルに達するほどの雪の平原を見ると、どこから手を付けたら良いのか
途方に暮れますが、結局、端からちょっとずつ、コツコツとやっていくしかないのです。

そのうち、体が熱くなってきて、氷点下なのに、アンダーシャツ一枚で夢中になって
雪を運んでいると、「コンコンコンコン」という心地良い音。
辺りを見回すと、アカゲラがくちばしで、庭のエゾマツを叩いてる。
それも4、5羽があちこちで。

そして時折吹く、火照った体に心地良い風が、屋根の粉雪を舞い上げて、
それに日の光が反射して、空中にダイヤモンドが散らばる。
まるで「キラキラキラキラ」という音までが聞こえてきそう

ふっと、ちょっとずつコツコツと運んだ雪山を見上げると、その量に、
「これ全部自分で運んだのか?」とビックリするとともに、ちょっと感動。
自分を褒めたくなる。
なんだかそこに人生を感じます。
結局、小さくても確かなことをコツコツと積み上げていくことが大事なんだ。っと。

心地良く疲れた体に、昼ご飯の味噌汁の旨いこと。

そして部屋の中から窓越しに、さっきまで被さった雪で見えなかった庭の風景を
見渡すと、なんだかやり遂げた感。充実感。幸福感に満たされるのです。

どうですか?
除雪は最高です。
本州にお住まいの、雪と縁遠いところにお住まいの方々。
こんな楽しく幸せになれる除雪作業を、僕一人で独り占めはもったいない。

このブログを読んで、
「そんな楽しく幸せになれるんだったら、俺にもやらせてくれ。私もやりたい!」
という方、旅する木では…

なんと無料で 除雪体験希望受付け中!!
さらに今なら、味噌汁一杯サービス♪♪
え〜い、この際、途中休憩時、甘酒もつけちゃう!

いかがでしょうか?
誰か、お願い。手伝って〜〜〜


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2014/1/3 ”旅する木から’2014 再出発”

開けましておまでとうございます。

この年末年始、須田家は引っ越しです。
天候が今ひとつで、雪が降ったり、吹雪いたりしているので、なかなかはかどりませんが、
地道に進めています。

大晦日から新居で生活を始めました。
”扇の木のキッチン”でみんなで手伝いながら料理をして、”501チェアー”に座り、
”川の流れのようなダイニングテーブル”で食事をし、”白太入りのウォールナットの
フローリング”
にベタ座りや、寝そべって休憩し、自分の部屋の”ベッド”寝るという
お正月にしては、いたって平凡な生活なのですが…。
豊かなんです。 気持ちが。
満たされるんです。 心が。

今までいろんなお客様から、「自分で作った家具に囲まれて生活しているんでしょ?」
と聞かれることがあったのですが、残念ながら独立してからは、ほとんど自分の家の家具は
作っていませんでした。
材料も、時間も、もったいないと思っちゃうんですよね。
だから、納品したお客様が羨ましい。
僕の大好きな旅する木の家具に囲まれて日々、暮らせるなんて。

そうなんです。旅する木の一番のファンは紛れもなく僕です。
だからファンとして、僕が納得出来ないものは作り直すし、椅子の試作だって、
納得いくまで何回でも作るし、こだわれるだけこだわります。
そこまでしていなかったら、堂々と値段なんて付けられないと思っています。

そんな僕が、とうとう家具だけでなく、玄関に入るところから、ほぼ家全部が旅する木の
作ったものに囲まれて暮らせるなんて…。。
夢を見ているような感じ。
どこの部屋に入るにも、開ける扉の取っ手に触るだけで、「う〜ん、いい!」と。
扇のキッチンで料理をする妻は、
「大きいのに全部が近くて、キッチンの方から手を差し伸べられているみたい。」
と嬉しい感想。

暮らしていると、こういうのが欲しい。というものがどんどん出て来て、
そういう暮らしを楽しくするアイテムを、増やしていこうと思っています。

そうして、旅する木を立ち上げた時から考えていた、家具からもう一つステージを大きくして、
旅する木の”家”から、暮らしを彩る小物まで、日々の暮らしを豊かにするような、
旅する木の思いを多くの方に届けたい。と思います。
”心の豊な暮らし”を考えるとき、それは”家つくり”も含めてご提案していくことが
より筋の通った仕事だと思うのです。

これが今年の旅する木の、僕の抱負です。

そして、そんなことを考えていると、素晴らしいご縁で、この春、札幌市内で旅する木の
キッチンや作品に触れられる場所ができそうな…予感。
お楽しみに♪

それから、年末のつむ通に書いたように、
今年中に必ず、『サイクリングチェアー 〜木の車椅子』も完成させます。

旅する木をここ、当別町の東裏小学校に移転し、丸5年が経ちました。
自分でも信じられないような多くの素晴らしい出会いを頂き、素晴らしいスタッフも増え、
多くのお客様に喜んでもらえる家具や、妻のカフェをご提供できるようになりました。

2014年、今年は旅する木らしい、次のステップに進むべく、新しい一歩を踏み出す”再出発”
の年にしようと思っています。

今年も引き続き、旅する木を暖かく応援して下さい。
皆様の心ある応援を力に、少しずつ、一歩一歩、社会に貢献できる旅する木を
育てていこうと思います。
今年もどうぞ、旅する木をよろしくお願いいたします。



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12/30 ”2013年、ありがとう”

旅する木は昨日が仕事納めでした。
最後、新しい僕の自宅で、旅木ファミリー(従業員)みんなで鍋を作り、忘年会をしました。
普段、ほとんどお酒を飲まない僕ですが、久しぶりに社員達とお酒を飲み、
深夜まで楽しい時間を過ごしました。
彼らのお陰で、今年もたくさんのお客様に喜ばれる家具を製作することができました。
ありがとう。

旅する木は毎年年末、お客様にお礼状を出しています。
今まで家具を製作させて頂いたお客様にプラス、今年製作させて頂いたお客様を加え、
今年は400通のお礼状を出しました。
日本中に数多くあるショップ、家具屋さん、工房の中で、旅する木に出会い、選んで下さり、
こんなにもの出会いを頂けたことに、驚いていると共に、感謝しています。
今年も多くのお客様の笑顔と喜びの声を頂きました。
本当にありがとうございます。

8年前に独立してから昨年まで、仕事尽くめで、一切の余暇を作らなかったので、
今年はなるべく映画館に映画を見に行く機会を持つように努めました。
たまに中3の娘と一緒に見るのが楽しく、嬉しかったですね。
先程、『永遠の0』を見てきました。

今年、我が家の最大の出来事は、何といっても家作りです。
今までたくさんのお客様の家作りに、家具やキッチンを通して携わって来たものの、
いざ自分の”家を建てる”ということで、初めて家作りの本質を体験したような感じがします。
”家を建てる”ということは、改めて家族というものを真剣に考える行為だと思います。

そんな時に見た、『少年H』や、『そして父になる』、『風立ちぬ』、『永遠の0』はどれも
良い映画で、その都度家族、夫婦について反省させられました。
ただ、日々の生活の中で、なかなかその時の思いというものは続かないわけで。
特に僕は後ろや過去を振り返らない性格なので、余計に。

旅する木の一年の最後のつむ通なんだから、今年一年の仕事の総括かと、来年の抱負とか、
そんなものを書かなきゃいけませんね。
でも、仕事をすればするほど感じること。それは、結局は”人”なんだ。ということ。
人柄だとか、優しさだとか、そういうものは、家族の中で愛情の器がいっぱいになっていて、
そこから溢れ出すもので初めて人(他人)に注がれるものなのかな?っと。

旅する木のお客様は、不思議と皆さん、愛の溢れる人ばかりなんです。驚くくらい。
”家を建てる”ことで、改めて自分を鑑みた気がします。

来年は仕事と共に、自分の”人としての器”も広げていきたいな。と思います。

今年一年、旅する木を支えて下さり、本当にありがとうございました。
来年も心を込めた家具作り、家作りを心がけて参ります。
どうぞよろしくお願いいたします。

それでは皆様、良い歳をお過ごし下さい。



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札幌のすぐ隣の田舎町、田園風景ど真ん中の小学校
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